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テーブルの上のLSI。
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歯の痛みはすでに消えていた。ぽっかりと歯茎があいている感触。
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ログインするとメールが来ていた。対話式の簡易施設侵入ソフトをくれた友人の悪党からだ。
『街が歪んでるぜ!』
後は文字化け。
ふいに眠気に襲われて布団に入る。鎮静剤がまだ利いているようだ。頭が痛い。寝入り端、一週間前からの約束だった恋人とのデートをすっぽかしていたことに気がついた。
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……が、それも後の祭。
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今日はもうどうしようもない。
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妙なようだが、仕事のことを忘れていられるのがありがたかった。
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医療関係の化学センサーなどを開発しているとストレスが貯まる。性能が不十分だとフィールドで人が死ぬからだ。もちろん、完全なものなどありはしない。表示値が合わないなどのクレーム対応に追われて日々が過ぎていく。自分で満足できるところまで開発を遅らせる余裕はないが、それでも事態は勝手に遅れる。企業の規模が小さいので、ひとつの開発分野に素人専門家がひとりでもいれば、まだ良い方だ。お偉いさんの知ったかぶりを聴かない日には、それでも少しは幸福が訪れる。会議が午後の日射しを腐らせていく。