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新都  作者: 戸池
3/3

新都 2

3 二度目のシント

3‐1 十三日目


翌朝、私たちは旅の支度もそこそこに、再びシントを目指した。

昨晩は勢いで家を飛び出すつもりだったのだが、姉さんに、

「もちろん今すぐにでも会いに行きたいけど、夜道は危ないし、何より今日は私もあなたも疲れてるから、せめて明日にしましょう」

と、説得させられてしまった。わたしは疲れているつもりはなかったが、姉さんの方は本当に疲れている様子だった。考えてみれば、彼女は見た目こそ若々しいが、二人の子を生み、お姉ちゃんを中等学校入学ころまで育てているのだ。ということは、この人の年齢を若く見積もっても、三十代中ころなのである。海で遊んで疲れるのは当然なのかもしれない。でも、そんなことより、ずっと二十代と思っていた姉さんが、三十代だという事実がわたしにはショッキングだった。

サカイへの道中は前回の反省を生かして左ルートから行くことにした。姉さんは、

「左ルートは危ないところもある」

なんて言っていたくせに、なんとも快適な道であった。カーブは少なく、急な谷や山は橋やトンネルで短絡されている。ただ、途中に集落などは一切なく、休めるようなところといえば、無人の道の駅が道中、数か所あるだけであった。

姉さんの跨る大型のオート二輪車と、わたしのシーティーだと大きさも速さもぜんぜん違うものなのだが、姉さんはわたしを先頭にして、ゆっくりとしたシーティーのペースに合わせてくれた。

一日通しで走り続け、サカイには夜遅くになってから到着した。宿は前回と同じ宿を利用することにした。

「ごめんくださーい」

「はーい。いま行きまーす」

戸を開け、あいさつをすると、奥からユキちゃんの声が聞こえた。

「いらっしゃいませー。奥にどうぞ」

つい先日来たばかりの別々の客が、今度は一緒に、しかも夜遅くにやってきて、ユキちゃんは一瞬びっくりしたような顔をしたが、さすがプロ。すぐに笑顔になって、慣れたようにわたしたちを部屋へ案内してくれた。こんなに愛想のいい子が昼間は無表情で役所勤めしているとは到底思えない。

ユキちゃんのサービスはこれだけではなかった。わたしたちは予約もなしで、遅い時間に宿に訪れたから、さすがに夕食は出てこないだろうと思っていたのだが、

「お腹すいていませんか」

と、ユキちゃんは気を利かせてくれ、わたしたちがお風呂に入っている間に、ごはんと味噌汁とたまたま残っていたという山菜で天ぷらを作ってくれた。わたしたちが、

「わざわざありがとう」

と、礼を言うと、

「いえいえ、その分のお代はしっかりいただきますから」

と、返されてしまった。どうやら意外と商魂たくましいお方のようだ。ますます公務員をしている理由がわからなくなる。

ちなみにお風呂の方は、姉さん曰く、

「ちょうどいい湯加減でいい気持ち」

だそうなのだが、わたしの皮膚には未だに刺激が強過ぎて、ぬるいシャワーをひたすら浴びるだけだった。姉さんはそんな姿を見て昨日と同じように、

「ハッハッハ」

と、笑った。そして、姉さんは湯船のお湯をかけてきては、わたしがそれを避けたり、熱い湯が当たって「痛い」と、叫んだりするのを見て笑うのだった。腹が立つ。

「なんで、姉さんは痛くないんですか」

「もっと、成長すれば痛くなくなるよ。色んなトコがね」

ムカつく。

 

食事から戻ると部屋には綺麗に布団が敷かれていた。姉さんは、

「昨日といい今日といい、わたしゃ疲れたー」

と、言い、食堂で買った瓶入りの黄色い発砲飲料をラッパ飲みで一気に飲むと、そのまま布団の上に倒れて寝てしまった。

ナギサへ行く途中の村の人たちも飲んでいたその飲みもの。結局、最後までその村では、わたしはそれを飲まなかった。しかし、代わりに飲んだ透き通った橙色の飲み物はとてもおいしかった記憶がある。もしかしたら、これもとてもおいしいものなのかもしれない。

