異世界へ
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とても嬉しいです。
一話が短くてすみません。
その後、3人の姿はすっかり様変わりしていた。
レナは金髪ショートヘアーで青い瞳をした美少女に、リクはアルビノの美少年に、そしてカイは、黒髪の長髪で琥珀色の瞳をもつ美青年になっていた。
「よし、完璧。蒼夜もそう思わない?」
「うん。すごく綺麗だね。ここまで美しくなるとは思わなかったよ。」
「そうでしょう。なんたって、この私の最高傑作だからね。」
蒼夜に3人を褒められたリンは、今まで無表情だった顔を少し緩ませてそう言った。
なるほど、たしかに4人とも“絶世の”とつくほど美形である。
「それで?次の願いを言っても良いかしら?」
そう言って少し首をかしげたリンの、さらりと落ちた銀の髪とあらわになった白い首筋に、その場にいた4人はドキリとした。神である蒼夜でさえも、だ。
「私たちの体を強化して欲しいの。異世界に行ってすぐ死ぬのはさすがに嫌よ。」
それがリンの3つ目の願い事らしい。
「もちろん良いよ。他にはないかい?どうせなら一気に授けた方が良いからね。」
「そうね・・・無限の体力と魔力って可能かしら?」
「ち・・・ちょっと待って!!そんなことをしたら、4人とも不老不死になってしまうよ?いや、できることはできるけども・・・・・・・。」
リンの言葉を聴いたとたん、蒼夜はあわててそう言った。
まあ、不老不死になってしまうというのは、実際つらいことである。周りの友人達は老いてゆくのに自分だけは若いまま置いて逝かれてしまうのだ。それはかなり精神的にキツイものがある。
しかし、そのことを4人に説明したところ、
「あら、私はここのみんながいてくれたら、なんの問題もないわ。そうでしょう?」
「もちろん。僕はリン達が一緒にいてくれるなら、他にはなにもいりません。」
「なんでさ~蒼夜はそんなこと聞くんだろうね~?神様なんでしょ~?」
「だよな。こんなあったりまえなこと聞くまでもないじゃん。」
この返事に蒼夜は呆れるしかなかった。
いや、分かってはいたことなのだ。この4人のことを気に入って観察していたころから。
この4人はお互いの間でしか心を開かず、他のクラスメートなどの周囲の人のことは関心を寄せないのだ。お互いさえいれば他がどうなっても良いと、そう思っているかの様に。
実際そう思っているのだろう。でなければ、4人の間でしか本当の自分を出さず、一歩外に出たら偽りの自分を装って行動する、という生き方は出来ないはずだ。普通の人がそんなことをしたら、いつか壊れてしまう。
「はぁ・・・分かったよ。じゃあ少し目を閉じていて。」
そしてまた、あの何かが自分の中に入ってくる感覚。
その感覚が終わって目を開けた4人は、明らかに視力が良くなったことを実感して、願いが叶ったことを確信するのであった。
「さて、私からの全員に授けて欲しい願い事は終わりよ。みんなは個人的に欲しい能力とか、ある?」
「それなら僕は読心術ですね。僕らを騙そうとしてる奴らからみんなを守れますし。」
「じゃあ私は絶対防御が良いな~。どんな攻撃でも防げるくらい、強いの~。」
「それじゃあ、俺は物体の残留思念とかが読み取れる能力な!!情報収集とか必要になったりするんだろ?リン姉。」
「リクにしては頭良いじゃない。私は・・・創造能力かな。みんなの武器とかつくってあげたいしね。」
まあよくそんなこと思いつくものだ。少々甘やかしすぎたか?と蒼夜がもんもんとしていると早くして、と催促がきた。これは悩んでいても仕方ない、と結論付けそれらの願いを叶えると、リンからとんでもない言葉がとびだした。
「異世界に送るなら、一番危険な森・・・えーっと迷宮の森?に転送してくれないかしら?これが、最後の願いよ。」
迷宮の森は、凶暴な魔物ばかりいる本当に危険な森なのだ。
なんのためにそんなことを言ったのかはわからないが、蒼夜はリン達には何を言っても無駄、と判断してなにも言わずに転送したのだった。
「いってらっしゃい、僕の愛しい子たち。楽しんでおいで。」
ありがとうございました。
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