※ダンジョンわんこ日記 四十二日目と四十三日目
毎日コロッケと唐揚げを食べていたマスターは、お肉屋さんに注意された。
えー? コロッケと唐揚げは美味しいから毎日食べてもいいと思うのだ。
とはいえマスターの体に悪いというのなら我慢も必要なのだ。それに、コロッケと唐揚げの代わりにカレーを作るというのなら、吾は大歓迎なのだ!……でもちょっと待たされ過ぎた感はあるのだ。
ヘルシーな鶏肉で作るチキンカレー! を楽しみにしていたら、玲奈が来た。
ぐぬう。玲奈はマスターの親友だから仕方がない。カレーは譲るのだ。
玲奈の前では、吾は普通の犬だということになっているしな。
カレーが残ったらコロッケや唐揚げを載せて食べようという話だったのだが、玲奈の勢いを見ると到底残りそうにない。
まあ、たくさん食べてもらえて、マスターが嬉しそうだから許すけど。
しかも玲奈は、明後日マスターを遊びに連れ出すつもりのようだ。
んむむむむ。吾はボスモンスターだから、ちゃんとお留守番できるのだ。
……え? ダンジョンへ行くのか? だったら吾も行く!
モンスターのいないダンジョンと言うのが気になるからな! べつにお留守番が寂しいわけではないのだぞ?
この日は玲奈に抱っこされて眠った。
んー。玲奈の胸は凹凸が少なくて硬いので、あんまり寝心地は良くなかったぞ。
やっぱりマスターの胸の間で眠るのが一番だな!……とか思っていたら、なんかすごい目で玲奈に見つめられていた。怖かったのだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
次の日、玲奈とは一旦お別れして、翌日再会することになった。
玲奈のタクシーを待っていたら、お隣から冬人が出て来たぞ。
去年も玲奈とは会っているそうだが、冬人は幼いから忘れているようだ(←0歳犬)。
玲奈を見るなり部屋に入った冬人は影のマントと帽子を身に着けて帰ってきた。
……玲奈が怖かったのだな。
きっと心の中で、玲奈の胸とお隣マザーの胸を比べてしまったのだろう。玲奈はそういった思考を敏感に察知する能力がある気がする。ん? 寒気が。
とか思ってたら違ったぞ。
冬人は玲奈に求婚したのだ。びっくりなのだ。
吾はダンジョンのボスモンスターなので繁殖しないけど、結婚するならマスターがいいなー。