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   ◇


 公園に着くとローティーンが数人遊んでいた。学習塾の帰りか、五人の男生徒と女生徒が大きなボールを蹴っている。そのボールが廃屋になった公団住宅の窓ガラスに当たり、セラミック音を撒き散らして派手に割れた。破片が飛び散り、それがステレオグラムを形作る。LSIという文字が浮かび上がった。


   ◇


 その文字が目の中に飛び込んできた。


   ◇


 心臓がトクトクと鳴っている。


   ◇


 水銀灯が眩しく目を射り、かけらのひとつひとつがさらに細かく分解されていくのが、マーキュリ色の光の中に浮かび上がって固まった。歯を噛みしめると、ガリッと音がして、親知らずが完全に割れてしまった……ような気がした。次の瞬間、苦い味が舌をつき、食味が混乱。ややあって、親指と人差し指で細い針金部分を摘んで引っ張り出す。

 出てきたのは〈LSI〉。

 知っていた気がしたのは何故なのだろう?

 ふと、砕け果てたガラスの破片に目を向けると、そこに夜空が映っていた。


   ◇


 子供たちのボール蹴り遊びはもう終わっている。


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