彼女の好きと僕の愛してる
「私はペンのこと大好きだよ、でもね少し心配になるの……」
電話越しにユミがそういった。
静かな、優しい僕の好きなユミの声だ。
「どうして?」
僕も出来る限りの優しい声でユミに尋ねる。
そうすると、ユミも甘えてくれるし僕もそうして欲しかったから夜に……特にベットの中で話す時にはそんな風にしている。
だってその方がユミも可愛くなるし、お互いに気持ちよくなれるからね。
これは最近知った。
「ペンは私にいっつも好きって言ってくれるよね」
「うん」
「でも、それがペンにとって心の底からそう思ってるのかそれとも自分を好きって言葉で洗脳して、無理やりスキを作ってるんじゃないかって……心配になる」
頭の後ろ側がピリリと痛む。
僕は少しの間、何も返せなかった。
「ペン?」
それは図星だったからとかそんな話じゃない。
でも、ユミが言った事は一つも間違っていなかった。
だってそれは僕がユミと付き合い始めた時に……ユミを好きで居続けようと誓った時に、その考えで好きって言い続けてきたんだから。
それは、ユミの事を愛していなかったからじゃない。
もちろん愛していた。
それに告白したのも僕からだしね。
でも、あの時の僕は愛し方が分からなかったんだ。
自分の中の知らない感情。……好きなんだけど、それをどう扱っていったらいいのか分からない。
だって、仕方ないじゃないか僕は恋人と友達の違いを理解できていなかったんだから。
考えても見て?
彼女なんてセックスするか、キスするか以外は友達とやってること変わらないと思わない?
……そう。付き合う前はそう思ってたんだよ。
本当は全然違った。
友達といるときとはまた違う感情。
なんていうんだろう……愛おしいっていうのがぴったりなんじゃないかな。
ユミのおかげで、今まで悩んだことの無いようなことで悩んで、友達と遊ぶ時とは全く違う嬉しさってやつを感じた。
……うん、やっぱり愛おしいっていうのがしっくり来ると思う。
「……ペン?」
返事を返さないで考えを巡らしていた僕にユミは寂しい声でもう一度声を掛けた。
「ごめん、電波が悪くって」
思わず嘘をついてしまった。
今みたいなことを考えてたなんてユミには絶対に言えないよ。
「……そうだね」
ユミは
僕はユミにこれ以上悲しい声をさせたくなかった。
寂しくって、僕を求めてくるような声は嫌いじゃないんだけど。
「だって、私……今、シンガポールに居るんだもんね」
「電話してくれてありがと、ユミ」
電話をしたいって言ってきたのは、ユミの方なんだけどそんなの僕にとっては重要じゃない。
だって僕だってユミの声を聞きたいと思っていたんだから。
だからいつだってありがとうを言うのは僕の役目。
僕が好きだっていうのもそういう事なんじゃないかって、今になって答えが出た気がしたけど、そんな考えはクシャクシャにまとめて引き出しにしまっちゃって、きっともう二度と出てこないんだと思う。
そんな、本当の事を言ってユミとの関係でよくなったことなんて一度もなかったし、今の僕にはこれからもなるとは思えない……。
だから、紙屑みたいに丸めて引き出しにしまって鍵をかけるんだ。
「ペン……寂しいよ」
「……うん」
「ペンにぎゅってして欲しい……」
「うん」
やめてよ、本当は僕の方がユミを抱きしめたいんだ。
平気を装ってるけど、僕はユミが好きで好きで好きで好きで仕方がないんだ!
でも、今はユミが辛いのは分かってる。