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魔王だけど大好きなお姫様を守るために見習い兵士やらせていただく  作者: 我那覇アキラ
第一章 人間の姫を守りたい見習い兵士の魔王様
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プロローグ

 人が登るにはあまりにも過酷な、とある山岳地帯の中腹部。

 そこに魔王城は存在していた。


 空は常に雷雲で覆われ、まるで城そのものが殺気立っているようだった。

 城の奥深くに存在する魔王の間には、若くして魔族の王となった男が巨大な椅子に座っていた。


 魔王の眼前には、四天王が勢ぞろいしている。

 これまで人間の国へと攻めることもなく静観していた魔王が、ここ最近ついに動きを見せたらしい。

 しかし、いつになっても四天王の招集命令がなく、しびれを切らして自発的に集結したのだった。


「魔王様。ついに世界制圧に向けて動き出したと聞き、我ら四天王! ここに参上いたしました」


 四天王筆頭の男が頭を下げる。

 しかし魔王は目を閉じ、黙ったまま動かない。


「なぜ、何も言わないのですか。すべての魔族を従えて、人間どもを支配することこそ我らの使命! 魔王様、どうかご命令を!」

「駄目だ」


 ここでようやく魔王が目を見開き、口を開く。


「な……なぜでございます? 人間なんて我ら魔族の奴隷、もしくは食料になるために存在しているようなものではありませんか」

「俺に意見するか……」


 そこで静まり返り、重苦しい沈黙が室内全体を包む。


 それから一時間ほどたっただろうか。

 長い沈黙を経て、ついに魔王がゆっくりと椅子から立ち上がった。


「時は満ちた……。そろそろ出るか……」


 魔王はそう言うと、身にまとっていた漆黒のマントを脱ぎ捨てた。


「おお! ついに、でございますね! 我らもお供いたします」

「何を言っている……きさまらは来るな。絶対に、だ!」


 身動きできないでいる四天王を横切り、魔王は無言のまま部屋の出口へと歩んでいく。


「あの……いったいどこへ行かれるのです?」


 四天王の誰かが放った問いかけに、再び場が凍りつく。

 しばらくの静寂ののち、魔王はつぶやいた。


「お務めだ……」


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