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ステラがいなきゃダメなんだよ

 そろそろ次の授業の時間が近づいて、ゴリダムの周りから名残惜しそうながらも生徒たちが離れはじめた頃、僕はそれどころではないことを思い出した。

 そうだ、ステラに会って仲直りしなければ。

 転生スキルのことも校長先生が当てにならないならステラに相談したい。

 しかし、ステラは学校が終わったらすぐに騎士団のところに行ってしまう。

 そして遅い時間まで帰ってこない。

 ということは、ステラには学校の時間の内でしか会うことはできないということだ。


「ファー。僕ステラに会ってくるよ。」

「今から? 次の授業はどうするの?」

「次は確か神官学科の先生の神聖魔法の授業だよね。これだったらサボっても成績に影響は無いと思う。僕、ちょっと行ってくる!」

「アスラ! いったいどうしたの!?」


 僕はファーに教科書などの荷物を預けてステラがいるはずの騎士学科の教室に走って向かった。

 そう、この時の僕は変だったかもしれない。

 普段の僕だったら授業をサボるなんて発想はしなかったはずだ。

 ……賢斗だったら高校の授業をサボることはあった。

 でもその少しの違和感に僕は気付かなかった。



 僕が辿り着いた時にはもう騎士学科の授業は始まっていた。

 窓から中を覗き込む。

 いた!

 ステラだ!

 真面目にペンを持って授業を受けているみたいだ。


「さて、どうしようか。」


 勢いで来たけれど、この授業中に乗り込むのは目立つよな……。

 僕は少し考えて、魔法で水人形を作った。

 気持ちステラに似せてみる。

 僕の作った水人形はドアの隙間から中に入っていきステラの机によじ登った。

 水人形を見たステラがギョッとした顔をしている。

 水人形が僕の方を指して、ステラの袖を引っ張り外に出るように促した。

 ステラが窓の外にいた僕を見た。

 ステラと目が合う。


「グレート先生! ちょっと具合が悪いので早退します!」

「なんだステラ、珍しいな。いや、お前はいつも忙しいだろうからそういう時もあるか。無理はするなよ。」

「はい、ありがとうございます。」


 有り難いことに、ステラは授業を抜け出して僕のところまで来てくれた。


「アスラ、何? どうしたの?」


 とはいえ、ステラの態度は少し棘があるような気がする。


「ごめんステラ。でも、実はステラと仲直りしたくて。」

「仲直り?」

「そうだよ、冬休みの前からずっと会ってもいない。」

「それはアスラが……。」

「うん、僕が悪かったと思う。ステラの気持ちも考えないで自分のことばっかりだった。謝るよ。」

「ファーと私とどっちが大事なの?」

「え?」

「答えて、アスラ。」

「そんな、比べることは出来ないよ。でもステラが僕にとって特別な存在なのは確かだよ。僕にはステラが必要なんだ。僕らは双子なんだから。つまり僕らは運命共同体なんだよ。」

「運命……共同体……。」

「そう。今までだって生まれてからずっと一緒だったし、これからだってずっと一緒じゃなきゃダメなんだ。」

「それって、死ぬまで一緒ってこと?」

「そうだよ。離れたままなんて考えられない。」


 ステラは少しの間何かを考えている風だったが、ハアとため息をついて、

「わかった。」

とだけ言った。

 でもその表情は柔らかくなっていて僕はホッとした。


「ステラ! よかった。」

「別に私もアスラとファーを嫌いになったわけじゃないよ。ただね、アスラもファーのことばっかりだし、ファーもアスラばっかりだから避けたくなっちゃっただけ。そういえばアスラはどうして私のところに来れたわけ?」

「どうって?」

「アスラもファーも私に近づけないようにしてたはずなのに。」

「え? なんでそんなことを? いや、どうやって?」


 ステラはイタズラっぽく笑って言った。


「私の新しいスキルだよ。私の思った通りの展開にできるの。……そうか、もしかしてアスラには私のスキルが効いてなかったのか。道理で。」


 ステラはそう言うと宙を仰いだ。

 いや何かを目で追っているような。

 もしかしたら僕がスキルを使う時に手が見えるように、ステラにもスキルの手が見えているのかもしれなかった。


「おーい、ステラくん、こんなところにいたのか。騎士団のことなんだが急に南の国へ遠征に行かなければならなくなってしまったらしく、今年の学生参加の練習は延期になった。」


 騎士学科の先輩が慌てた様子でやってきてステラにそれだけ告げると、先輩はまた慌ただしく去っていった。


 先輩が去った後にステラが言う。


「騎士団の練習はしばらく休みよ。元々、アスラたちと距離を取るために利用してただけだったから。ははは。」


 ステラは笑顔で僕を見る。

 僕はステラになんて声をかけたらいいのかわからなかった。

 ステラとの距離がもしかしたら僕が思っていた以上に離れてしまってはいやしないだろうか?

 いや、今までこんなに会わない時間が長かったことが無かったから変に感じてるだけだ。

 きっとこれでステラと僕は元のように戻れるはずだ。


 少なくとも僕の目の前のステラは以前と同じ表情に見える。


「さあて、またみんなで街に遊びに行く予定を立てなきゃね、アスラ?」

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