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4.他力本願な俺、精霊使いを目指すことにした

妹が出てくるアニメや漫画なんて、たくさんあるけど……。

実際に妹がいる人からすると、「あんなのは妹の居ない人の妄想だ……」と言う。

私は実際一人っ子なので、兄妹なんてものに憧れる……。

というわけで、今回は妹視点から始まります。



シャリルには、一個うえのにぃ、フィルにぃがいる。

はじめにあったときは、ちょっとこわくて近づきにくかったけど……。

でも、さいきんはけっこうシャリルに優しい!

シャリルがフィルにぃに「ほん、よんでぇー!」っておねがいすると、フィルにぃはきれいなニコニコ顔で、「うん、いいよー!」って言ってくれる。

その他にも、シャリルのからだをあらうのがいやなときとか、フィルにぃにおねがいすると、「わかったよー!」っていってシャリルのからだをあらってくれる。

このまえのおつかいのときとかも、こっそりとシャリルのすきなえほんをかってきたりもしてくれた。

だからシャリルはフィルにぃのことが大好き!なんだけど……。


「ねー、ねー!フィルにぃ、えほんよんでぇー!」

「ん?シャリルちゃんか。ごめんねー。フィル兄さんは今、ウォルの世話で忙しいから、また今度なー」


そう言って、あたまをなでていっちゃう。


「むー!さいきん、フィルにぃのつきあいがわるい!」


しかたないからシャリルはきょうもロスカーさんにえほんをよんでもらう。


「ねー!なんでフィルにぃはシャリルのあいてしてくれないのー!?」

「そうですね……。フィル様は今、精霊使いになるための修行で忙しいと聞きます。多分ですが、それが原因でしょうな……」

「そうなのー?ロスカー」

「ええ……」

「フィルにぃは、なんでせいれいつかいになろうとするのー?」

「ふむ、まぁフィル様は聡明なお方です。将来のことを見据えてある程度強くなる必要があると考えたのでしょう。そして性能が貧弱であるフィル様が強くなる方法と言いますと……精霊使いしかなかったのでしょうな……」

「むー!なら、シャリルが強くなってフィルにぃをまもる!それじゃダメ?ロスカー?」

「そうですな……。シャリル様がフィル様を支えくださるのなら安心ですな」

「でしょー!じゃあ、さっそくフィルにぃにそのこと、いってくるー!」

「ははは……気をつけていってくださいませ、シャリル様」

「うん!」


はやくフィルにぃに伝えなきゃ!





「ふむ……。全くもって末恐ろしい妹君ですな、シャリル様は……」


私はそう言ってグニャグニャに変形した積み木に目を向ける。

私がフィル様は今、大変な状態なのでそっとしておくように、とやんわりとフィル様の下に行くのを防ごうと思った瞬間、シャリル様から凄まじい怒気が発せられました。

そして、先ほどまで遊びに使っていた積み木が、彼女の握力によって変形したのです。


「あの感じですと、すでに加護のレベル二は超えていると見ていいでしょう……」


積み木は決して柔い素材ではなかった。

なのにも関わらず、それを素手で、しかも片手の握力だけで変形させるとは……。


「しかし、案外良いコンビなのかもしれません……」


剛力を有するシャリル様と、叡智を有するフィル様……。

まぁ、普通は兄妹の立ち位置が逆な気もしますが、特に気にしないでおきましょう……。

これから彼らがどのように成長していくのか?

とても楽しみですね。





屋敷に緑色のスライムを連れてきた後、俺は精霊使いになるために、両親の許可をもらいに行った。

精霊使いのようなニッチな職業は、貴族に相応しくないとか言って猛反対されるかと思ったが、両親は意外にもあっさりと許可をくれ。


「そうか……。フィルは精霊使いになることに決めたんだな?」

「はい!」

「なら、仕方がないな……。私としてはできれば自分と同じく剣の道に進んで欲しかったがな……」


そう言ってベルウェイトは気の毒そうな視線を向ける。

あぁ、俺の性能が低いことを気にしているのか。


「そんなに心配そうな顔をしないでください。大丈夫ですよ、フィルならきっとなんとかします……。ね?フィル」

「はぁ、まあ……。期待に応えられるような結果になるかどうかはわかりませんが……。この家に恥じないだけの立派な精霊使いになってみせます!」

「ほら!フィルもこう言っているんだし……。親として見守るのが筋でしょう?」


ミルリラウスの援護に、ベルウェイトも「そうだな」と頷いた後、「頑張れよ!」と朗らかな顔で俺の夢を応援してくれた。


「ありがとうございます!」


深々と頭を下げた後、事務室を後にした。


「それにしても………。フィルは良い顔をするようになったな……」

「そうですね……。以前は死人のような顔をしていましたからね……。随分と子供らしくなったと思います」

「しかし、な……。お主も気付いておるとは思うが、あやつは結局記憶を失ってから一度も私たちのことを、父とも母とも言ってくれんな……」

「そうですね……。まだ、記憶を失ってから半年も経っていないんですし……。フィルはきっと混乱しているんでしょう。いつか、また私たちのことを父、母と呼んでくれる時が来るでしょう」

「そうだと良いがな……」





「さて、ベルウェイトとミルリラウスから許可が出たところで……と」


目下の問題はまず、このスライムの生命力の回復だ。

俺のスキル、真眼のおかげで今のスライムの状態が把握できている。

そして、俺のわかる限りだと相当マズイ状態だということも……。



ーーーーーー


【名前】ーー

【性別】ーー【年齢】10歳【種族】スライム(変異種)

【称号】ハグレスライム

【生命力】12/130

【魔力】80/80

【性能】EE+

【魔法】水属性

【スキル】溶解Lv.3

打撃耐性Lv.2

火炎耐性Lv.4

吸収Lv.3

【加護】悪神の加護Lv.1



ーーーーーー


魔物の加護は基本的に悪神の加護らしいので、そこは気にしない……。

俺は加護ではなく、生命力の方に目を向ける。

上限は百三十もあるはずなのに、今ではその十分の一の生命力もない。

というわけで、俺はこいつの延命処置について調べる必要が出たというわけだ。




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