日常
この世界には、まだ解明されていないことがたくさんある。
それは、あまり実感が出来ないことばかりだけど、僕は、実感している。
痛いくらいに・・・。
僕の今、体験していることなんて、知らない人からしたら、小説やアニメの世界のようで・・・。
僕がイかれてる人間に見えるには、充分な理由になると思う。
だって・・・・。
「また、考え事か?雪夜・・・。」
僕は、ゆっくりと隣を見た。
入ったら、一生帰ることが出来ない、闇のような、真っ黒な猫がそこにはいた・・・。
僕は、もう一度、前を向いた。
そこには、目をおもわず、閉じたくなるくらい明るい赤がある。すごく明るいのに、暗い赤が・・・。
その赤の中には、白・・・。赤の中で映える白に見える、肌の色・・・。人のようなものがある。
僕は、目の前に広がる景色を見ながらいった。
「まぁ、そんなとこ・・・。」
猫がいう。
「何を考えていた?」
「・・・・・。マタさんには、わからないさ。説明しても・・・ね。」
独り言のように、そう呟いた。
「・・・・・帰るぞ。」
「うん・・・・。」
僕とマタさんは、赤に染まったその場所を去った。
「雪夜・・・。」
「何?マタさん・・・。」
「どんなことがあっても、これだけは、覚えておけ・・・。」
「何?」
マタさんは、一度、黙って前を見ると、話始めた。
「奴らは、狩られる側、オレ達は、狩る側。」
僕は、黙って頷いた。
「奴らは、哀しい存在・・・。人にもなれず、バケモノにもなれず、自分達が何なのかもわからない・・・。だから、我々・・・狩る側は、奴らに名前であって、名前ではない・・・。だが、名前というのだろう・・・。そういうものをつけた。その名は・・・。」
「その名は?」
「“ム“・・・・。」
「・・・む?」
「無いという字だ。」
「ナイ?ナイって、何にも無いの、ナイ?」
「そうだ・・・。」
「ふーん。悲しいね・・・。」
マタさんは、僕を横目で見ると、いった。
「これは、お前が生きるための忠告だ。」
「忠告?」
「どんなに哀しい存在だとしても、同情するな・・・。奴らは、何も無いから故、誰かに当たり散らすのだ。そこで、お前が同情して、奴らを殺すことを躊躇したら・・・?」
「確実に、殺される・・・・。」
「そのとおりだ・・・。」マタさんは、そういって、今度は、空を見た。
僕も空を見る。
「わかったよ、マタさん。忠告、ありがとう・・・。」
「あぁ・・・・。」
マタさんは、空を見たまま、まるで独り言のように、そう言った。
空を見ながら、僕は、考えた。
今日の彼らも、哀しんでいたのかな?
彼らにも、僕と同じように感情があるのかな?
「・・・・・いいや。あっても、なくても、関係ないんだ・・・。僕は、彼らを狩る側の人間・・・。彼らは、僕たちに狩られる側。僕たちの関係は、それで充分だ・・・。どんな理由でさえ、人を傷付けるなら、僕は、彼らを狩らなきゃならないんだ。」
誰かのためなら、彼らへの同情は、別の気持ちに変わるだろう・・・・。
そして、僕とマタさんは、しばらく空を眺めていた。
『ピピピッピピピッ』
僕は、ベッドに横になったまま、目覚まし時計のボタンをおした。ゆっくりと目を開く。目に最初に映るのは、青・・・。
僕の好きな色だ・・・。僕は、着替えると、朝食をつくった。
「うまそうな臭いだな。雪夜、今日の朝飯は、なんだ?」
そういって、僕の隣にやってきたのは、長い髪を後ろでたばねている、顔が誰もが見かけたら、振り向いてしまいそうな整った顔をした、美男子だ。
「あっマタさん。おはよう。」
「あぁ、おはよう。で?今日の朝飯はなんだ?」
「今日はね、マタさんの大好物、猫科のマタさんでも食べれる、雪夜特製、オムライスだよ!!」
「おぉ~!!!」
マタさんは、嬉しそうな顔で、歓喜の声をあげた。僕は、オムライスを二人分作ると、急いで、食べた。
