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第十節 接触 〜後編〜

「はぁ………」


昼間の疲れからか、車に乗ってから、ずっと溜め息ばかり吐いていた。


「………大分お疲れだね」


そんな俺を見兼ねてか、ナビシートからクダイが言って来た。


「まあな」


ステアリングを握ってるのは兄貴ではなく俺だ。兄貴はと言うと、今回の情報は信頼性が足りないとかで、キャンセルだと。

でも本音は、クダイのことが気に入らないだけなのだ。多分、今頃は、独自に情報を集め、一人で魔女狩りをする段取りでもしてるだろう。


「………親父とはどんな関係なんだ?」


歳を尋ねると、クダイは俺より一歳だけ年上だ。だから尚更気になる。親父の客人でこんな若い奴はいないだろうし、見るからに政財界の人間ではない。物騒なことに、西洋の剣を二つも持って歩いてるんだからな。


「どんな?まあ、少なくとも愛人ではないね」


フッと笑ってジョークのつもりなのだろうが、全然面白くないぜ。


「別にジョークのつもりはないよ」


「お前は人の心が読めるのか」


軽くツッコミを入れるも、半分以上は皮肉だ。

俺は車を止め、


「今夜はここだ」


魔女狩りをする教会を見た。


「さあて、お前のお手並み拝見と行こうじゃないか。刻印カルヴを持たないお前が、魔女狩りに選ばれた理由を知りたいし」


車を降り、クダイに言ってやった。

クダイは二本の剣を左右の腰に装備させ、


「それは構わないけど、いいのかい?君のお株を奪うことになるよ?」


「ケッ。余計なお世話だ。言っとくけど、刃物で処理出来るような連中じゃないからな」


「フフ。確かめてみたのかい?」


「何?」


「君は刻印カルヴが無ければ魔女狩りは出来ないと思ってるみたいだけど、他の方法だってあるんじゃないのかな?」


意味ありげに笑う。それは、俺が知らない何かを知ってるという証に見えた。


「上等だ。刻印カルヴはその昔、世界さえ終わらせると言われてた力だ。そんな力が、他にもあるなんて思えねーよ」


「世界さえ終わらせる………か」


クダイは一人先に進むと、教会の入口で立ち止まり、こう言った。


「なら聞こう。君は終末を見たことがあるか?」


ゾクリと寒気がするほど鋭い目つきで俺を見ていた。










「いい加減、一人くらいは保護してもらわんと」


男は厳しい口調でアサキにそう釘を刺す。


「わかってるわよ。でも、いっつもロザリオカルヴァが邪魔を………」


「言い訳は聞きたくない。アサキ君、忘れてもらっては困る。我々は遊んでる暇は無いのだよ」


「…………はい」


盾突くわけにもいかず、おとなしく返事をする。


「ダンテ室長。あまり責めないであげて下さい。彼女はブレーメンで大切な任務を背負っているんだ。機嫌を損ねられて辞められては困るし」


二人のやり取りを見ていた女性が庇う。


「ジャンヌ、君は甘すぎる。我々に失敗は許されないのだ」


そう呼ばれた女性は、ショートの髪を耳にかけ、アサキを見て苦笑いした。

若いアサキが一生懸命なのを理解してやれるのは、同じ女性たる自分しかいないと考えているのだ。


「それはそうと、そのロザリオカルヴァが今夜も動き出したようだ」


話を切り替え、肝心の本題にはいる。ジャンヌが仕事の顔になったのを見て、


「そこに魔女はいるのか?」


ダンテもまた気持ちを切り替えた。


「どうだろ?ボクのところにはなんの情報も来てないよ。かと言って、みすみす見てるだけってのも………ね」


そう言ってアサキを見る。行けと言っているのだ


「わかったわよ。行って確かめて来るわ」


ツンとした態度で了承した。

立場が低いというのは、何かと不便極まりない。


「いや、待ってくれ」


行けと言ったジャンヌが止めた。

ダンテもその真意は解ってないようで、何を言おうとしてるのか興味が湧く。


「何よ。忙しいんだから早くして」


「まあ、そんなに突っ掛からない。実は提案があるんだ」


ジャンヌはダンテに向かって言った。


「提案?」


「ああ。ボクらブレーメンは、どちらかと言えば小さな組織だ。今はまだ真神まがみがこちらの詳細を把握しきれていないから行動に制限されないが、もし真神まがみが本気になったら、ちょっとマズイよね」


ジャンヌという女はキレ者だ。その脳内で思考され、生み出されるものは、ある種の理論として成り立つんじゃないかと思うものが多い。だから、ダンテはジャンヌが言い終えるのを待つ。

しかし、アサキにはどっちでもいい。何を言われようと、実行するのは自分なのだから。


「そこでさぁ、ロザリオカルヴァの一人をこっちに引き込んだらどうだろ?」


「な………何言ってんの!?それって、仲間にするってことでしょ!?冗談じゃないわ!」


即行で否定するアサキだが、


「面白いね。しかし、仲間にしてどうするんだ?」


ダンテは関心強く聞き返した。


「もちろん、ブレーメンの一員として働いてもらう。魔女を狩るのではなく、保護する方のさ」


「バッカじゃない。なんでロザリオカルヴァの力を借りるわけ?私達だけで充分よ!」


「彼らの力は魔女を狩るだけの力じゃない。守ることにも使える力だ。次男の真神まがみアロウは、真神まがみ家との絶縁を望んでるそうじゃないか。なら尚更都合がいい。こちらの思惑を話して、理解してもらえれば力になってくれる。ボクはそう思ってる」


「嫌よ!あんな奴に全部話すわけ?絶対反対だから!」


断固として拒むアサキだったが、


「ロザリオカルヴァを味方にか………。なるほど。それはつまり………」


ダンテはジャンヌの表情を伺う。どうやら思うことは同じらしい。


「いいだろう。接触してみる価値はありそうだ」


ダンテが許可を出すと、


「了承を得たよ。ああ、ボクも一緒に行くから安心して」


ジャンヌはアサキの肩を叩いた。


「さあ、行こうか。真実が暴かれる前に、ボクらにはやらなきゃいけないことがある」


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