9話 出会い
ハァハァ
『間に合った』
[遅いぞライル、何してたんだ。母さんと会った後も祭は見て回るんだから今時間ギリギリまで回ることないだろ。]
『でも、そのおかげで珍しい物買えたんだ。見てよ!守り石、銀貨50枚で買えたんだ。』
[なに〜、銀貨50枚って小遣い全部じゃないか!母さんと後で祭に行く時にも使うから残しておけって言ったよな!]
ゴン!!
『痛ってー!殴るなんて酷いよ。この守り石は珍しいそれも対の守り石って言うやつだよ。』
[ちょっと見せてみろ。こいつは本物か?対の守り石は金貨5枚はするはずなんだが・・・]
ん〜〜、
こいつは本物だな。一度だけ見たことがあるが、色といい、感じる力といいそれと一緒だな。
・・・・・・・だがこっちの方が質がいい気がする。
『いつまでも見てないで返してよ〜〜。』
[あぁ、すまんな返すよ。ライルこいつはどこで買ってきたんだ?]
『これはね、おじいさんから買ったんだよ。この守り石以外にもいろんな守り石売ってたんだ。』
[そんな店が出てたのか、知らなかったな。後で母さんと一緒に見にいくか!]
『道案内は任せてよ!』
[母さんが待ってるだろうし神殿の中に入るか。ライルちゃんと付いて来いよ、じゃないと迷うぞ。]
『わかった、早く母さんのところに行こう!』
ライルの尻尾は母親と久しぶりに会える嬉しさで左右に振られていた
しばらく歩くと二人はある扉の前で立ち止まった
コンコン
[どうぞ、入ってください。]
ガチャッ
バッ
『母さん久しぶり!!』
ライルは母親の姿を見つけると勢いよく飛びついた
その尻尾は大きく左右に振られていた
[あら、久しぶりだからっていきなり飛びかかってくるなんてビックリするじゃない。それにしてもライル大きくなったわね〜。]
ミワはライルの頭をよしよしと撫でた
そんな二人を見つめる二対の目があった
[くくく、ライルは本当マザコンだな。]
[あなた久しぶりね、ライルの面倒見るのをあなたにばかり任せてしまってごめんなさいね。]
[気にするな、お前の方が大変だろう。ところでライルもっと周りを見た方が良いぞ。]
『えっ?』
[ミワあっちに居る女の子の事を紹介してくれないか。]
[あっ!そうね。ほったらかしにしてごめんねレナちゃん。]
「いえ、気にしてませんよ。久しぶりの再会だったんだからしょうがないですよ。」
[そう言ってくれると嬉しいわ。それじゃあ紹介するわね。この子が今私が面倒を見ているレナちゃんよ。]
「初めましてレナと言いますよろしくお願いします。」
そう言ってレナはぺこりとお辞儀をした
ポン、プシュ〜
ライルはその時やっと家族以外の人がこの部屋の中にいるのに気づき顔を真っ赤にして口をパクパクしていた
[初めまして、ミワの夫で神殿鍛冶師をしているドングだ!よろしく。ライルお前も挨拶しろ]
『は、は、はじめましてライルって言います。』
顔が真っ赤なまま、早口に言い終えた
[落ち着きなさいライル。それに比べてレナちゃんは2才年上のお姉ちゃんだから落ち着いてるわね。]
「そんなことないですよ。ライルくんもお母さん大好きないい子じゃないですか。」
[嬉しいこと言ってくれるわね。]
そう言うとミワはレナのところに行き頭を撫でた
[おいライルいいのか?女の子に庇われてるぞ、しかも母さんにいいとこまだ見せてないんじゃないか?ちゃん自己紹介してこい。]
『うん、わかった』
ライルはそう言うとレナの前に行った
『初めまして、ぼくはライルっていいます。父さんのところで鍛冶師見習いをやってます。仲良くしてください。』
そう言ってレナに手を出した
「仲良くしましょうね。」
レナは差し出された手を握った
ミワとドングは握手をする二人を微笑ましそうに眺めていた
ーーーーこれが神匠の鍛冶師と使徒の出会いだったーー
「仲良くなったんだから尻尾触らせてください」
『えっ!!』
レナはモフモフ大好きっ子だった
父親の名前がやっと登場