ここはどこ?
「ん……」
(あれ?…ここは…)
目覚めたカイが周りを見回してみると、そこはひたすら白い、果てが見えない空間だった。
そして、そこには足元にうつぶせで倒れているリクが居た。
「おい!リク起きて下さい!!」
「ん……兄貴?ここどこ??」
リクは兄に単純で、でも現在における最も重要な疑問を投げかけた。
しかし、その疑問に対する答えをカイはもっていなかった。
(確か…僕らはトラックに轢かれた筈………あれ?何で生きているんでしょう??)
「その質問には私が答えよう。」
「「!!!!」」
そう言ったのはいつの間にかそこに居た、蒼い髪の男性だった。
そう、常人の何倍も気配を読むことに長けた二人に、話しかけるまでその存在を気付かせなかったのだ。
驚きで固まっている二人に彼は続けた。
「ここは時空の狭間。そして私は…神、と言ったら信じてくれるかい?」
その男性が言った途端、カイはすがる様に叫んだ。
「神?もし…もしも本当に神様なら教えて下さい!!リンは…リン達はあの後どうなったんですか!?」
それを聞いたリクも、疑問をぶつけた。
「そうだ!あいつらは無事なのか!?」
その勢いに呑まれた男性は、生きてるけど…と呟いた。
しかし、それを聞いて二人がほっとした瞬間、でも…と続けた。
「生きてるし怪我も殆どないけど、今意識を失ってるよ。
君たちの死がよっぽどショックだったみたい。目が覚めるかどうかは、ちょっと分からないな。」
それを聞いたリクが、神様なのに?と呟くと、男性は神様だって万能じゃないんだよ。と返した。
そのやり取りの間に冷静になったカイは、こう神様に頼んだ。
「リン達を、ここに連れて来てはくれないでしょうか?」
「それは……君たちの恋人を殺して魂をここに連れて来る、ということかい?」
「はい。リクも異論はないよね?」
「もちろん。当たり前じゃん!!」
この会話を聞いていた神様は驚いていた。
まあ、自分が死んだからといって、恋人も殺して連れて来いなんて言う人間はそうそういないのだから、驚くのも仕方ない。
「何故…と質問してもいいかい?」
「いや、だってなぁ……あいつらはこのままじゃ壊れるぜ?」
神様の質問にはリクが答えたが、それでも意味が分からなかったので、神様はカイに詳しい説明を求めた。
すると、カイはこう答えた。
「まず、目が覚めたら自分のせいで僕達が死んだと思い詰めて、心が壊れると思います。
それに、僕達はお互いがいないと上手く猫をかぶれないですし。」
だから僕もリンがいないと生きていけないんだ。とカイは続けた。
「まあ、そういうことなら…。それじゃあ、今から彼女達をここに呼ぶよ。」
神様がそう言って指を鳴らすと、辺りは白銀の光に包まれた。