※ダンジョンわんこ日記 三十三日目
お散歩の途中で立ち寄ったコンビニで、呪われた男と会った。
マスターはダンジョンマスターだってこと秘密にしてるから、男がマスターや吾らモンスターのダンジョン域に入って変身しないようゴースト達に呪いを弱体化させたぞ。
手際の良い吾をマスターは褒めてくれたのだ! 『隠密』で姿を消していたフヨウとボタンのことは、ボスモンスターである吾が褒めておいたぞ。
男は道に迷っていたので、マスターが鷹秋の職場まで連れて行くことになった。
もし男が悪いヤツだったとしても、吾がオルトロスモードになったら一撃なのだ。
でも悪いことを考えている匂いはしなかったぞ。なぜかマスターに敬意を持っている匂いがした。吾のマスターは素晴らしいからな! えっへん!
鷹秋の職場、吾らのダンジョンの前まで来たところで変な女と会った。
いきなり吾に抱きつこうとしてきたのだ。
むー。吾を抱っこしていいのはマスターと群れの仲間だけなのだ。それ以外の人間は、状況と都合に応じて要相談なのだぞ。
女は吾の動画のファンだという。
でもあの動画に出演しているのが吾だということは秘密なのだ。大騒ぎになってしまうと困るからな。
人気者は辛いのだ。
仕方がないので、ちょっとだけ撫でさせてやった。
気を遣って優しく撫でてくれたが、やっぱり群れの仲間の春人や冬人に撫でられるほうが嬉しいぞ。
もちろんマスターに撫でられるのは最高なのだ!
それからダンジョンへ行った後、家に帰ってごはんを食べた。
今日はお肉と卵のそぼろをかけた豆ごはんなのだ。
マスターは吾にそぼろを載せる量を選ばせてくれた。んー、悩むのだ。あんまりかけるとこぼれ落ちちゃうからな。
マスターはお代わりしてもいいよ、って言ってくれるけど、マスターはお代わりしないから吾もお代わりしないのだ。
吾はモンスターだからDPさえ消費していれば食べ物を摂る必要はないし(あんまり食べないでいると暴走しやすくなるけど)、なにより吾はマスターとお揃いがいいのだ!
そのことを言ったら、なぜかマスターが頭をなでなでしてくれた。んふー、嬉しいのだ。
ずっとなでなでしててくれても良かったのだが、スマホが鳴った。
あれは遠くと連絡を取るための魔道具なのだ。
電話の相手は鷹秋だった。さっきダンジョンの前に行ったときもいたな。
吾はマスターの電話が終わった後で卵のそぼろをかけてもらって、ちゃんと待てをしてからごはんを食べた。
くふふ。
マスターのごはんはいつも美味しいのだ!