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誰が妨害しようとしたのか?

「リョウくんから聞いたよ! ステラくん、大丈夫だったかい? ごめんね、気付かなくて!」


 校長先生が、おそらくリョウから聞いてすぐに、僕らがいる選手の控室に駆けつけてくれた。


「今、会場を調べてもらっているけれど、どうやら試合場に隠された魔法がトラップのように置かれていたらしい。そこにステラくんは足を踏み入れてしまったのだと思う。……まさかこんなことがあるなんて、申し訳ない。」


 校長先生は本当に申し訳なさそうに頭を下げていた。

 椅子に座ってジュースを飲みながら普通に僕らと談笑してたステラが慌てて立ち上がり応対する。


「いえ、校長先生。私はミネさんの回復魔法のおかげで問題ありません。……試合も私が勝ちましたから。あ、ごめんね、レオ。試合を中断したくなくて言えなかったの。」

「いやいいんだ。俺は全然気付かなかった……。まだまだだ。」


 レオも汗を拭いて着替えてきた後、いつもの調子に戻ってさっきまで僕らと冗談なんかを言っていた。

 正直僕らはもう既に終わったことのように思っていた。

 しかし、どうやらこの事件は僕らが思っていたよりも大事になっているらしかった。


「今、東の国の魔法警察が来ていて現場検証をやっているところだよ。申し訳ないけれど、今日の夜の剣技大会の優勝パーティは中止になってしまいそうだ。」


 校長先生はステラの足を確認して本当に問題が無いとわかると、それだけ言ってまた慌てるように部屋を出て行った。


「残念だったね、ステラ。優勝パーティが中止になってしまって。」

「別に、パーティなんてどうでもよかったよ。参加者と招待客しか出られないんだから、私だけ出てもつまらなかったし。」

「そっか。」


 今日の予定はもう無いとわかって僕らも寮に帰ろうかという時、ステラが僕に言った。


「そういえばアスラ。レオにガラストラスの剣を教えたわね。お爺様に知られたら怒られるよ。」

「げげ……わかったの? ステラ黙っててよ……。」

「私はいいけど、リョウが試合の写真を持っていったら絶対にバレるよ。」


 ステラは他人事のような顔をしているが、僕はドキリとした。

 それは思い至らなかった。


「あ、そうか! あいつ止めないと!」


 やばい。

 ガラストラスの剣は代々我が家だけに伝えられてきた剣だ。

 お爺様はそういうことに厳格だ。

 男なのに剣術の才能がない僕はお爺様からよく叱られてきた。

 ステラにバレるくらいは覚悟したが、まさかお爺様にも伝わる可能性があるなんて想定外だ!


 僕はみんなに、先に帰っていてと言って、リョウを探しに試合会場に戻った。

 あれから結構時間が経っている。

 まだいるだろうか?

 試合会場は魔法警察の人たちが現場検証をしているらしく立ち入れないようになっていた。

 僕は試合会場の入り口で何やら魔法警察の人と話をしているルカ先生の姿を見つけた。

 そうだ、リョウがルカ先生とも知り合いのようなことをさっき言っていたのを僕は思い出した。


「ルカ先生! リョウはまだいますか!?」

「アスラくん? どうしたの? ステラさんは大丈夫かしら?」

「ステラは大丈夫です。それよりリョウとは会っていませんか?」

「リョウならもう飛んでいっちゃったわよ。」

「そうでしたか……。」


 遅かった……。

 写真は回収できない。

 お爺様はステラを気に入ってるから絶対に写真を見るし、写っているレオの動きからすべて察するだろう。


「アスラくん、気落ちしないで。リョウも力になりたいと言っていたし、生徒のことは学校の教師である私たちが守るわ。」

「あ、ありがとうございます、ルカ先生。」


 ごめんなさい、ルカ先生。

 そういうことじゃないんです……。


 僕はふと遠目で試合会場の方を見た。

 魔法警察の人たち数人が何かを見ている。

 その中心には赤い塊のようなものが見えている。


「あれは……?」


 僕はそれを指さしてルカ先生に聞いた。


「ああ。あれは今回のトラップ魔法。ステラさんが足を踏み入れてしまった魔法よ。隠蔽の透明化魔法がかかっていたみたい。魔法警察が透明化魔法を解除して見えるようになったの。」

「あんなものが置かれていたら他の選手も引っかかりそうなのに……。」

「そうね。だから決勝戦の前か試合中に設置されたのではないかと魔法警察は言っていたわ。おそらく犯人も透明化魔法で忍び込んでいたはずということよ。」


 トラップ魔法の設置の位置はステラがいた立ち位置の後方寄りだ。

 ステラがレオに押されて後退した時に発動するように置かれているように見える。


「つまり、明らかにステラが狙われたということですか?」


 僕は怒りがふつふつと湧いてくるのを感じた。


「……まだ、なんとも言えないわ。」


 ルカ先生は言葉を濁した。

 でも、そういうことだ。

 僕は犯人を見つけてやりたいと強く感じた。

 どこかに犯人に繋がる手かがりはないものか!?

 僕は試合会場の中を見渡し、向かい側の壁にもトラップ魔法と同じように赤い何かが這ったような跡のようなものが見えることに気付いた。

 現場の透明化魔法が解除されて見えるようになったのだろう。

 長い帯のような魔法の痕跡だ。

 まるで、ナメクジが通ったような痕にも見える。


「ルカ先生、あの壁のところにも魔法が。」

「え? ……本当ね。魔法警察はまだ気付いていないみたい。私、伝えてくるわ。アスラくんはもう今日は休みなさい。きっと犯人は捕まるから安心して。」

「はい、わかりました、先生。」


 僕は試合会場を後にして部屋に戻るまでずっと考えていた。

 ステラを狙った犯人……。

 ナメクジのような痕……。

 あれは犯人が残したものに違いない。

 では犯人は何者なんだ?


 それから一週間経ち、二週間経っても、事件の続報はなかった。

 僕らは期末試験を終えて、世間からは剣術大会の事件の記憶も薄れ、そして夏休みに入ろうとしていた。

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