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45・モフモフわんこ達は唐揚げを食べる。

 商店街ではポーションセールが開催されていた。

 今朝作ったばかりと思しき手書きのポスターやポップがあちこちに飾られている。

 うちのダンジョンに近いから、この辺りはポーション初ドロップの地を名乗るつもりらしい。ポーションをドロップするダンジョンのマスターとして、唐揚げを買って貢献した。


 ──唐揚げを持ってサンゴのダンジョンへ。


(ハル様!)

(((マスター!)))


 サンゴとアジサイ達が歓迎してくれる。

 ……わたしが食べ物を持ってくると、いつもアジサイがいるな。

 普段は第一層に行っているはずなんだけど。


「はい、お土産。タロ君とニコちゃんもお食べ」

「食べるのだ!」

「食べるのですわ!」

(((いただきますとも!)))


 普通のカラスサイズになったサンゴが近づいて来る。

 元の世界でもマスターと過ごすときはこの大きさだったそうだ。


(ハル様。まずはダンジョンのお話をさせていただいてよろしいでしょうか?)

「わかった。……サンゴの分は残しておいてあげてね、アジサイ」

(私だけ名指しですか?)

((……))

「「……」」


 とはいえ、特に問題はないようだ。

 ダンジョンの攻略は始めているけれど、基本専守防衛の自衛隊なので無理をして階層を下っている様子はない。


「……サンゴのマスターはアイテムコアを作るのが得意だったんだよね? 状態異常を回復するアイテムコアを作ってるとこ、見たことないかな?」


 そうは言ってもいつかは十一層にも降りてくるだろうから、早く役立つアイテムコアを作るか、フロアモンスターを入れ替えるかしなくちゃね。


(状態異常は魔法スキルの『キュア』か魔法薬のキュアポーションで治せますので、特にアイテムコアは用意していらっしゃいませんでした)

「そっかー」


 ポーションという名称でもキュアポーションは、モンスターコアとスライムの薬草から作るポーションとは違う。


「向こうの大地に生える香草(ハーブ)で作った薬湯に、魔法スキルの『キュア』を溶かし込んだものがキュアポーションなんだっけ」

(はい)


 次から次へと状況が変わっていくとはいえ、わたしもなにもしていないわけではない。

 そりゃ今はタロ君とニコちゃんの写真を撮るのに忙しいものの、ちゃんと説明書を見たりタロ君にダンジョンマザーツリーのデータベースにアクセスしてもらったりして知識を蓄えているのだ。

 まあ、勉強すれば勉強するほどわけがわからなくなるんだけど!


「向こうの大地に生える香草(ハーブ)複製(コピー)されてないんだよね。……ダンジョン苺でも生やしておこうかな?」

(それはいい考えです!)

(……状態異常になった訪問者(ビジター)が食べる前に、アジサイ様に食べ尽くされてしまうのではないでしょうか)


 うん、そうだねえ。

 昨日結界を解いて階段を開放したお祝いに作ったダンジョン苺、三分の二くらいアジサイが食べたもんねえ。


(マザースライムになったから栄養が必要なんです!)

「唐揚げ美味しいのだ」

「美味しいのですわ」

((……))


 名前のある親株と共感していないときの子株スライムは、念話ではっきりした言葉は伝えられないようだ。

 アジサイがこちらに来ているので、うちのダンジョンに残ったスライムに新しく名前を付けていた。Hydrangea(ハイドランジア)、英語でアジサイのことだ。

 もうネタが尽きたので、これからは同じ花の外国語名を付けようと思っている。


「ミドルポーションを作っておいて、十層の豚肉(ベヒーモス)が倒されたときに放出しようかな?」


 軽い状態異常(病気)まで治療できるミドルポーションならスライムとモンスターコアで作れる。

 ただ問題は、まだまだポーション類は貴重なので、この世界の科学でも解毒できるようになるかもしれない毒による状態異常の場合、放出しても使ってもらえない可能性があることだ。


 ぴらりらりーん♪


 スマホの着信音が鳴り響く。

 ……ぐぬう。昨日タロ君とニコちゃんの声録音したんだけど、着信音に設定する方法がわかんなかったんだよね。後で乙女ちゃんに会ったら聞こう。

 電話の発信者は一昨日と同じく鷹秋さんだった。


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