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ゴリダムの真の力

 僕の右手に新しいスキルが宿ったのを感じた。

 三本目のスキルの手だ!

 ったく、急に使えなくなったと思ったら理由もわからず使えるようになるし、今度は願った通りにレベルアップか!

 まるで神の気まぐれだ!

 なんて都合のいいスキルなんだ!

 でも、今は心から感謝したい。


「みんな、ゴリダムから離れてくれ! ダンク、僕を信じろ!」


 僕は右手に持った杖をゴリダムに向けた。

 僕の右手から新しいスキルの手が伸びて、苦しむゴリダムに触れる。


「ゴリダムに抗う力を!!」


 ゴリダムの銀色のボディが更に光を放つ!


「アスラ、ありがとう! 力がみなぎってくるぞおお!」


 ドムドムドムドム!

 ゴリダムが胸をドラムのように打ち鳴らし咆哮した!


「ゴリダム! やった!」

「ゴリダム様!」

「ゴリダム助かったのか!」


 いったいどんなスキルの効果なのか不安だったが、ゴリダムが魔物の魔法に打ち勝ったのは確かなようだった。

 よかった!

 解放されたゴリダムが竹林の方を睨む。

 魔物たちがいっせいに竹林から飛び出しゴリダムに向かってくる。

 その先頭には、これまで倒した魔物の何倍もの大きさの狐の化け物がいた。

 あれがこの魔物の群れのボスに違いない。


「今なら使えるぞ! 王にいただいた我が真の力! ゴリダムチェーンジ!!」


 ゴリダムのピカピカのボディ全体に光の筋が走ったかと思うとパカリと開いてゴリダムの体がガチャガチャと形を変え、瞬きの間にゴリダムは人型の戦士型ゴーレムへと変形を遂げた!


「すごい! ゴリダム様!」


 サクラが飛び跳ねて喜ぶ。

 ゴリダムはそのまま魔物の群れに向かっていき、どこから出したのか剣で魔物たちを切り裂いていく!


「ゴリダムソード!! ゴリダムビーム!!」


 ボボボボッとゴリダムが放ったビームで数十体もの魔物たちが吹き飛ぶ!

 戦士の王は転生者だったらしいが、相当やばい兵器を作った奴だな……。


「ぐっ!」


 魔物の群れのボスがゴリダムに飛びかかった!

 ゴリダムは魔物の牙を剣で受けるが、のしかかられて倒れこんでしまった。


「ゴリダム!! 助けるぞ!」


 ダンクが魔物の群れのボスに向かって炎の槍を打ち込んだ!

 しかし、ボスはビクともしない。


「ゴリダム負けるな!!」

「ゴリダム勝って!!」


 神官学科の生徒たちからもゴリダムに向けて声援が飛んだ!


「うおおおおお!!」


 ゴリダムが徐々に魔物のボスを押し返していく。

 そしてついにボスを突き飛ばした。

 体勢が崩れたボスにゴリダムが追い打ちをかける!


「ゴリダムファイナルバスター!!」


 コ、コーン……!!


 ゴリダムの全身から放たれた光の矢が、魔物のボスを射貫いた!

 魔物のボスは致命傷を負い、黒い煙になって消えていった。

 ……この世界の魔物は死んだら煙になって消える。

 ゴリダムは勝ったんだ!!


「ゴリダム! やったね!」

「ゴリダム、ありがとう!」

「ゴリダム様、カッコよかった!」


 僕たちは嬉しさのあまりゴリダムに駆け寄っていった。

 ゴリダムの体は再びゴリラのゴーレムの姿に戻っていた。

 そして、その場に跪くように倒れこんだ。


「ゴリダム!?」


 ゴリダムがはぁはぁと息を切らしながら言った。


「私はどうやら力を使い果たしてしまったようだ。……おそらくこのまま、また長い眠りにつくことになるだろう。」

「そんな! ゴリダム!」


 みんなもゴリダムの異変に気付いて、勝利に沸いていた雰囲気が一変した。


「まさか、僕のせいで……。」

「アスラのせいではない。私は役目を果たせたのだ。君には感謝している。」


 ゴリダムが優しく僕に言う。

 ダンクがゴリダムに抱きついて泣きそうな顔で叫んだ。


「ゴリダム! 行くな! 俺を置いて行かないでくれ!」

「ダンク、これは決して悲しい別れではない。少し眠りにつくだけだ。……そんな顔をするな。私はダンクなら大丈夫だと信じている。」

「ゴリダム……。」


 やがてゴリダムは目を閉じて動かなくなった。

 僕らは一言も発することなく、ゴリダムの側から動かなかった。


 夜が終わり、隣の街まで応援を呼びに行っていた何人かの神官学科の生徒たちが、教会の騎士を連れて戻ってきた。

 東の国に魔法警察があったように、西の国では教会の騎士が治安を維持する役割を担っているらしい。

 操られた村の人たちは倒れたままだったが、みんな息はあるようだった。

 そういえば、エンジェル先生の姿を見かけない気がするけど……。


 高速魔法バスの出発時間はとうに過ぎていた。

 教会の騎士たちが高圧的な態度で僕たちに事情聴取を行っている。

 ダンクもサクラも、ゴリダムが教会の騎士に連れていかれないように守っていた。

 なんなんだよこいつらは。

 僕は苛立ちをつい教会の騎士にぶつけてしまった。


「隣の村がこんなことになっていたのに、教会はまったく気付いてなかったんですか?」

「なんだと、貴様!!」


 今回はたまたま僕ら魔法使い学科とゴリダムが同行してたから助かったけど、神官学科だけだったら取り返しのつかないことになっていたんだぞ。

 タイムもメイノも、命の危険があったんだ。


 教会の騎士たちは僕らを解放する気配がない。

 こうなったら魔法で蹴散らしてでも……。

 僕は杖を構えて睨み返した。

 ダンクとサクラも杖を持って教会の騎士たちに対峙する。



「おーい、メイノ!」

「お父さん!」


 その時、髭を生やした小太りの男性が村に入ってきてメイノの名前を呼んだ。

 え?

 あれがメイノのお父さん!?


「魔物に囲まれていると気付いた時、伝書魔法で手紙を父に送っていたんです。よかった、来てくれたみたいです。」


 メイノのお父さんは西の国の大地主らしい。

 メイノのお父さんが教会の騎士と話をしてくれたおかげで、騎士たちは隣の街に帰っていった。

 僕らはメイノのお父さんが用意してくれた馬車に乗って村を後にした。

 馬車は魔法ではなく鳥のような羊のような大きな生き物に引かれていた。

 もちろんゴリダムも一緒に連れて帰る。

 エンジェル先生は行方知れずになっていた。

 聞いたら、村の人も何人か居なくなっていたらしく、魔物に連れていかれたのではないかと言われていた。

 嫌いな先生だったけど、できれば無事でいてほしいと僕は思った。


 こうして僕の初めての西の国は、最悪の体験になってしまった。

 季節は春に差しかかる。

 木々に付いた硬いつぼみが開いて花になり、地面の草木が芽吹けば、僕らは二年生になるのだった。

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