どうも、わたしは余計なことに首を突っ込みたくなる性質があるようで、村では散々痛い目にあったはずなのに、瓶の底に残った発砲飲料に興味津々だった。散々悩んだ挙句、遂に、わたしははしたないと思いながらも、姉さんと同じようにラッパ飲みでそれを口に含んでみた。

「うっ…」

なんて苦いのだろう。わたしは水で口に残った発砲飲料を一気に流し込むと、「ゴホッゴホッ」と咳き込んだ。やはり、余計なことをするんじゃなかったと後悔した。

「ぷっ、クックック」

さらに悪いことに、姉さんはそんなわたしの一連の行動を薄目を開けて見ていたらしく、寝たふりをしながら笑っていた。

はあ。今日はもう寝よう。


部屋の明かりを消すと、さっきまで寝たふりをしていたはずの姉さんは

「くかー」

と、いびきにも近い大きな寝息を立てていた。

なぜこの人はこんなにも能天気なのだろう。明日にはずっと会えなかった娘に会えるというのになぜこんなにも呑気に振る舞えるのだろう。昔のうみさんは男勝りなところがあって、それが心配だとも姉さんは言っていた。もしかしたら、姉さんはうみさんのことが、あまり好きではないのだろうか。会いたくないのだろうか。

そんなことを考えていて、気づいたらわたしも眠ってしまっていた。



3‐2 十四日目


この日、姉さんは頭痛に吐き気に頭を抱えながら起きてきた。理由は言われなくてもわかっていた。

朝、わたしが起きると、部屋には何本もの空になった茶色の瓶が散らばっていた。どうやら、わたしが寝たあと、姉さんは起きてきて、一人で発砲飲料を飲み直したらしい。朝、ユキちゃんとすれ違ったので話を聞くと、お札を握りしめた姉さんは深夜に

「ここにあるビンを全部くれ」

と、言ってきたらしい。そして、商魂たくましいユキちゃんは、あろうことか本当に宿中の発砲飲料をかき集めて、そんな姉さんに渡してしまったらしい。

「少しは止めてくださいよ」

「一応、言ったんですけどね。飲み過ぎはダメですよって。そしたら…」

「そしたら?」

「ごめんなさい。これから先はあなたに言っちゃダメって言われてるんです。ただ、今回は許してあげてください。じゃ、私は仕事に戻りますので」

ユキちゃんにはぐらかされてしまった。ただ、『今回は許してあげてください』というユキちゃんの発言からすると、姉さんが飲み過ぎるのに同情できる理由があったのかもしれない。きっと、うみさんのことだろう。

わたしはこれ以上その話題に触れないことにした。


「すいませーん。お伺いしたいことがあるのですが」

「はーい」

驚いたことに、受付のユキちゃんはわたしだとは気づかず、目の前の作業に没頭したまま、こちらに生返事だけを返してきた。

二日酔いの姉さんを宿に残し、わたしは開庁時間に合わせてサカイ町役場に立ち寄った。本来ならシントに急ぐべきなのかもしれないが、姉さんがあの状況だし、なによりわたしにはしなくてはならないことがあるのだ。

「ユキちゃーん」

私が小声呼ぶと、ユキちゃんはビクッと肩を震わせた。そして、ようやくカウンターテーブルにいるのがわたしだと気づくと、昨日、突然に宿に訪れたわたし達を見た時と同じような、驚いた顔を一瞬だけして、すぐに表情を元に戻した。

