表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/127

16・モフモフわんこはお昼寝中

本日(11月6日)は三回更新します。

これは2/3回目です。


「んー。吾、なんか怠いのだ」


 そう言うと、タロ君は黒い豆柴になってわたしの膝に転がり込んできた。

 アイテムコア作成中だけど、モンスターコアもステータスボードも宙に浮いているから問題はない。

 わたしはタロ君を撫でた。


「今日はお買い物したりお散歩したりして疲れたんでしょ。しばらくお昼寝したら? わたし達が見てたからって、ポーションがドロップされるとも思えないし」

「……ホームに帰るとき置いて行かないでほしいのだ」

「置いて行かないよ」

「んふー」


 あ、もしかしたら(シャドウ)を作って倒したせい?

 ふと気づき、慌ててタロ君のステータスを確認してみたが、HPは全然減っていなかった。彼が言った通り、10000だったMPが1000減って9000になっているだけだ。

 状態異常もないようなので大丈夫かな。


 外のエントランスでは戦闘が続いている。

 マッドゴーレムは残りわずかだ。

 もしポーションがひとつもドロップされなかったら、DSSSは明日から来なくなるだろう。


 タロ君のステータスボードを閉じ、モンスターコアのステータスボードを前に考える。

 いざとなったら作ったアイテムコアをエントランスに放り投げてでも、DSSSの気を引かなくてはいけない。

 入って来る人間がいないとDPは減る一方なのだから。


「ほかのダンジョンではドロップしてないっていう防具がいいかな。……防御にMPを注入したら防具になる?」


 転移で帰るから5MPは残しておかなくてはいけない。

 来るときにも5使ったから、アイテムコア作成に使えるのは90MPだけだ。

 アイテムコアを作成するのには、どれくらいのMPが必要なのだろう。


「防御にMPを1」


 防御の横にFと表示され、モンスターコアの形が変化した。

 それに合わせて名称も変わる。色も漆黒に染まった。

 ステータスの最後に『特徴』という項目が追加される。


「陶器の指輪? なになに?……使用者に合わせて大きさが変わる。使用者の防御の値が基本の一パーセント増幅する。一度攻撃を受けると壊れる、か」


 再び防御に1足すと、Fの横にレベルアップバーがびょんと伸びた。

 後10くらい加えたら満杯になりそうだったので、一気に注入してみる。


「計算通り! 防御Eで陶器の腕輪。増幅率は五パーセントにアップ! 三度の攻撃まで耐えられる!……三度かあ」


 武器や防具に耐久度があるパターンかあ。

 防御にもっとMPを注入したら壊れなくなるかな?

 お試しで1MP注入してみたが、Eの横にあるレベルアップバーは大して伸びなかった。


「レベルが上がると、前より経験値が必要になるのはお約束だもんね。んー……魔法属性増やしてみようかな。……あ!」


 いつの間にか、エントランスからマッドゴーレムが消えていた。

 十二人のDSSSメンバーが集まって、こちらを見ながらなにかを話している。

 うん。レベル制限結界だからエントランスのモンスター全滅させても解除されないよ。


「タロ君、肉球借りるね」

「んー?」


 わたしはタロ君を抱き上げて、その黒い肉球に耳を押し当てた。

 そういえば借りるのは肉球じゃなくて聴覚だったと思い出したけれど、タロ君はちゃんと聴覚を半分こしてくれた。

 DSSSの会話が聞こえてくる。


『……これはなんだ?』

『先ほども申しあげましたがポーションです。全HPの三十パーセントに当たる量を回復します。欠損や状態異常(病気)には効果がないようです』

『悪い、高原。お前やそのアイテムコアを疑ったわけじゃない。しかし……』

『これまでポーションがドロップしたことなんてありませんからねー』

『消耗品自体が初めてです』

『マッドゴーレム百体倒して一瓶……ドロップ率は一パーセントですね』


「違うから!」


 向こうに聞こえないのを承知で突っ込まずにはいられなかった。


「違うから、ドロップ率は二十五パーセントだから! たぶんみなさんのリアルラックが低いんです……」


『とりあえず今日中に上へ報告して、明日も……葉山は休みだったか』

『はい。ですが人員が足りないのなら出動します』


 その低い声は初めて聞いた。

 これまでの会話には加わっていなかったのだろう。

 たぶん一番背の高い、大きな剣型アイテムコアで活躍していた人だ。


『気にするな。本当は今日も休みなのにつき合ってもらってたんだ』

『住宅地にできるダンジョンなんて初めてですし、ここは兄の家に近くて俺も心配でした。メンバーに入れてもらえて良かったです』

『まあ明日はほかの地域のダンジョンに行ってたメンバーも集合するし、アキはゆっくり休みなよ』

『平野の言う通りだ。ポーションの真偽によっては自衛隊に引き継ぐことになるかもしれないが、それはそれで忙しくなる。明後日以降に備えて明日は休め』

『わかりました』


 ふっと、隊長と呼ばれている男性の呟きが聞こえてきた。

 たぶんほかの隊員達には聞こえていない。


『……ふた部屋しかないダンジョンなら制覇できるかと期待したんだがな……』


 わたしは耳からタロ君の肉球を離し、黒い豆柴を抱き締めた。


「良かったー。明日からも来てくれるみたいだよー」

「んー?」

「じゃあお家に……っと、これだけ完成させておこうか」


 陶器の腕輪(元モンスターコア)の魔法属性にMPを注入した結果──


【陶器の腕輪】


【攻撃:*】

【防御:E】

【魔法攻撃:*】

【魔法防御:*】

【集中:*】

【敏捷:*】

【魅力:*】

【精神:*】


【光属性:*】

【闇属性:D】

【炎属性:*】

【大地属性:C】

【風属性:*】

【水属性:*】


【特徴:使用者に合わせて大きさが変わる】

【   使用者の防御の値が基本の五パーセント増幅する】

【   三度攻撃を受けると壊れる】

【付与効果:大地属性魔法への耐性小】



 ……結構すごいものができた気がする。


 大地属性は60MP注いだらDからCになった。

 その後お試しで1だけ足してみたものの、防御のときと同じでレベルアップバーはほんの少ししか伸びなかったな。

 *(未設定)からFはすぐでも、ランクが上がると必要MPはどんどん大きくなるみたい。


 残りの16MP(5Pは転移用で使えないからね)は闇属性に注ぎ込んだ。

 レベルアップバーが満杯の三分の一弱くらいまで伸びたんだけど、Cには至らず。

 闇属性がCになってたら、なにかが変わってたのかなー?


 完成した陶器の腕輪は、ドロップ品リストに追加するかと聞かれてYESをタップすると消えてしまった。

 持って帰って、ハル君やふー君に興味持たれたら大変だったので消えて良かったよ。

 だってタロ君に確認したら、わたしが作ったアイテムコアだから、わたしの周りでは効果が発動するって言われたんだもん。モンスターコアも必要になるし、アイテムコア作成はこれが最初で最後にしようっと。


お読みいただきありがとうございました。

次回は二日目のタロ君日記です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