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許してあげる

 広場には既に誰もおらず、僕が痛む脇腹を抱えて職員室に行くとルカ先生が慌てて近寄ってきた。


「アスラくん、大丈夫だったのね!?」

「あ、はい、スパイダーの衝撃波を受けて吹き飛ばされたんですけど、なんとか戻ってこれて。ファーも大丈夫です。」

「良かった……。広場がスパイダーに襲われた後、生徒はみんな散り散りになって逃げたから、まだ戻ってない子も何人かいるわ。これからポポス先生と私で探しに行くところなの。」

「え? そうなんですか?」


 僕らが落ちた後、スパイダーはみんながいる広場を襲ったということだった。

 ルカ先生はいつもの杖を持っていなかったのでスパイダーを倒すことができなかったという。

 ルカ先生でも倒せないなら、ダンクはよほど無謀なことをしていたということだ。

 職員室の奥の方で校長先生とダンクが何か話をしているのが見える。

 どうやらダンクがやったことがバレて怒られているようだった。


「まだスパイダーも見つかってないの。しばらく魔法の実習は中止ね。……あなた怪我してるのね? ポポス先生! この子、お願いします!」


 ルカ先生に呼ばれて僕のところにやってきたポポス先生が杖を掲げると僕の脇の痛みが引いていった。

 回復魔法をかけてくれたのだ。


「ありがとうございます。」

「いやいや、君よくこれで動けていたね。」

「僕、昔から怪我が多かったので……。」

「そうなの? それなら回復魔法は覚えた方がいいと思うよ。二年の選択授業では僕の授業を選べるから。」

「たしかにそうかも。その時はお願いします。」


 怪我を治してもらって少し休憩した僕は授業に戻るように言われた。

 先生たちが慌ただしく職員室を出て行くのを見送ると、僕は言われたとおりに教室に戻ることにした。

 ダンクはあの調子だと今日は解放されないだろうな。



 僕が午後の共同授業に向かうと、ちょうど授業がもう終わったところみたいだった。

 レオやステラたちが講堂から出てくるのが見えたので声をかける。


「ステラ! レオ!」

「アスラ! 大変だったな! 怪我したのか?」

「うん。でも回復魔法で治してもらったよ。」

「もうアスラ! 心配させないでよ!」

「ごめん、ステラ。」


 タイムとメイノも不安そうな顔をしている。


「学校の空間内で魔物が出たって本当だったんだね……。」

「大丈夫でしょうか?」


「ルカ先生とポポス先生が見にいったからきっと大丈夫だよ。」


 何の根拠もないけど、僕にはそう言うしかない。


 少し遅れてファーも講堂から出てきた。

 後から行ったのでみんなとは席が離れていたのだろう。

 僕はファーに駆け寄った。


「ファー間に合った?」

「……おかげさまでね。」

「よかった。……あれ? 髪の中に葉っぱが。」


 よく見るとまだファーの茶色い髪の中には枯れ葉が混じっていた。

 僕はそれをいくつか取ってあげた。


「ちょっと……! あなたこっちに来て!」

「え? 何?」


 ファーが僕の腕を引っ張って、ステラたちから離れたところに僕を連れて行く。

 そして僕に向き直ると言った。


「あなた……、本当にイメージしただけで魔法陣を作れるのね? 自分が知らない魔法陣も。」

「うん。そうみたいだ。僕もまだよくわからないけど。」

「……私は、私が見たものを信じないわけにはいかない。つまり入学式での魔法も本当にあなたの魔法だったのね。」

「そうだよ。」

「ごめんなさい。私、あなたに酷いことを言ったわ。」

「大丈夫。わかってくれたなら、気にしてないよ。」

「あなたに借りが出来たわね。」

「借りってそんな大げさな。」


 話している間、ファーは俯いていて僕の顔を見ていなかったが、ファーは僕の腕を掴んで放さない。


「ねえ、ファー。それなら、僕のこと、あなたじゃなくてアスラって呼んでくれる?」

「な、なんで!?」

「なんでって、友だちだからさ。」


 ファーが顔を上げる。

 僕と目があう。

 ファーの顔は耳まで真っ赤になっていた。


「アスラ……。」

「なあに? ファー?」

「ア、アスラが呼ばせたんじゃないの!」


 僕はファーが可愛くて笑ってしまった。

 ファーがそれが気に入らなかったのか頬を膨らませて抗議して見せる。

 そして何か思いついたように言った。


「……そういえばさっき、崖の上に上がる時、私の体を触ったわね。」

「え!? いや、それは体勢的にしょうがなかったんだよ、僕も怪我してたし。」

「どんな状況であろうと、女性の体に許可なく触れるなんて。今も私の髪を勝手に触っていたし。」

「ええ……。ごめん……許してよ。」


 そんなこと今更言われるなんて。

 僕がすっかりまいってしまってただただ謝っていると、フフフッとファーは吹き出して笑った。


「これは私を笑った仕返しよ? 許してあげるわ、アスラ!」



 それからファーは僕とも普通に話してくれるようになった。

 いや、もっとずっと仲良くなれたと思う。

 魔法使い学科の授業はいつも隣に座って一緒に受けるし、ファーの学級委員長の仕事を僕は普段から手伝うようになった。


 僕は学校で友だちも出来て、魔法の使い方も少しずつわかってきて、僕の学校生活は順風満帆だと思っていたんだ。

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