25・モフモフわんこと植物魔法
本日(11月10日)は三回更新します。
これは2/3回目です。
ダンジョンマスター生活五日目。
久しぶりに炊いたご飯(牛丼のときは冷凍でした)を大家さんにもらった家庭菜園の野菜で作った炒め物で食べたわたしは、ステータスボードを表示してDPをタップした。
タロ君は野菜炒めよりも、そのままで食べたトマトを気に入ったようだ。
【現在のDP :282000DP】
【昨日の消費DP: 27000DP】
【※消費DP内訳 ゴースト作成 :10000DP(百体分)】
【 ドロップ品設定 :10000DP】
【 ダンジョンコア消費: 1000DP】
【 ダンジョン施設消費: 1000DP】
【 ボスモンスター消費: 3000DP】
【 モンスター消費 : 2000DP(二百体分)】
【昨日の生産DP:100000DP】
【※生産DP内訳 訪問者生産:100000DP(百体分)】
ドロップ品の設定に10000DPかかるのが地味に痛いよね。
初回だけだから、まだマシって考えるべきなのかな。
まあ全体のDPは増えてるし、今のところは素直に喜んでおこう。
訪問者が生産するDPは、あくまで入って来たときのみのよう。
加算されているのはゴーレムのリポップ直前にやって来た自衛隊の分だけだ。
一昨日から泊まり込んでいたらしいDSSSと自衛隊の分は加算されていない。彼らはゴーレムを倒した後で帰って行ったっけ。
「あ、そうだ」
わたしはあることを思い出して、ゴーストのドロップ品設定を開いた。
ポーションから変更するわけではない。
少々余裕があっても、10000DPを無駄にする気はなかった。
ドロップ品リストに表示された陶器の腕輪に手を伸ばす。
ゴーストのドロップ品に設定しますか? と聞かれてNO、リストから外しますか? と聞かれてYES!
わたしの手の中に陶器の腕輪が現れた。もちろんDPは消費されていない。
「おー!」
「どうしたのだ、マスター」
「この前作ったアイテムコアに手を加えようかと思って」
「ふーん」
わたしの膝に前足を載せて、タロ君が陶器の腕輪をふんふんする。
今日はまだダンジョンへ行っていないので、MPは100MAXだ。
こうして追加で改良できるなら昨日もすれば良かった、なんて思うけど、昨日は昨日でいろいろ大変だったからな。
昨日作成したゴースト達は、ヒマワリは葉山家、スズランは大家さんのところへ差し向けた。
もちろん秘密、『隠密』で姿を隠してのことである。
暴走車や怪しい人間が護衛対象に近づいたときは、『弱体化』で動きを止めてくれる予定だ。ゴースト達は命を奪わないよう調節できる。
ウメ子モモ子サクラ子には実家と乙女ちゃんと故郷の親友の護衛をお願いするつもり。
実家もこの辺りもそんなに危険じゃないと思うんだけどタロ君のお願いだからね。それにわたしが『転移』するときの目印にもなるし。
わたしやダンジョンから離れていても、ゴースト達はDPを消費して存在を維持するので安心だ。
「じゃあ始めますか」
「ほほう」
陶器の腕輪のステータスボードを表示させる。
【陶器の腕輪】
【攻撃:*】
【防御:E】
【魔法攻撃:*】
【魔法防御:*】
【集中:*】
【敏捷:*】
【魅力:*】
【精神:*】
【光属性:*】
【闇属性:D】
【炎属性:*】
【大地属性:C】
【風属性:*】
【水属性:*】
【特徴:使用者に合わせて大きさが変わる】
【 使用者の防御の値が基本の五パーセント増幅する】
【 三度攻撃を受けると壊れる】
【付与効果:大地属性魔法への耐性小】
闇属性にも大地属性と同じように60MP注入して、DからCになるか、なったとしたらなにが変わるのか確認してみたかったんだよねー。
この前16MP注入したから、残り44MPを注入!
……うーん、漆黒から濃い緑色に変わった? 光の加減かな。
ステータスボードを確認してみよう。
【陶器の腕輪】
【攻撃:*】
【防御:E】
【魔法攻撃:*】
【魔法防御:*】
【集中:*】
【敏捷:*】
【魅力:*】
【精神:*】
【光属性:*】
【闇属性:C】
【炎属性:*】
【大地属性:C】
【風属性:*】
【水属性:*】
【特徴:使用者に合わせて大きさが変わる】
【 使用者の防御の値が基本の五パーセント増幅する】
【 三度攻撃を受けると壊れる。もしくは三度付与効果を使うと壊れる】
【付与効果:初級植物魔法(MPを消費することで植物の成長を促進する)】
「ほうほう……ふえっ? タロ君、闇属性と大地属性がCになると植物魔法が習得できるの?」
「なるのだ。吾もマスターが設定してくれたら習得できるぞ」
「そうだったの?……ちょっとごめんね」
タロ君のステータスボードを開いて、魔法スキルの単語をタップする。
「……本当だ。DPを消費したら植物魔法が習得できるんだね。闇属性の魔法はレベルアップしただけで習得してたよね?」
「植物は混合属性だが、闇は基本属性だからな。元々吾が持っていた属性が解放されたこともあって、あのときは自然に魔法スキルが増えた。しかし同じ闇属性でも獣系以外の魔法スキルを習得しようと思ったら、DPを消費しなくてはならないのだ」
「そうなんだ」
モンスターがいろいろあるように、魔法もいろいろあるみたい。
「タロ君、植物魔法のスキル習得してみる?」
「べつにいいのだ。大地属性と闇属性の魔法スキルだけで吾は十分強いからな。それにDPを無駄遣いするのは良くないと思うのだ」
「ごめん」
「アイテムコアの作成はいいと思うぞ。ドロップ品がないと、人間はダンジョンに来ないのだからな」
「そうだねえ」
タロ君は植物属性のモンスターも作成できるという。
ただし複合属性なので中級からになる(百体一セットで作成に100000DP、一日に10000DP消費)し、大地属性闇属性のモンスターと相性がいいので敵対することはない。
今は作る理由がなさそうだ。
「この腕輪試してみたいな。なにか野菜の種買って来ようか」
わたしの周り、半径一メートルくらいはダンジョンと見なされる。
腕輪の付与効果が発揮できるはずだ。
タロ君が飛び跳ねる。
「トマト作るのか?」
「うーん。園芸店を覗いてから考えてみるよ。……あ、買い物が全部終わったら召喚するから、それまでタロ君はお留守番ね。ペット用品店と違って園芸店は一緒に入れないから」
「……わふう……」
タロ君は項垂れた。すごくショックを受けたみたい。
急いで散歩用のリードを持って来てくれてたのにごめん。
隣町の大きな園芸店ならペット用品コーナーもあるから一緒に入店できるんだけどね。
わたしはウメ子達に留守を頼んで外へ出た。
外は暑く、ウメ子モモ子サクラ子のだれかに一緒について来てもらえば良かったと思わずにはいられなかった。闇属性モンスターの彼女達もタロ君のように闇属性の魔気を放っているのだ。
夜中に目撃したら怖いので、我が家に残っている彼女達にも『隠密』で姿を消してもらっている。
お読みいただきありがとうございました。
次回、タロ君ついにお留守番?