「ごよーけんはなんでしょー?」

ユキちゃんは公務員モードで、宿で働いている時より明らかに気だるそうな感じで、わたしに接してきた。彼女はキャラクターを大事にする人なのだろうか。

「あの、帰国したので許可証の返還を…」

一応、この国の法律書には『出入国の許可証は国からの貸与であり、帰国後は速やかに自治体等の指定機関で返上しなければならない』という旨のこと書いてある。真面目なわたしはその法律通りに速やかに役所に立ち寄ったのだが、当の公務員であるユキちゃんは、

「別に、持っていてもいいですよー。どうしてもと言うなら引き取りますけどー」

と、やる気のないトーンで、やる気のない内容の返答をしてきた。正直、わたしはこっちのユキちゃんが嫌いだ。

「どうしてもです」

この前サカイに来た時に作った、非常に簡素な『PASSPORT』と書かれた用紙をユキちゃんに渡すと、彼女は中身もろくに確認せず、それをそのまま近くに座っていた男性職員に渡した。きっと彼が出入国許可書の担当者なのだろう。その男性職員は中身を数秒だけ眺めると、その紙を丸め、ポイっとくず箱に放り投げた。

わたしは一気に体の力が抜けた気がした。

帰り際、勇気を出してユキちゃんに手を振ると、彼女は「にこっ」と微笑んで、小さく手を振り返してくれた。わたしは彼女が本当はどんな人なのかイマイチ測りかねていたのだが、きっといい人なのだろうと思った。

姉さんの体調がある程度回復し、サカイを出たのはお昼近くになったからだった。

二日酔いというのは予定を狂わせるから困る。

暗くなると、うみさんの住む丘に通じる山道を登るのが辛くなってくる。わたしたちはシントまでの道のりは、途中、姉さんが吐くために止まった以外は、どこにも休息せず飛ばしに飛ばした。

 

つい六日前、姉さんはシントに行っていた。そして、ちょうどその日、うみさんはわたしを見送りにふもとに降りていた。数時間だけでもタイミングが違えば二人は出会えていたかもしれない。姉さんは毎年シントに行っていると言うから、きっと、今までもそんなすれ違いがあったのだろう。何とも悲しい運命である。

わたしは、いち早く二人を会わせてあげたかった。


シントには夕暮れ間際になって到着した。うみさんの住む家へと続く山道の、すぐ傍にシーティーを止めると、姉さんの二輪車もそのすぐ後ろに並んで止めた。姉さんのかぶるフルフェイスのヘルメットは外から顔が見えにくいよう、色が塗られているのだが、顔色なんてうかがわなくても彼女のギクシャクした態度から緊張しているのがわかった。

「いや~、やっぱり、まだ気分が悪いから、明日にしようか」

姉さんは、ここへ来てそんな弱気なことを言い始めた。彼女は、いつもふざけたような振る舞いをしているくせに、意外にもチキンハート野郎なのである。

「いいえ、今、いきましょう!」

そう言いながら、彼女のヘルメットを力任せに引っ張ると、中からはまるでハニワ像のような、苦笑いのまま硬直した姉さんの顔がでてきた。

「もう」

わたしはため息をつくと、姉さんの手首をギュッとつかみ、ズンズンと山道を引っ張って上がった。

「ちょ、ちょっと待って」

「いいえ、待ちません」

「ま、まだ、心の準備が…」

「心の準備ができていないなら、歩きながらしてください。もう、わたしの倍は生きてるくせに、こんなところで臆病になってどうするんですか」

「ちょっ、ちょっと、それとこれとは関係な…うわっ」

わたしはさらに強く手首を握りしめると、歩くスピードを上げた。

早歩きしたので、うみさんの家にはすぐに着いた。

娘の家の真ん前だというのに、姉さんは扉の前で相変わらず腰抜けていた。

「ちょ、ちょっと、歩き疲れちゃったから一休みしましょう」

「何言ってるんですか。さっさとノックしてくださいよ」

「え! 私がノックするの!?」

「そうです。誰のためにここまで来たと思ってるんですか」

「わ、わかったから。ちょっとだけ待って。スー、ハー」

わたしと姉さんが扉の前で騒いでいると、うみさんが外からの物音に気づいたらしく、中から扉が開いた。

そりゃそうである。

「どちらさんですかー」

「こんばんは!」

挨拶を返したのははなぜかわたしだけだった。一番に挨拶をしなくてはならない、当の姉さんはドアノブをひねる音がすると、とっさに体を縮こませてわたしの後ろに隠れてしまった。

