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特節 光射す方へ

「どんなに足掻いても、ループから抜け出すことは無理だよ………アロウ」


時間軸上で、クダイはアロウのいる世界を眺めていた。


「今の君には前回の記憶が残っている。………アサキとユラ。彼女達への未練を覚えたままでは、ループをしてしまうのは当たり前だろう?」


千里眼のように強い力でアロウの絶望する顔を見ると、フンと鼻を鳴らした。


「君がループを抜けるには、アサキとユラのことを忘れてしまうしかないんだ。彼女達のことを覚えているということは、“十七年後に君がグリムになる”ということ。そして、十七年後のグリムは必ず十七年前にやって来る」


アサキとユラを忘れられないアロウは、結局、十七年後に時間を超える選択をするのだ。

既に終わった時間の未来は、既に決まってしまっている。

原因となる過去がひとつしかないのだから、過去へ来たところで問題は解決しない。


「愚か者だよ………君は」


アロウ自身の心残りが“偶像未来を生み”、その“偶像未来”からグリムがやって来る。


「フッ。自分の生み出した未来の自分と、永遠に戦うといい。自分の心の中で」


ジャンヌにはしてやられたが、そんなことはどうでもいい。そうなることはわかっていたこと。

グリムがクダイから時間超えを知り得たと言うのなら、アロウは何らかの形でそれを知り得てしまうのだ。

偶像未来とは言え、未来で起きたことは、過去においてはその元となる事象が必ず起きる。


「その仕組みを理解してこそ、真に時間移動が可能となる。ま、もう手遅れだけどね」


顎を上げ、見下す。あまりに無様な真神アロウを。

そして、クダイが次の行く道を探していると、とても熱い気配を感じた。


「………この熱気、まさか?」


その熱気の在りかを必死で探す。


「あそこか!」


宇宙のように静寂と闇に包まれた空間で、点在する小さな光達。それが数多の世界達。その数多くある光の中でも、より強く輝く世界があった。熱気は、その世界へと向かっている。


「フッ………クク………アハハハハッ!これもまた運命なのか!だとすれば、受け入れるだけだ!」


クダイは、自分の望みは叶うことをブランシェットに出会ったことで確信した。

後はその方法を確立させるだけなのだが、案外、それは容易いのかもしれない。と、気分が高揚する。


「次の世界は楽しくなりそうだ」


誰もが惹かれ、導かれる………光射す方へ。



魔女伝説 ロザリオカルヴァ 〜完〜


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