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境界を思う者への皮肉な話
そして、また教授は飛び降りた。
あの教授は不思議な事ばかり言っている。一応ぼくは否定するけど、内心は賛同してるんだよ。これも僕の日常を継続するため。
「教授?大丈夫ですか?」
階段を下りていくと、下の階の窓の外には教授が倒れていた。声をかけるといつも立ち上がるんだ。
「いやー、あの時は本当に死ぬかと思ったね」
近くの扉から校舎に入ってきて、そして始まる教授の熱弁。更に更に下へと降りながら僕は教授と話をするんだ。これが僕の日常、僕の常識
僕は途中で去る、だって教授の飛び降りる姿を見たら助けてしまうかもしれない。そうなると僕の日常が崩れてしまう。
ほらほら、また落ちていった。多分落ちたショックで記憶でも飛んでるんだろうね。
いつもいつも暗い中、決して次に進むことは無いよ。だって望んでいないから。
僕にはこの日常だけで充分、終わりなんて境界線は要らない、ずっとずっと楽しいんだから、楽しい事は終わらせたくないんだから。永遠と一緒だよ
「いやー、あの時は死ぬかと思ったね」