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秘密の特訓

 ゴリダムは毎日僕らのクラスの後ろに居座り熱心に授業を受けていた。

 最初は落ち着かなかった魔法使い学科の生徒たちも、すっかりゴリダムに慣れてしまって普段の様子と変わらなくなった。

 いや、授業の合間にはゴリダムと生徒たちは普通に会話をしていて、もうみんなすっかりゴリダムを同じクラスの一員のように扱っていたと思う。


 僕はというと、時間を見つけては自分の転生スキルを解除するために試行錯誤をしていた。

 魔法を無効化するスキルを無効化する魔法……。

 僕のどんな魔法でも作り出せる右手のスキルでも作り出すことができなかった。

 僕は勝手に自分のスキルで何でも作り出せると思っていたが作り出せない魔法があることがわかった。

 例えば校長先生のステータスを見るスキルを真似た魔法は作れない。

 あれは魔法ではなくスキルだけど、他にも作れない魔法がある。

 伝説の中に出てくるような魔法は僕でも作ることができない。

 魔法金貨も作れないし、永遠の輝きを失わない宝珠の魔法も、魔法学校のような異空間を作る魔法もできない。

 憑依術も出来ない。

 スプリング社が秘匿している光の魔法陣も作れなかった。

 そして……、僕のスキルではゴリダムのようなゴーレムも作れなかった。



「アスラ、最近一人で何をしてるの?」


 授業が終わると同時にファーが僕にそう尋ねた。

 僕はこの後またスキル解除のために誰もいないであろう裏山に行こうと思っていた。

 最近ファーとの勉強会も断ってしまっていた。

 転生者ではないファーには、転生スキルのことを話してもそれを認識してもらえない。

 この世界の人間はなぜか転生や転生スキルを意識できないことになっているのだ。

 辛うじて目の前で起きた出来事は魔法として映るようではあるが、魔法を無効化するスキルについてはきっと言っても受け入れてもらえないと思う。

 今の僕の状況がファーに変な風に伝わるのも嫌だった。

 もしかしたら僕が魔法を使えなくなるかもしれないなんて言えるわけがない。

 僕はファーに心配をかけたくなかった。


「大丈夫、変なことしてるわけじゃないから。ちょっと一人で魔法の練習をしたいんだ。」

「私がいたらダメなの? 危ないことしてるわけじゃないわよね?」

「うん、ごめん。」

「……そう。わかったわ。」


 本当にごめん、ファー。

 きっとすぐにスキルを解除する方法を見つけて、そうすればまた元通りに戻れるから。

 ファーを見送った僕は裏山を目指した。

 さあ、今日こそは!

 気合いをいれなきゃ!



 今日の作戦はこうである。

 最初に魔法無効化のスキルが発動した時、僕とスキルは魔法の攻撃を受けて極限状態だった。

 つまり魔法を無効化する必要性だ。

 今日はこれを作り出す。

 僕はスキルを使って魔法陣を作った。

 この魔法陣は土を動かして大砲のようなものをいくつも作る。

 そして僕に向けて石の弾を撃ち出す。

 当たったら痛いだろうが、それくらいの緊張感が必要だ。

 僕は覚悟を決めて魔法を発動した!


「危ない!! 何をやっているんだ、アスラ!!」


「あ!」


 いっせいに大砲が撃ち出した石の弾が僕に当たることはなかった。

 ゴリダムが林の中から僕の前に飛び出し、その銀色のボディで僕の体を包み込み石の弾から僕を守った。


「ゴリダム!」

「大丈夫か、アスラ!」

「あ、ありがとう……。」


 思わずお礼を言ってしまったが僕の作戦は失敗である。


「アスラ、なんでこんなことをしたんだ?」

「いや実は……。」


 って、ゴリダムに転生スキルのことを言ってもわからないよな……。


「もしや、君が転生者であることと関係があるのか?」

「え!?」


 僕は驚いてゴリダムを見た。

 ゴリダムはその澄んだ真っ直ぐなゴリラの目で僕を見返す。


「どうして転生者のことを?」


 ゴリダムは僕を地面に降ろすと僕の横に座り僕の質問に答えはじめた。


「私を作った戦士の王ダリアムは転生者だった。私たちゴーレムは王の転生スキルによって生み出されたのだ。私の体には王の魂の一部が埋め込まれている。そのため、転生者のことがわかるのだ。」

「そうだったのか……。」

「四百年も前のことだ。この世界では転生者のことは認識されない。君と出会うまで誰にも話すことができなかった。王はこれを『世界のタブー』と呼んでいた。」


 金属の硬いゴリダムの顔に少しの影がかかったように見えた。

 しかし次の瞬間には、ゴリダムの瞳はまた力強い瞳に戻り僕を真っ直ぐに見て言った。


「アスラ。もう危険なことはしないと私と約束してくれ。」

「わ、わかった。」


「よし。どうしてこんなことをしたのか教えてくれるか?」


 ゴリダムはその大きな手で僕の頭を撫でた。

 ゴリダムの声には優しさが感じられる。

 僕は自分の暴走した新しいスキルのこと、魔法が使えなくなるかもしれないということをゴリダムに話した。

 ゴリダムは静かに僕の話を聞いていたが、困ったような顔で僕を見た。


「すまない、アスラ。私にも君のその状況はどうすることもできないようだ。……しかし、無責任に聞こえるかもしれないが、君はもっと自分自身を信じるべきだ。君はすごい力を持っている。君に乗り越えられない困難は無いだろう。」

「うん、ありがとう。ゴリダムに話を聞いてもらえて少し冷静になれた。たしかに僕は気付かないうちに以前の、騎士になれないと諦めていた頃の自分に戻っていたと思う。それで焦って、一人でなんとかしようとしていた。」

「私が力になれればよかったのだが……。」


 ゴリダムは本当に申し訳なさそうに言った。



「そういえば、ゴリダムはどうしてずっと授業参観をしているの?」


 僕はずっと疑問に思っていたことをゴリダムに聞いた。

 ゴリダムは少し考えてから答えてくれた。


「……私がこの魔法学校にいる理由。実はダンクのことなのだ。ダンクは今、成績不振で留年の危機にあるらしい。私は少しでもダンクのために勉強を手伝えないかと思っていたのだ。」


 そして、ゴリダムは自分とダンクのことについて話しはじめた。

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