表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

人狼ゲームに狂人役で転生したら、なんか可愛いもふもふでてきた(困惑)

作者: fujiiyu

初投稿です。楽しんでいただけたら嬉しいです。


「────いや、無理ゲーなんですけど……」


最恐のホラーアクションゲームの世界に転生してしまったみたいだ。



***



なんとなく参加した3泊4日の古城ツアー。


割り振られた部屋のベッドにダイブしながら外の景色を眺めた。


「───不気味な狼のガーゴイル像?……、ううっ、頭が痛い!」


唐突に、前世でよく遊んでいたオンラインゲームを思い出した。


「…しかも狂人なんて!村人を皆殺しにしないと殺される!」


同時に浮かんできたのはゲームで人狼を助ける狂人の役職だった。


「ふえぇー、もふもふな動物たちがいっぱいでてくる村的なゲームに転生したかったのにぃー!こんなのないよぉー!」


……ごめん。取り乱しました。


簡単に説明すると、人狼陣営と村人陣営に分かれて殺し合うオンラインゲーム「The Werewolf Seven Terrors」、通称「ウルヴン」は知ってるかな。


今いるのがそのゲームの舞台であるエヴァンデール城にそっくりなんだ。


人狼陣営の役職には人狼と狂人の2つがある。


昼の間、人狼は村人のふりをしていて、夜になると化け物に変身して村人を殺す。


そして、人狼は様々な特殊能力を使って村人を追いつめるんだ。しかも夜の間は無敵。


えっ、狂人は?何もないよ。人狼の太鼓持ちだね。昼に狂言や嘘で場をかき回すのが主な役割。


ただ、人狼は誰が狂人かわからないので、夜は普通に殺される。そのため、村人と一緒に逃げるのがセオリー。


まあ、狂人も人狼が誰かわからないので、誤って投票することもあるからお互い様だけど。


村人陣営は何も能力が無いノーマル村人の他に、占い師、騎士、霊媒師(れいばいし)などがいて、彼らの能力で人狼に対抗できる。


ゲームの流れとしては、昼は会話による心理戦、夜は人狼vs村人のマルチアクションで進んでいく。


具体的には、昼はエリアを探索しながらチャットで会話していき、一定時間が経過すると強制ワープ。


そこで、投票の多数決により人狼が化けていると思われる1人を吊る(殺す)。


夜に向けて、武器や罠の準備も昼に行う。


夜は人狼が襲ってくる。時間が経過するか、誰か1人が人狼に食べられたらラウンド終了。ジェイソンから逃げるゲームとかあったよね。あれに近い。


配役はゲームの開始時にランダムで決まって、舞台もオーソドックスな村からキャンプ場、古城などランダムで選ばれる。


ざっとこんなところかな。


「うーん……。どうしよう」


ゲーム通りに狂人のロールプレイをしないで、村人と一緒に人狼を倒せばいいんじゃない?と思うかもだけど、それは難しい。


ご丁寧にも、村人陣営勝利時に人狼と一緒に狂人が(はりつけ)になっている姿が描写されるからだ。


また、城から逃げ出すことも、陸の孤島のため迎えが来る4日後まで難しい。


「本当にゲームの世界なのか、どこまでゲーム通りかもわからないし、もう少し情報を集めた方が良さそうね……」


城を散策することにした。



****



「……クレア・ドゥ・ミニオン様ですね。いかがされましたか?」


廊下を歩いているとメイドに声をかけられた。


あっ、ちなみに私の名前はクレアだ。一応貴族の令嬢をしている。


「部屋にずっと(こも)っていてもあれなので、城の中を見て回ろうかと……」


「そうですか……。念のため、地下には行かないように注意してくださいね。えっと、少しおかしな噂を聞いたので……昨夜地下付近で、大きな動物のようなものを見たそうです」


