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ドラゴンの魔女、馴れ馴れしい

 僕らが観客席を出て優勝したステラと準優勝のレオに会いに行こうと階下に降りて選手たちの控室に行くと、僕らよりも先に、レオとステラの前には二人の女性がいた。

 紫色の髪の女性とピンク色の髪の女性。

 ピンク色の髪の女性はステラの足下に跪いて何かをしている。

 あの二人……僕には見覚えがあった。


「おーい! アスラ、久しぶり! ボクだよ!」


 自分のことをボクと呼ぶ紫色の髪の女性がこちらに気付いて手を振って僕を呼んだ。

 この女は……紫竜の魔法使いリョウだ。

 僕らの両親の古い知り合いでよく僕らの家を訪れていた。

 僕はこの女が苦手だった。

 いい加減で大雑把な性格で、本人はあやしているつもりだったのだろうが小さい頃の僕は何度も泣かされた。


「リョウも剣技大会を見に来てたのか。」

「そりゃステラの晴れ舞台だからさ。ほら、ステラの写真もバッチリ撮ったからね。現像したらコウタさんとティアラさんに送っておくからね。」


 リョウは偶然居合わせた十年前の憑依者革命で撮影した写真が有名になり、今は写真家として国々を飛び回る仕事をしていると聞いた。

 リョウは本当に飛び回るのだ。

 こいつは父と同じ元ドラゴンの憑依者で、特殊な経緯で今はドラゴンの力を宿した人間となり、ドラゴンに変身することができる。

 ドラゴンになったリョウにうっかり空から落とされそうになったことを僕は忘れられない。


「ドラゴンの魔女!?」


 リョウを見たファーが驚きの声をあげた。

 さすがにファーならリョウのことは知っているか。


「ああ、ボクのことをそういう風に呼ぶ人もいるよね。ガオー! 食べちゃうぞ! ハハハハ!」

「やめろ、リョウ! ふざけるなよ。」


 僕はファーを庇った。

 リョウは僕の頬を掴んで、生意気になったなあと言った。

 『ドラゴンの魔女』というのはリョウの世間で有名になっている方の名前だ。

 この世界では魔物の力を宿しその魔力を身につけた人間を魔女と呼ぶ。

 リョウ自身は『紫竜の魔法使い』を名乗っているが、ドラゴンになって勝手気ままに飛び回る姿を人々は恐れてドラゴンの魔女と呼んだ。

 悪い奴じゃないのだけど憑依者だからかこの世界の常識からはズレている。

 魔女扱いは元はといえばこいつの自業自得なのだ。


「はい、ステラちゃんの治療終わったよ、リョウ。」


 ステラの足下に跪いていたピンク色の髪のもう一人の女性がそう言って立ち上がった。

 この人はミネさんだ。

 ミネさんはリョウといつも一緒にいる魔女の女性で何でもできる。

 僕もステラもミネさんのことは尊敬していた。


「ステラ、どうしたんですか? 怪我したの?」


 僕はリョウを無視して、ミネさんとステラに何があったのか聞いた。

 ミネさんの治療を受けていたステラが答える。


「うん。試合中に急に足に痛みが走って。」


 試合中に?

 それで僕はステラの様子がおかしいと感じたのか。


「ステラちゃんの足、火傷のようになっていたの。でも大丈夫。回復魔法でキレイに治したから。痕も残らないはず。」

「ありがとうございます、ミネさん。」

「ううん。ステラちゃんの様子がおかしいって気付いたのはリョウだよ。」

「リョウが?」


 僕と同じように決勝戦のステラの動きに違和感をおぼえたのか。

 ……レオは気付いていなかったようだ。

 悲痛な面持ちでステラの足を見ていたレオだったが、治療が終わったと聞いてホッとした顔をしている。

 僕はリョウの方を見た。

 リョウはふふんと自慢げにしていた。


「ボクの見立てではこれは魔法だね。外部の誰かがステラの試合中に妨害しようとしたんだと思う。対戦相手のレオくんにはそんな様子は見られなかったからね。レオくんを疑う余地はない。」

「妨害なんて、いったい誰が?」


 あれだけの観客に気付かれずに魔法を使ってステラの足にダメージを与えたというのか。


「誰がやったのか、それはわからない。でも校長にはボクが言っておくよ。それにルカに会うのも久しぶりだな! 我が学び舎もだいぶ変わったなぁ!」


 リョウとミネさんはステラの足が問題ないことを確認すると、校舎の方に立ち去ろうとした。


「じゃあ、レオくんと、あと他の友達も、アスラとステラのことよろしくね! これからも仲良くしてやってね!」


 リョウが僕の頭をぐりぐりと撫でる。

 こいつ、親戚のおばさんのようなウザさである。

 やっと解放されるかと思ったその時、ファーがリョウを呼び止めた。


「あ、待ってください! ドラゴンの魔女……じゃない、紫竜の魔法使いリョウさん! あの……サインいただけますか!?」


 マジですか。

 ファーのあんな憧れの眼差しを向ける顔は見たことがなかった。

 リョウはファーの申し出に快く応じて、

「さっきはおどかして悪かったね。」

と言いながらファーの持っていた剣技大会のパンフレットにサインを書いた。

 ついでにタイムとメイノのパンフレットにも書いていった。


「なんでリョウさんが知り合いだって、アスラもステラも言ってくれなかったの? リョウさんと言えば魔法学校の卒業生で高名な魔法使い! 女性でありながら男性顔負けのイケメン! 魔法使いを目指す者なら誰だって憧れるわ!」

「そうなの?」


 僕はファーがそんなにリョウのファンだったなんて知らなかったよ……。

 なぜかあいつ、女の格好をしているのに女性にモテるんだよな……。

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