どれだけビビっているのだろうか。

「おお! もう、戻ってきたのか。海はどうだった?」

「はい、とても、きれいで感動しました」

「そりゃ、良かった。ところで、後ろの女の人は?」

一回りも二回りも背の小さいわたしの後ろに隠れたのだから、当然、バレバレである。姉さんは無言でやり過ごそうとしたが、わたしが肘で姉さんの脇腹を小突くと、

「ウッ」

と、息を漏らす音がした。すると、ようやく観念したのか、恐る恐ると顔を上げ、私の横に立った。

「私のこと覚えているかな?」

姉さんは、恥ずかしそうに顔を赤らめ、うつむいたまま、うみさんに目を合わすこともなく言った。

うみさんはまるで信じられないと言わんばかりに、驚いた顔のままで固まった。そして、すぐに、

「うん、うん」

と、大きく二回首を縦に振ると、涙を浮かべて姉さんに抱きついた。

「お母さん! 会いたかった」

「ごめんね、うみ。ずっと、ひとりぼっちにしちゃって」

ようやく姉さんは、お母さんらしくなった。

「ううん、わたしこそごめん。ずっと、お母さんをひとりにして」

「ずっと、会いたかった」

「私も、ずっと、ずっと、ずっと、会いたかった」

うみさんは、それからしばらく、母の胸元で「うわー」と、まるで小さい子供のように泣き叫んだ。

お母さんも、そんな娘の頭に頬を擦って涙を流した。



3‐3 十五日目


この日はわたしが生まれてから今までで、たぶん、一番感謝をされた一日だったと思う。もしかしたら、わたしがこれから死ぬまでにも、これ以上感謝されることはないかもしれない。

わたしは、二人分の食事を振舞われ、二人分の感謝の気持ちを述べられ、二人分抱きつかれ、二人分頭をゴシゴシされた。

…もしかしたら、遊ばれているだけかもしれないけど。

とにかく、わたしは非常に感謝された。そのとき、どんなに離れていたとしても二人はやっぱり親子で、雰囲気や、しゃべり方、振る舞いなんかはよく似ているなと思った。

姉さんは、うみさんと会うまでは

「娘が男の子になってたらどうしよう」

と、冗談交じりに心配していたが、もちろんそんなことはなく、うみさんはとても女性らしく、それでいて強い人である。そんな娘の姿を見て、

「同じころの私よりもよっぽど、立派になった」

と、感動していた。

親子は数年のブランクがあるとは思えないほどすぐに打ち解けた。二人は昔話に花を咲かせ、いい話し相手と、わたしにもそれを聞かせてくれた。

午後には三人で泉に行った。「行きたい」と言い出したのはうみさんで、母に久しぶりの泉の風景を見せてあげたかったからだと思う。今度はお昼を食べに行ったわけではなく、散歩がてらである。

そこで、うみさんは先日、わたしにも話してくれた、自分の小さいころ、泉で一緒に遊んだことを話題にし、それから、妹のいずみちゃんのことも少しだけ話した。

姉さんはその話に「うんうん」とうなずいたり、笑ったり、時々、涙を浮かべたりしていた。わたしはその会話を傍から聞いているだけであったが、わたしも彼女らの家族とまでは言わないが、古い友人であるかのような気がして、楽しい時間を過ごすことができた。