「えっ、そうなんですか!?」


私は驚いて聞き返した。


「あの……衛兵の人が話しているのを聞いただけなので。多分大きめのネズミ

とかだろうとは思いますが……。あっ、城を見て回るなら────」



*****



話に出てきた地下の動物は人狼なのか気になったのだけど、メイドのミミさんからお勧めされた宝物庫や大砲体験が思ったより楽しく、熱中してしまい、時間は夕方になっていた。


「いけない いけないっ!人狼のことを調べるんだった。えっと……」


廊下を歩いていると、突然大きな何かにぶつかった。そして、牙がギラっと光った。


「わっ、きゃぁ───!!!!」


私は声を上げて全力で逃げた。

大きな何かが追ってくるのが肩越しに見える。


もう無理──────そうだ!狂人であることをカミングアウトすれば助かるかも。振り返って叫んだ。


「うぁ、わ、私の役職は狂人です!!見逃してもらえるなら人殺しでも何でも手伝いますっ!」


『───────────』


大きな何かは言った。


『……人殺しは良くないよ』


驚いて見ると、なんかめっちゃもふもふしていることに気づいた。


「えっ、人肉とか食べるんじゃないんですか?」


『ベジタリアンだから食べないよ。ひまわりの種とか好き』


さらに、大きな何かに近寄ると、目がクリッとしていて、大きな頬袋(ほおぶくろ)を持っていることがわかった。


「────って、ハムスターじゃん!!」


追ってきていた大きな何かは人狼ではなく、ハムスター人間だった。えー。


すると、騒ぎを聞きつけたのか人が集まってきた。


「あれ?クレアさん。地下には行かないようにって言ったのに───」


「ミミさん?って、ウサギ!?」


メイドのミミさんの声をしたウサギ人間が覗き込んでいるのが見えた。


「いや、アナウサギですよぉ」


そこは、ウサギでいいじゃん。


他の人たちとも話をすると、フェレット人間や、シマエナガ人間、スナネズミ人間など(鳥人間、ネズミ人間でいいのでは?)たくさんの獣人がいることがわかった。


人狼ゲームでも第三勢力として妖狐や猫又はいた。あと、変身能力を持つ獣人はライカンスロープとも呼ばれている。語源は人狼らしいけど。


『ごめんね。僕が驚かせてしまったみたいだ。ちょっと倉庫にある種を食べたくなって───』


ハムスター人間の人が謝罪しながら事情を説明してくれた。


どうやら、この古城のある地はハムスター人間の一族が代々治めており、各地の獣人たちが隠れて移り住んでいるらしい。


『僕たちは人狼がこのツアーに現れるという情報を入手して秘密裏に調査に来たんだ。夜は人狼が来るかもだから部屋にいた方がいい』


人狼はハムスター人間たちとは別にいて、ゲームと同じで人を襲う邪悪な存在みたいだ。


「みんな!人狼が出た!!」


突然、左肩を負傷したシマリス人間が駆け込んできた。


「……グゲゲ、ギャギャギャ!!」


気色悪い人と狼を混ぜ合わせたもの───

人狼がそこにいた。


『───くらえ!───種マシンガン!!』


ヒュッ、ビシィ、ヒュッ、ビシィ、ヒュッ、ビシィ


ハムスター人間、もうハムさんでいいや……が頬袋(ほおぶくろ)に貯めていた何かの種を人狼にぶつけた。


「ウギャッ!ギャッ!ギャッ!」


人狼は痛そうにしている。


『ハムプレス!!』


ハムさんは人狼にのしかかった。


「グギャア!」


『そぉして────しっぽ!!』


ハムさんはしっぽを人狼にぶつけた。短かい!


「……グフッ」


「…………おぉおおお!!やったぁあああ!!」


歓声があがった。どうやら、人狼をやっつけたみたいだ。



******



事情を知ってしまった私は、色々あってハムさんやミミさんたちと暮らすことになった。

(ハムさんの名前はハミュエル・フォン・ガイスターで本当にハムさんだった)


そういえば、私は人狼陣営の狂人だったはずだけど特に何事もなかった。


第三勢力のハムスター人間たちが勝利したからだろうか。


もふもふ最高っ♪

読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