これからどうしようか
おひさしぶりです。
受験、無事に終了しました。
親にパソコンを制限されてしまって、新学期からは週末しか使えなくなりました・・・orz
こうなったら、春休みの間に使いまくってやる!!
ということで、更新速度は遅くなってしまうと思いますが、付き合ってくれたら嬉しいです。
視界が開けた先には、薄暗い森が広がっていた。
・・・と思う間もなく、4人はリンの結界に覆われていた。
「お姉ちゃん、どうしたの~?」
「どうしたもなにも、このまま魔物に見つかって襲われても良いなら止めるわよ。」
「えぇ~!!ちょっ・・・それは勘弁してよ、リン姉。」
「冗談よ。」
そこは、この世界で最も危険な魔獣達が巣くう「迷宮の森」だった。
リンが結界を展開していなかったら、たちまち匂いを嗅ぎつけた獰猛な魔獣の餌となっていただろう。
「さて、3人とも少し下がってくれる?」
リンは3人を下がらせると、自分達の容姿を決めた時の様な半透明のウインドウを出して、何かを入力し始めた。
状況から考えると、リン固有の創造能力で何かを創っているのだろうが、このような魔獣がたくさんいる危険な森のど真ん中に何を創るつもりなのだろうか。
リンは何も説明してくれないが、それを理解しているであろうカイが何も口出しをしないので、弟妹は何の不安も感じていないようだった。
さて、いったい何を創っているのだろうか?
リンが最後にポンっとウィンドウを叩いた後、そこに現れたのは3階建てくらいの巨大な塔だった。
と、その直後リンはいきなり駆け出しカイの胸に飛び込んだ。
「見て見て、カイ。私0から頑張って創ったわ。」
「うん。お疲れ様、リン。」
学校では『我侭なカイにリンが呆れながらも世話を焼く』という形で付き合っている二人だが、実際は『無表情なリンが甘えまくりカイがその相手をする』が正解だ。
リンは家に帰ると愛想笑いを取って無表情になる代わりに、しっかり者のお姉さんから彼女の本質の一つである、甘えん坊な少女になるのである。
何も無い所から想像力だけで新しいものを創り出すのは、大変な作業だ。
細かい所はウィンドウで修正できるものの、大まかな形はリンの想像から再現される。つまり、モデルもないのに明確な形のイメージを頭の中で展開させなければいけないということになる。
それを成し遂げるリンの想像力・創造力はすごいの一言につきる。
「えーと…リン姉、この塔どうすんの?」
今まで馬に蹴られたくないとばかりにだんまりを決め込んでいたリクがたずねると、
「え?もちろん、ここに住むのよ。」
カイに抱き着いたままのリンが、こともなげにそう答えた。
まあ、ある程度予想はしていたので、やっぱりそうだったか…と諦めるしかない。
情報も行くあてもないこんな状況で動くのは愚策としか言えないので、ここでしばらく過ごすのだろう。
いや、情報はリンとカイが蒼夜からもらっているはず…それなら何のために…
「え~?なんで~?」
リクが普段使わない頭を珍しくフル回転させて答えを出そうとしていた所で、レナがリンに質問をした。
それによってリクが少しムッとしたことも、相手がレナだからすぐに許して機嫌を良くしたことも、そしてリンがそれに気づいて、面白そうだから後でからかおうと思っていたことも別の話。
「なんでって、この世界には魔物やら山賊やらがうじゃうじゃいるのよ?
戦い方も知らない状態で町へ出る気?ここでしばらく修行するわよ。」
「は?戦い方なら俺ら道場で「ならリクは生き物を殺したことがあるの?虫なんかじゃだめよ。犬や猫は?ないでしょう?私達はこれから生き物を殺していかなきゃいけないの。山賊に襲われたら人間も殺さなくちゃいけないわ。それが今すぐできるの?ねぇ」
「リン」
カイがそう呼びかけるとリンはピタリとまくし立てるのをやめた。
「リン、怒ったリンも可愛いけど、笑ってるほうが僕は好きですよ。」
「ん。分かった。」
「リクも涙目になってるしね?」
「いや、人が泣きそうになってるのを見るのは面白いから良いの。」
「うーん・・・それに関しては僕も全面的に賛成するけど・・・」
「ちょっと待てよ、リン姉に兄貴!!それなんかおかしいから!!」
こうしてなんだかおかしな方向に向かっていた会話はリクの一言で打ち切られた。
ちなみに、一言も発していなかったレナはというと、
「・・・ZZZ」
この騒ぎなど関係ないとばかりに熟睡していた。実にマイペースである。
そんなこんなで、しばらく塔に滞在することになったわけだが一つ問題が起きていた。
どういう問題かというと…
「なんで俺とレナが同じ部屋なんだよ!!おかしいだろ!!」
そういうことである。なぜかリンとカイ、リクとレナが同じ部屋で暮らすことになっていた。
いや、リクとしては大歓迎である。レナと好きなだけいちゃいちゃできるのだから。
しかし、恋人同士の男女を同じ部屋で生活させて良いのだろうか。とリクは考えたのだが・・・
「あら、それじゃあカイと一緒にいられないじゃない。」
そんなことだろうと思ったよ。とリクが呆れかえって兄はどうなのだろうかと振り返ると
「どうしたんだい?リクたちもヤることはもうヤっているんでしょう?いまさらですよ。」
「なっ・・・え、マジ?知ってたの?」
それはもう良い笑顔でとんでもない一言を言いはなって、リンと一緒にさっさと塔の中に入っていってしまった。
言い訳すらできなかったリクは真っ赤になりながらも、まだ眠っているレナを抱えて(俗に言う‘お姫様抱っこ”というやつである)渋々塔へ入るのだった。
これから彼等の、リンとカイの愛の鞭に溢れたスパルタ教育が始まるのだった。
なんせ、戦い方やこの世界の言葉・常識など、覚えることは沢山あるのだから。
ありがとうございました。