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※ダンジョンわんこ日記 一日目

本日(11月4日)は三回更新します。

これは2/3回目です。


 今日、吾は生まれた。

 ダンジョンコアに選ばれたマスターのナビゲーターとなるため、ダンジョンマザーツリーに創られたのだ。

 最初からレベル2になっているのは、そうでないとマスターと会話できないからである。


 吾のマスターは卯月晴という。

 ん。良い名前なのだ。

 魔力は流れているが魔法は存在しない世界の人間だ。


 マスターは吾にも名前を付けてくれた。

 タロ、というのが吾の名前だ。

 とっても良い名前である。


 名前をもらえたのは嬉しかったけど、レベルが上がって吾の消費DPが増えてしまったのには困ってしまった。

 DPがなくなってしまったら、吾もマスターも死んでしまうのだから。

 でもマスターは、そんなことで怒ったりはしなかった。頑張ってDPを稼ごうと言ってくれたのだ。


 吾はマスターが大好きだ!


 それから、吾とマスターは一緒にダンジョンのモンスターを作った。

 大地属性のマッドゴーレムだ。

 ブラックドッグじゃなかったのは、犬が人間に倒されたら悲しいからだと言っていた。吾はだれにも倒されないでマスターを守り続けるのだ!


 マッドゴーレムを作ったらマスターのレベルが上がったぞ。

 マスターはレベルが上がっても消費DPが増えなくて良かったのだ。

 人間を倒したらDPが増えるのなら楽なのに、人間をダンジョンに呼び寄せなくてはDPが増えないのだから難しい。吾、強いのにな。


 『転移』で帰ったマスターの(アパート)は、どこもマスターの匂いでいっぱいだった。

 ただアパートは狭すぎて、オルトロスモードになったら壊れそうなのが残念だ。マスターのソファ兼ベッドになりたかったのだ。

 挨拶に行った大家という人間はマスターを大切に思っている匂いがしたので、吾も好きになったぞ。


 夕飯はポトフだった。

 ベーコンとニンジンとキャベツが美味しかったのだ。

 吾は普通の犬じゃなくてモンスターだから玉ネギも大丈夫なのに、マスターは心配してくれなかった。でもマスターが食べてるところ見てると美味しそうだから、いつか絶対食べてやるのだ、くふふ。


 そして──


 吾は永遠の好敵手(ライバル)サクラに紹介された。

 サクラはマスターマザーのパートナーだ。赤ちゃんのマスターと一緒にいる写真を見せてもらった。

 むむむ。吾はサクラには負けないのだー!


 夕飯の後でマスターは吾の写真をたくさん撮った。

 最初はサクラの写真より小さいと思って悲しくなったが、単に表示している媒体が違うだけだった。

 マスターはちゃんと吾の写真も大きくして見せてくれたのだ。


 明日は首輪やジャーキーを買ってくれるという。

 首輪は飼い犬の証で、ジャーキーは保存用に日干しした肉だ。

 ダンジョンマザーツリーのデータベースにアクセスしたときに覚えたぞ。吾の権限には限界があるけれど、今のところ必要なことは確認できているのだ。


 ふう、明日が楽しみなのだ。

 吾はマスターとお風呂に入った後、一緒のお布団で寝た。

 マスターがトイレのとき以外はいつも一緒だ!……マスターなんでトイレ行くのかな? 一匹にされて、吾寂しいのだ。


 マスターの胸の上でぐるぐる回って、ベストポジションを見つけたつもりで眠りかけたところで、マスターにお尻を向けていたことに気づいた。

 慌てて体勢を変えていたら、


「タロ君の尻尾はくるんとしてて可愛いから、さっきの体勢でもいいよ。ベストポジションだったんじゃない?」


 って言われたけど、


「起きたときにマスターの顔がすぐ見えないと嫌なのだ」


 って答えたら、マスターは嬉しそうな顔をして吾をなでなでしてくれた。

 なでなでされてると眠くなるのだ。

 ボスモンスターは眠らなくても食べなくても死なないが、不眠絶食を続けていると狂暴になる。混乱してマスターにがうってやったら嫌だから、ちゃんと寝たり食べたりするのだ。


 おやすみなさい、マスター。大好きなのだ……

お読みいただきありがとうございました。

次回は首輪を買いに……行く前にDPを確認します。

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