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49・モフモフわんことダンジョンマスター生活二十日目

本日(11月20日)は三回更新します。

これは3/3回目(本日ラスト)です。

 歌音に作った(シャドウ)のマントは好評だった。

 なんかお母さんがもの言いたげに見つめてくるのは気のせいだろう。

 さすがに孫持ちの主婦がケモ耳&尻尾付きのマントは厳しいと思うよ。


 ダンジョンマスター生活二十日目。

 今日から八月です。


【現在のDP  :8162000DP】

【昨日の消費DP:  29000DP】

【※消費DP内訳 レッドボア作成:  10000DP(百体分)】

【        ドロップ品設定  :10000DP】

【        ダンジョンコア消費: 1000DP】

【        ダンジョン施設消費: 1000DP】

【        ボスモンスター消費: 4000DP】

【        モンスター消費  : 3000DP(三百体分)】

【昨日の生産DP:600000DP】

【※生産DP内訳 訪問者(ビジター)生産:600000DP(六百体分)】


 10000000(一千万)DPも近いな。

 ステータスボードを見ながら考えていたら、自室の前の廊下を走る音と元気な声が聞こえてきた。


「わんわん戦士タロクンジャーピンク、カノ参上!」

「わふ(ブラック、タロ参上なのだ)!」


 楽しそうでなによりです。

 ……タロクンジャーか。レッド(ハル君)グリーン(ふー君)のマントも作っちゃおうかな。

 とりあえず廊下のひとりと一匹に混ざりに行こうかと、ステータスボードを消して立ち上がったとき、スマホの着信音が鳴り響いた。


「はいはーい。玲奈ちゃん、どうしたの?」


 時間ができて遊びに来るっていうのかな?


『ちょっとハル、なによこれ!』

「なんの話?」

『今朝送ってきた歌音ちゃんのマント姿の写真よ。あなた裁縫は壊滅的だったでしょ?』

「うん。だからこれは、裁縫っていうより工作で作ったの」


 というか、ぶっちゃけ魔法です。


『そうなの?……ねえ晴。ちゃんと材料費と手間賃を払うから、私にも作ってくれない?』

「ケモ耳尻尾付きのマントを着るつもり?」

『晴、昨日着て歩いてたんでしょ? うちの病院の看護師(ナース)さんがスーパーで見たって言ってたけど』


 これだから地元はーっ!


「き、着てるの忘れて外出しちゃって。すごく軽くて涼しい素材だから」

『そうなんだ』

「冬は暖かいんだよー」

『ほほう。じゃあ私、青がいいなー』


 タロクンジャーブルー爆誕?……いやいや。

 わたしは、用意しておいた言い訳を口にする。


「ごめんねー。もう素材がないんだー。向こうの友達が潰れかけのお店の閉店セールで買った素材を分けてくれたものだから、入手方法がわからないの」

『……ウソね』

「……え?」

『何年つき合ってると思ってるの。晴がウソついてるときの声音くらいわかるわよ』

「そそそ、そんなことないよ?」

『メチャクチャ焦ってるじゃない。この前会ったときもどこか怪しかったのよね。隠してることがあるなら……あら?』

「なにかあったの? 電話切ろうか?」

『晴、すぐテレビ……持ってないのよね。そうね、一旦切ってかけ直すわ』


 それまでに言い訳を強化しておこう。わたしは拳を握り締めた。

 でも……テレビがどうしたのかな。

 スマホをデニムのポケットに入れて立ち上がる。


 部屋の扉を開けると、タロクンジャーピンクとブラックは走り去った後だった。

 居間に入ると、ソファにいたひとりと一匹が立ち上がる。

 どうやらスケッチブックに落書きをしていたようだ。


「わふ!」

「タロクンジャースーツ開発後に、悪の組織に攫われてセンノーされてしまったハル博士なのよ」

「わふー」


 なんだ、その詳細な設定は。……お兄ちゃんか。

 お父さんと兄夫婦が出勤してからマントを渡せば良かったかな。

 まあ、みんなに見せて自慢したかったんだけどさ。


「正義の心を取り戻して、ハル博士!」

「わふわふ!」

「チャンネル変えるねー」

「え? ああ、いいわよ。ドラマ始まったら起こしてね」


 お母さんはソファーでうたた寝中だった。

 幼児番組からニュース番組にチャンネルを変えるわたしを見て、「ハル博士は本当に正義の心を失ってしまったのね」「わふう……」とか会話しているひとりと一匹がいたが、君達テレビ見ずに落書きしてたじゃない。

 テレビの画面に、ほかのニュースでも見たことのある防衛大臣の姿が映った。


 そして──


「え?」

『……これが我が国のダンジョンで撮影された内部の映像です』


 映し出されたのは、わたしのダンジョンでマッドゴーレムと戦う自衛隊の姿だった。

 ああ、そっか。ゴーストを作ったのはダンジョンに訪問者(ビジター)が来るようになってから数日経ってからだったし、そもそもあのダンジョンはこの世界の人間であるわたしの魔力で作られてるから、記録機器を動かす電気との相性も悪くないんだ。

 わたしのスマホも使えるしね。


「モンスターなのよ、ブラック!」

「わふ!」

「タロクンジャーの出番ね!」

「わふふう!」


 こんなに鮮明な映像は世界初らしい。

 防衛大臣は、年内に国内のダンジョンを民間に開放すると宣言した。

 理由は、日本でしか見つからない特殊なドロップ品があるから、とのこと。はっきりポーションだとは明かされなかった。


 ニュースが終わると、ダンジョンをテーマにした緊急特番が始まった。

 それと同時に玲奈ちゃんから再電話。

 ダンジョンの民間開放に浮かれてマントのこと忘れてくれてたから良かったけど……ダンジョンマスターとしては、これからどうしたらいいんだろ?

お読みいただきありがとうございました。

次回はタロ君日記です。

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