3‐4 十六日目


「赤の他人が親子水入らずの時間を邪魔するわけにはいかないです」

「そんなことはない。もっと、ゆっくりしていけばいいよ」

二人はそう言ってはくれたが、こちらとしてはそこまでして長居する理由があるわけでもないし、親と約束していた、帰る期限も迫ってきている。

長いようで短かった旅も、残すは我が家への帰路のみである。

姉さんとうみさんはまだしばらくシントにとどまるそうで、これからのことは二人で相談してゆっくりと決めると言っていた。決まったら、手紙を必ず送ると約束してくれた。

わたしも、またいつか会いに行くと約束した。

うみさんはまたもや大きなザックを背負ってわたしを見送りにふもとまでついてこようとしてきた。さすがに今度は、

「差し入れは必要ないです」

と、断った。二人には言えなかったが、実は先日もらった大量の食べ物類の半分近くを、カバンの中で腐らせてしまったのだ。しかし、どんなに強く断っても、うみさん、さらに今回はなぜか姉さんまで一緒になって

「せっかくだから、貰いなさい」

と、言ってきた。仕方ないので、ありがたくガソリン缶だけ貰うことにした。

もとまで見送りに来てくれた二人は、そこでまた、何回も感謝の言葉をわたしに言ってくれた。

「ありがとう」

昨日、一昨日で、この言葉は耳にタコができるくらい聞いた。確かに言われて悪い気はしないが、さすがにうんざりしてくる。二人にとってはそれだけ「ありがたい」ことなのだろう。

別れの挨拶もそこそこに、わたしはシントを後にした。最後の最後に聞いた、徐々に小さくなる二人の言葉は、

「あーりーがーとーうー!」

だった。わたしは、

「どーうーいーたーしーまーしーてー!」

と、返してやった。二人に聞こえたかどうかはわからない。

今度の別れは、わたしは泣かなかった。成長したからではない。嬉しい気持ちのとき、わたしは泣かない。笑うだけなのだ。



4 エピローグ

手紙


 雪の降る、寒い午後だった。

その日、珍しくわたし宛に郵便が届いた。見てみると差出人は姉さんであった。

内容を要約すると、


先日の件はありがとう。変わりなく元気に過ごしているでしょうか。私とうみは元気です。

あれから、姉さんは少しの間、うみと一緒にシントに暮らしました。そこで、うみと話し合った結果、わたしはナギサで、うみはシントでそれぞれ暮らすことにしました。今までと変わらないじゃないかと思うかもしれないけれど、きっと、それが一番良いと考えた二人の結論だから怒らないでね。

これからは、シントか、ナギサか、サカイで毎年夏の時期は必ず二人で会おうと決めたので、そのときにはぜひ遊びに来てください。

追伸、近いうちにあなたの村に遊びに行こうと考えています。予定が決まったら連絡するのでそのときはよろしくね。


と、大体こんな感じの手紙だった。もちろん、それ以外にもたくさんのことが書かれていたが、大半はわたしへの感謝の言葉であった。

それから数週間後、うみさんからも似たような内容の手紙が送られてきた。ただ、うみさんの手紙には、それに加えて写真が三枚同封されていた。一つは、うみさんがまだ小さいころに撮った家族写真で、その両端に若かりしころの姉さんと姉さんの旦那さん、そのあいだに、手をつないだうみさんといずみちゃんが写っていた。姉さんは今とあまり変わっていなかったが、うみさんは今と違って短髪で、男の子っぽい服を着てムッとした表情をしていた。いずみちゃんはそんなうみさんと対照的に、ピンクのかわいらしい服を着て、弾けんばかりの笑顔をこちらに向けていた。二枚目はうみさんの家のベッドの上でへそを出し、よだれを垂らして寝ているわたしを盗撮したもので、これは完全に悪ふざけである。最後の一枚はわたしとうみさんと姉さん、三人で泉を背景に記念にと、撮った写真であった。

わたしはその三枚の写真のうちの二枚を自分の机の上に飾った(一枚は破り捨てた)。

そして、時々、その写真を見ては、いつかの旅のことを思い出すのだ。

 

今度はわたしが約束を果たす番である。

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