僕は、かなり非現実味をおびた世界を見ているが、それ以外はいたって普通の高校生なのだ。
つまりは、何故急いで、オムライスを食べたかというと、学校に遅刻してしまいそうだからである。
「マタさん、僕、そろそろ行くね!!!」
「わかった。なら、オレも行こう・・・。」
「え?それは、どういうこと?なんでマタさんまで僕と一緒に行くわけ?」
「あぁ、いうのを忘れていた。オレもな、学校に行くことになった。」マタさんは、平然と言った。
「・・・・・。」
僕が、意味がわからなすぎて、何も言えないでいると、マタさんは続けた。
「場所はな・・・。」その学校の名前を聞いた瞬間、僕は、マタさんにくってかかった。「はぁ?なんで、猫のマタさんが僕の学校よりずっと頭のいい、学校に行けるんだよ!!!」
「そりゃあ、オレが頭がいいからだろう?」
「嘘だ・・・。ありえない・・・。どー考えても、マタさんなんかより、僕のほうが勉強できるに決まってるのに・・・!!!」
マタさんは、ムスッとした表情で言った。
「なんかとは、なんだ!!なんかとは・・・!!」
「そのままの意味に決まってるだろ!?」
「なんだと!?」
そこで僕は、はっと我にかえった。
「しまったぁ~!!!もうこんな時間だ!!!これも全部、マタさんのせいだぁ~!!!」
「なっ!!! ・・・いや、そんなことは、もういい・・・。それよりも早く行かなきゃ、二人とも遅刻だぞ・・・。」
「あぁ~!!!そうだ!!
早く行くよ!!マタさん!!」
「わかった・・・。」
こうして、僕とマタさんは、学校に向かった。
「ギリギリセーフ!!!」
そういって、教室に入ると、後ろから、誰かに肩を叩かれた。
「どうしたんだよ。雪夜、遅刻寸前なんて珍しいじゃん!!」
「あっおはよ!悠!!聞いてよ~!!朝食を僕の特製オムライスにしたらさ、遅れちゃって・・・・。」
「マジか~!!アホだな(笑)」
「うん・・・って!!アホじゃない!!」
「こういうときは、反応がはやいよな(笑)」
「こういうときは、よけいだ!!」
――放課後。
「んじゃあな!!」
「うん!!」
向こうのほうが騒がしかったので、いってみることにした。
「きゃあ、きゃあ。」
と、女の子達が騒いでる。その中心にいるのは・・・。
「おう!!!雪夜!!」
「・・・・・。」
「どうした?」
「こっちきて!!」
そういって、僕は、マタさんの腕を掴むと、無理矢理連れていった。走り去る僕たちの後ろから、女の子が言った。
「雪夜くん!!!その人のこと、後で教えて~!!」
僕たちは、そのまま二人で家に帰った。
「なんでマタさん、僕の学校に来たんだよ!?」
「そんなの、お前の様子をみにきたに決まってるだろ?」
「あのさ~、ただでさえ、その顔とその制服で目立つんだからさ、お願いだから、これからは来ないでね!!急用の時以外はね!!」
「わかった・・・。そんなことより、今日の晩飯は何だ?」
「・・・・・。全然わかってないだろ・・・?」
「?・・・ なにをだ?」
「・・・・・この馬鹿化け猫!!!」そういって僕は、マタさんにクッションを投げつけた。だが、マタさんは、顔を横に傾けて、簡単に避けてしまった。
「・・・・・・・。」
「? どうした?」
「・・・別に・・・。夕食の用意するから、手伝って・・!」
「わかった!」とマタさんは、まってましたというように返事をした。
さてと、今日はマタさんにムカついてるから、マタさんの嫌いな食べ物をつかって夕食のおかずをつくろう。
こんなよくわからない小説を読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
嬉しすぎて泣けます(T ^ T)
まだまだ続くので、これからもよろしくお願いします( ´ ▽ ` )ノ