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中編

少し短めです。

ゆっくりゆったりと進んでいきたいと思います。

( ^∀^)


「SOA式を使って構築した方がいいじゃないか」

「いや、それなら構想分解とGH式を併用して実行した方が魔法の精度があがると思うけどな」


「じゃあ、要素再構築式とかはどうだ」と目の前では『浮遊魔術の短略と可能性について』というテーマに基づいて様々な見聞を述べている美青年はアランだ。彼は御年18歳、私は16歳になった。実は、ここ数年の間に私と彼は"婚約者"という間柄が追加されたのだ。婚約者になっても特に変わることがなかった。まぁ一部の令嬢から嫌味を吐かれるぐらいだろうか。そんな彼はその高い魔素(魔力とも言われている)を買われて、今年の4月から高等教育機関に特別研究員として通うことになった。一方で私は侯爵家令嬢としての礼儀作法等を家庭教師に教えて貰ってる。アランの噂は無論婚約者の私のところにも話は回ってくるのが…冷静沈着で表情を動かさないことなどから「漆黒の冷徹紳士」と社交界では呼ばれているようだ。

社交界で彼と一緒に参加したこともある。確かに多くな女性たちに騒がれていた。美男の冷たい視線は冷たくてもとても胸が高まるようだ。私にとっては理解不可能だ。私は目の前の彼の姿から見出せない。寧ろ…忠犬に見えるのは気のせいだろうか。


「いいと思う。そういえば、手紙で言った幻覚魔術と変幻魔術の融合させて要素分解させたのできた?」

「あぁ、できたよ。見るか?」

「見る!見ます!見させてください!」


因みに私の魔術馬鹿もまだ健在している。普段は学園や次期領主としての仕事の関係上、中々会うことが叶わないアランとは手紙のやり取りをしがら、私の考えた魔術展開を彼の改良が入ったりしながらもオリジナル魔術を2人で作っている。偶に会うことができたら彼は私に魔術を見せてくれる。今回は幻覚魔術と変幻魔術の融合させて要素分解させた魔術。

この魔術が成功したらほぼそっくりな匂いや声…全てを本人と同じすることができる。ただ二重の魔術を使わないといけないし、分解して上手く融合させないといけないから魔術と神経を使う。魔術の面では私はどうもできなので、そうそうに諦めたのだった。

魔術は家庭教師から一般教養の範囲で教えてもらっている。たけど…本当は私も…と、彼の魔術が見事に展開した。彼の方を見ると、猫に変幻したようだ。彼の瞳と髪色の残した可愛らしい黒猫が此方を覗いている。ふむふむ。可愛らしい。思わず穂を緩めて彼を見ていると、彼は此方の足元に来て「にゃ〜」とこれまた見事までに本物の猫の声であった。可愛い。可愛らしすぎる。私は思わず手が伸びて、彼に触る。毛並みも完璧である。触り心地、最高。私では片一方どちらの魔術を展開するので精一杯だった。だが猫や鳥などの小さい個体なら私の魔力でもいけるかもしれないな…うーん。やっぱりアランとやり取りが必要だ。もう少し精度を低くするか、あまり魔力を消費させないような方法を考えていく必要がある。


「リア」

「ん?」

「何かあったのか」

「え?」


そんなに顔に出てたかしらと思っていると、「リアは魔術のことになると顔に出やすいからな」と何とも令嬢として失格な言葉を彼から受け取ったことで、嘘!と思い、彼を見つめる。彼の方からは猫でも馬鹿にしたような表情が読み取れる。彼の何処が「漆黒の冷徹紳士」なのか。いらずら坊主にしか見えない。そういえば、ふと思い出した私は口を先に開いた。


「猫の姿でも私と会話できるのね」

「会話というより、今は念話だな」


あら凄いと思いながら彼の姿を見つめる。


「それよりも、リア。どうした」


彼の落ち着いた何となく艶のある声が私の頭に響く。これはちょっと近くで囁かれているみたいで恥ずかしいなぁと思いながら目の前の黒猫と視線を合わせる。


「私も魔術を学園で学びたいと思ったの」

「なぜ?」

「なぜって、それはアランともっと(魔術の)話がしたいなぁって思ったの」

「お、俺と、は、話?もっと?」

「えぇ」


何故彼は顔を紅く染めているのだろう。やや疑問に思いながらも彼の動向を伺った。明らかに先程から挙動不審になっているのだが…大丈夫だろうか。


「リアは学園に通いたいのか」

「えぇ、出来たらでも…それは…」


視線を落とす。学園は基本的に平民が学力を高めるために通うものだ。たが様々な種があり、貴族でも通っている場合がある。例えばアランのように魔素を平常よりも多く持っている場合は魔術に特化した学園に通うということが流れとしてある。他には下流貴族などは一般的教養から貴族の嗜みを学べる学園があるのでそこで学ぶというのもある。

しかしどちらとも私には当てはまるならないのだ。

上流貴族としては家庭教師を雇うくらいの金銭を持っていることが多いし、名ばかりの上流貴族は中々少ない。いくら、貴族の中で私の家がそれなりに繁栄している貴族の一族として知られていても、学園に通っているとどうも家庭教師を充分に雇えるような家ではないと金銭面で疑われるような可能性もある。

私の魔素ならギリギリ学園に通えるかなというレベルなので、敢えてという部分もあるのだ。私だって、親に不名誉を背を合わせてまで学園に通いたいと思っていない。ただアランが偶々高等教育機関に特別研究員として通うことになったり、お互いに成人に向けて忙しくなり中々会うことも難しくなってきたので学園に通うことができたら彼と話すことができるのではないかとちょっと下心も入ってきているのだ。アランとの話は私にとってとても有意義であり楽しい時間なのだ。私のような魔術馬鹿の話をしっかりと聞いて相手にしてくる人なんてアランだけだし。私の家族なんて、私の歳が2桁行くか行かないかというときには私の魔術話が完全に聞き流されていたような気がする。


「俺の助手としてならいけるのではないかと思う」


確かにアランの助手という状況なら、毎日通う必要性もないし、貴族としての嗜みとしても親に恥を掻かせるような事態にはならないだろう。逆に高等機関での学問の研究員助手というだけでも箔がつく。私としてら願ったり叶ったりだけども。


「いいの?」

「いい。人手はあった方がいいしな」

「アラン!」

「な、何だよ」

「ありがとう!大好き!!」


猫姿のアランに抱きつく。腕の中では「ば、離せっ」妙に焦ったような上擦った声が響いていた。


「何でよ」

「な、何でって…お前…それは…」


アランはボソボソと話していたが、あまりにも小さかったので聞こえなかった。

ほのぼのとした日常の幸せを信じて疑わなかった。


_あの日までは。 


私達の日常のなかに突然と入り込み、彼や私の人生に大きく影響を与えるということに。

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