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メイノの隠し事

 夏休みと言ってもこなすべき課題が出されており、意外と寮に残っている生徒は多いみたいだった。

 夏休み中でも食堂は使えるし、図書館も教室も開放されている。

 僕のルームメイトのレオもタイムも僕と同じように寮に残っていた。

 と言っても、レオは短期のバイトが忙しいらしくほとんど学校内にはいなかった。

 レオはただ家に帰ると退屈だから帰りたくないのだと言った。

 タイムは、僕とレオが残ると言ったのでなんとなくで自分も残ったのだと後で打ち明けてくれた。

 家に帰っても退屈だというのは自分も同じだからとタイムは言った。

 僕たち三人は夜に魔法学校の敷地内を探検したりした。

 肝試しみたいなものだ。

 魔法学校の敷地は先代校長の魔法で異空間になっている。

 異空間になっているが普通に山も川も湖もある。

 いったいどこまで広がっているのかわからなかった。


 そういえばタイムが昼間メイノを見かけないと言っていた。

 昼間は僕はファーとの魔法大会の練習に忙しいし、レオはバイトに行っている。

 一人で過ごしているタイムは、魔法学校の敷地内を歩き回っているらしい。

 それでステラたちには会うことがあったがメイノにはまだ会えてないとのことだった。


「メイノちゃんも寮に残ってるんだよね?」

「ステラはそう言ってたけど。ステラに聞いてみようか? もしかしたら部屋にずっといるのかも。」


 タイムがメイノの話をするのは今日はもう三回目だ。


「え!? それじゃなんか僕がメイノちゃんに会いたいみたいじゃない?」

「違うの?」

「……違わないけど。」

「ははは。聞いてみるよ。別に友達なんだから変じゃないよ。」


 僕はタイムと一緒に女子寮に行きステラを呼んだ。

 ステラはよく僕とファーの練習を見に来ていたが、今日は練習は休みの日ということになったので僕はステラとファーにまだ会っていなかった。


「ステラ、今日さ、一緒にランチどう?」

「いいけど。どうしたの?」

「いや、元気にしてるかなと思って。」

「昨日会ったばかりじゃない。まあ、いいや。ランチならファーも呼んでくるよ。」

「うん、お願い。……あ、メイノは?」

「メイノ? メイノは出かけてていないよ。」

「そうなのか。」

「……何? メイノに用だったの?」

「いや、僕は違うけど、タイムがさ、最近メイノに会ってないっていうから。」


 僕はタイムの方を見た。

 タイムは顔を真っ赤にして、僕よりもだいぶデカい背丈を縮込ませて恥ずかしがっている。


「なんでアスラ、言うんだよ……。」

「だから、友達なんだから心配するのは変じゃないって。」


 ステラが僕とタイムを交互に見て、要領を得ないという顔で聞いた。


「心配? メイノの?」

「実は、タイムは昼間学校内を歩き回ってるらしいんだけど、全然メイノを見かけないって言うんだよ。」

「そうなの? でも確かに私もメイノがどこに行ってるのか聞いてない。まさか学校外には出てないとは思うけど……。」


 ステラもメイノの行方を知らないと聞いて、タイムは不安になったのか立ち上がって言った。


「僕、メイノちゃんを探してくる!」

「え? タイムちょっと待って。」


 タイムは僕の制止も聞かず走り出した。


「どうしたの?」


 ファーが寮から出てきて僕とステラはファーにもメイノのことを話した。


「そうね、私もメイノから聞いてないわ。私たちも探してみましょう。」

「探すって言ってもどこを? 森の中とかだと僕らが迷子になってしまう。」

「探索の魔法を使うわ。」


 ファーがノートに魔法陣を描いてその上に手をかざした。

 すっと光が浮かび上がりうっすらと道を指し示した。


「便利だね。初めて見た。」

「東の国では一般的なんだけどね。本当は家の中で物を探す魔法なのよ。でも人捜しに使っても方向くらいならわかるの。……これなら案外近いわね。校舎の方だわ。」


 タイムが走っていったのとは逆方向である。

 タイムは戻ってこなそうなので、僕とステラとファーの三人で魔法の光が指し示す方角に向かった。


 僕たちは人気のない校舎の中に入り教室の中を見て回った。


「誰もいないね。」

「先生たちに聞いてみる? あっちの校舎の職員室に先生たちがいるかも。」

「あ、待って。ここ、ポポス先生の研究室だ。電気ついてる。」


 ステラが電気のついた教室を指さした。

 ファーのノートの魔法の光もその部屋の方角を指している。

 僕らは半信半疑でその部屋の扉を開けた。


「すみません。失礼しまーす。」

「はーい? 誰かな?」


 部屋の中ではポポス先生が椅子に回転させて入り口側を振り返り、僕らを見ていた。


「あ、ステラちゃん、ファーちゃん、アスラくん。どうしたんですか?」


 そして、部屋の壁一面に置かれたケージの前に制服姿のメイノも立っていた。


「メイノ。こんなところにいたのね。」

「はい。ポポス先生に頼まれて、この子たちの世話を手伝ってたんです。」


 メイノがこの子たちと言ったのは、ケージの中の動物たちだった。

 小さな動物から、犬くらいの大きさの動物まで様々な生き物がいた。

 ポポス先生の研究対象ということだろうか。


「そうだったの。」


 ステラがメイノが見つかってホッとしたように言う。


「なんだい、メイノさん。友達に言ってなかったのかい? ダメだよ心配させては。」

「ごめんなさい、ポポス先生。」

「いや、今後は気をつけるんだよ。……どうだい君たちもエサをあげるところを見ていくかな? ちょうどご飯の時間だから。」


 ポポス先生はそう言うといくつかのエサ用の容器を取り出して床に並べた。

 メイノがその容器の中にドッグフードのようなエサを入れ、ケージの檻を開けた。

 するとケージの中から犬のような猫のような動物たちが出てきた。


「ふふふ。可愛いですよね。」


 メイノはその動物たちの後ろにしゃがんで膝をかかえる姿勢で、エサを食べている様子を愛おしそうに眺めている。

 ポポス先生もじっとエサを食べる動物たちとメイノを見つめている。


「うーん、確かに可愛いかも?」


 とは言っても、僕は今まであまり動物と触れ合う機会は無かったので、近寄りがたいというか、僕はどうすればいいのかわからなくてその場に硬直していた。


「あ!」


 その時、ファーが何かに気付いたように声をあげた。


「ちょ、ちょっとメイノ! 立って! こっちに来て!」


 ステラも何故か慌ててメイノに指示を出す。


「え? どうしたんですか?」

「いいから、ほら! こ、この後、用事があったでしょ。それで私たち、迎えに来たのよ。」

「そうでしたっけ?」

「そうよ、ほら立って。早く! ごめんなさい、ポポス先生。メイノは用事があるんで連れて行きます!」


 ファーとステラは急いでメイノを立たせると、メイノを連れ出してしまった。


「どうしたの? 急に?」


 僕はワケがわからず後を追いかけ、ステラとファーに聞いたが

「アスラには関係ないから。」

「アスラは知らなくていいのよ。」

と言って教えてくれなかった。


「もう、メイノ無防備すぎる。あとで言って聞かせなきゃ。」


 なぜかステラもファーもメイノに怒っていて、結局そのままランチには行かずにメイノを連れて寮に戻ってしまったのだった。

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