※ダンジョンわんこ日記 三十六日目
KO・RO・KKE!
今日吾は、生まれて初めてコロッケを食べた。
なんだこれ、美味しい!……は!
マスターが作ってくれたポトフのベーコンの次に美味しかったのだがな。近所の神社でマスターと半分こして食べたのも美味しさの理由だな、うん。
コロッケは揚げ物で、揚げ物は美味しいとマスターは言ってたぞ。
作るとき油が跳ねるのが怖いので、マスターはあまり作らないそうだ。
揚げ物の代表選手としては、ほかにも唐揚げがあるという。
KA・RA・A・GE!
今日の商店街のお肉屋さんでは売り切れていたが、コンビニでも売っているらしい。
むー。上手く時間をずらせば、吾のファンと会わずにダンジョン前を通れるのではないかな?
唐揚げも食べたいのだー。と思いつつ、転移でダンジョンへ行った。
ダンジョンではレッドボアのキングが出現していた。
うちは変異種の出現スパンが短い。
マスターの魔力がすごいからなのだ。えっへん!
変異種が出たから、この前のミドルポーション+を放出するとマスターは言う。
でもそれには吾のファンが邪魔なようだ。
ボス部屋の入り口は結界のせいで場所もわからないはずなのに、じっとこっちを見つめてくるのだ。
うーむ。あんまりしつこいのはファンじゃなくてストーカーって言うんだぞ?
ダンジョンマザーツリーのデータベース、ではなく、ネットで調べたのだ。
『騒霊』を駆使すれば、ノートパソコンのキーボードをタイピングすることなど児戯に等しいのだ。……吾は生まれて一ヶ月ちょっとだけどな。
仕方がないので、豆柴モードで影を作り、ストーカーの目を眩ましたのだ。
『隠密』もかけてたのに、ストーカーは迷わず影を追いかけてたぞ。……ストーカーって怖いのだ。
そんな吾の努力の甲斐あって、ミドルポーション+は無事放出できたのだった。
ミドルポーション+放出のために結界を解いたら、ボス部屋にスライムのアジサイが帰ってきた。
マスターが作ってくれるダンジョン苺が食べたいから戻ってきたのだ。
吾も食べたかったので、マスターが作ってくれて嬉しかったぞ! コロッケも良いが、マスター手作りのダンジョン苺も美味しいのだ!
帰りに、マスターは念のためと言って商店街に寄り道した。
そしたら! さっきは売り切れだった
KA・RA・A・GE!
が新しく揚げられて売られていた。
いい匂いなのだ。美味しそうなのだ! もちろんマスターは夕食用に買ってくれたのだ。
KARAAGE、Foooooo!
コロッケも美味しかったが、唐揚げはもっと美味しかった!……は!
一番はマスターのポトフに入ってたベーコンなのだ!
ん? ベーコンはマスターが作ったわけじゃない? んー、それでもやっぱり特別なのだ。
今日は後、ゴースト達がレイスに進化したぞ。
随分前にダンジョンを出たから訪問者とは戦闘していないが、マスターの住むこの国の安全を脅かす者どもは何匹も排除してきているからな。
魔法スキルも使っているし、経験値が溜まっていても不思議はない。
ボスモンスターはDP消費が大きいので、吾はこれ以上レベルアップしなくてもいいけどな。
……吾はオルトロスなので、ケルベロスには進化しないのだ。
いくらマスターでも、そういうこと言われたら怒るのだぞ?
「マスター、オルトロスよりケルベロスのほうが良かったのか?」
そう聞いたら、バカね、と言って抱っこしてくれた。
吾はバカではないけれど、マスターに抱っこされるのは大好きなのだ。