プロローグ
「ねえ…あなた…」
「なんだい…?美矢…?」
「あなたは…平気…?」
「…………」
「私は…辛い…この子を残して逝くことが…」
「…僕だって辛いさ…でも…この子のためなら…それでもいいよ…」
「…そう…よね…この子のため…よね」
「ああ…」
「ねえ…あなた…」
「なんだい…?美矢…?」
「あなたは…この子に…どう生きてほしい…?」
「……………」
「私は…平和に生きてほしい…何も知らずに…ただ…平和に…」
「…それは…無理だよ…」
「……………」
「この子は…全てを知るよ…そして…たくさんの経験をする………喜んで、楽しんで、笑って、怒って…でも時には、悲しんで、苦しんで、挫けそうになることだって…きっとあるよ…」
「……………」
「この子が持ってしまった力は…この子に…そんな道を歩ませるよ…きっと…」
でも…
「そんな道で…いや…そんな道だからこそ…この子はたくさんのものを得るよ…」
「辛いことも、苦しいことも…きっとあるよ…でも、この子にはその時…全てを分かち合える…たくさんの仲間がいるさ…」
「……ええ」
「この子にとって…大切な人がいるかは分からないけどね…」
「フフ…この子が…あなたみたいだったら…いないかもね…」
「おいおい…」
「フフ…」
「…まあいいか…………だから…僕達は祈ろう…この子の歩む道が…この子にとってかけがえのないものになることを…」
「…ええ」
「生まれてきてくれて…ありがとう……………一緒に居てあげられなくて…ごめんね………
……竜矢…