傭兵として〈下〉
おくれてすいませんでした。
「お前、まさかあのブ」
『うるせぇ』
言った男の機体が蜂の巣になる。
その発言の20分前………
レイサーは狙撃用の三連式多目的カメラモジュールを上にあげると左目の複合ユニットのリンクを解除し、左手でキーボードを叩き、インベントリから最適な武器を取り出す。
ストックまでがカーキ色でずんぐりとした形
通常の二倍以上の弾が入る円筒型のドラムマガジンの弾倉が装着され、銃眼はアイアンサイトのままの銃
「SDW-04S」
実在する銃、UDP-9がモデルのサブマシンガンだ。
ソルジャー用の拳銃弾を使用する類いのいわゆるSDW(PDW(Personal Defense Weapon、個人防衛火器)のソルジャーモデル、接近戦によく使われる)だ。
連射速度は申し分なく、軽量で小型なので取り回しが良い。その上装弾数は75発もあるので、使い回しがきく。
感覚としては、アサルトライフルとLMGを足して2で割ったような感じの銃である。
予備の75発弾倉を腰に二つ装着する
右手に握った、SDW-04Sのボルトを引き直し弾が装填されていることを確認し準備する。
ブースターを最大出力で展開し、飛び上がると手にしたSDW-04Sをレイサーはフルオートで乱暴にブッ放す。
速度は圧倒的に速かった。
右足に二発のショート弾を一瞬の内に叩き込み、右肩と両膝をブチ抜く。
弾倉に残った弾を、コックピット目がけて全弾叩き込んだ。
空薬莢がやたらと派手にブチ撒けられていく。
フルで装填してあった75発弾倉も、ものの数秒で空になってしまった。
リロードする暇もなく、腰のジョイントに手を伸ばす。
次にレイサーが取り出したのは、黒一色のソードオフモデルの散弾銃「SLS95」だった。
一番短い位置まで引っ込めた銃床を引き延ばし、装填されていたバックショットを続けざまにブッ放す。
つい先程まで撃っていた弾とは比較にならないぐらいに強烈な反動が左腕から伝わる。
排莢口からは赤い散弾薬莢がポリゴンの海へと消えていく。
プラスチックの薬莢が軽い音を立てて床に落ちる度に、機体への強烈な衝撃が襲いかかる。
この至近距離で喰らわせたのは対人弾ではあるが衝撃というのは、馬鹿には出来ない。
だからか、盾を持っていた機体は動きを止めていた。
これで、奴らの注意を引きつけることが出来た――――。
画面を見ながら、左手でコントロールバーのボタンを早押しする
弾倉に収められていた全弾を撃ち尽くしたレイサーはSLS95を投げ捨て、SDW-04Sのボルトを引き直し弾を装填するとブースターを使い急上昇。
残り一機の上に、到達すると両手、両足に銃口をくっ付け弾倉半分以上を注ぎ込む。
コックピットに銃口を突き付ける。
「お前に聞きたい事がある。」
氷のように冷たい視線を向けて問う。
『何だよ? 』
不機嫌な言葉が帰ってくる。
「お前は、"女王"という名前を知っているか?、何でもいい。知っていることを教えろ。」
『そんな都市伝説並の話、ハーモニー・ソルジャー・オンラインやってる奴なら耳にしたことはあるだろ。謎の女で、六人の部下を常に従えている奴だろ。』
ソルジャーの両手に、両足に何発も撃ち込む。
「他には?」
『後は確か、俺が聞いたのは、部下の一人は第五惑星にいるウォーロード使いの"ディンゴ"だって噂だ。それ以外は俺は聞いた事がない。』
「そうか、」
何かに気づいたように相手は言う。
『てかあんたの機体のエンブレム、どっかで見たと思ったら……
アーミーナイフを咥える狼が描かれているエンブレムなんて』
彼は思い出していた。
神出鬼没のソルジャー使いでどんな武器でも使いこなし、どんな環境にでも対応して戦い抜く男がいたこと。
その神出鬼没性から伝説上の、若しくは民間伝承における幽霊に類似した怪物の名前で呼ばれていた男
「お前、まさかあのブ」
『うるせぇ』
言った男の機体が蜂の巣になる。
ため息をつきながら
弾倉を交換し、コックピット内で操作するとインベントリを呼び出し指を走らせると、眼前に画面が表示される。
その中から「ホームベース」を選択。
自分の格納庫へと一瞬で転送される。
目を開くと、紺色に染められ左肩に同じエンブレムが描かれている機体がずらりと並ぶ航空機の格納庫のような場所に降り立つ。
特殊部隊の隊員のようなボディを持ち様々な種類の銃器を主兵装とする中量級ソルジャー。
「ハンター」
特殊兵装は"ギャング・ボム"。
戦車を人型にしたような身体をもち射程が短いが、範囲攻撃が得意な重量級ソルジャー。
「プレデター」
特殊兵装は"ジェリー・ロール"。
角ばったボディの光学兵器を主兵装とするオールラウンダーな中量級ソルジャー。
「ピースキーパー」
特殊兵装は"A.R.R.G.S"。
細身の刀剣を使い格闘戦をメインとするロマン溢れる軽量級ソルジャー。
「サムライ」
特殊兵装は"レップウ"。
強力な重火器と厚い装甲により正面きっての撃ち合いに強い重量級ソルジャー。
「ウォーロード」
特殊兵装は"ブリッツ・ウルフ"。
大型のブースターを背負い唯一の飛行性能を持ち、空中戦を行える軽量級ソルジャー。
「ドラゴンフライ」
特殊兵装は"ポケットサイズ"。
背中のミッションユニットを取り替えることで様々な環境にも対応可能な中量級ソルジャー
「レンジャー」
特殊兵装は"グレイ・ビーハイブ"。
丸みを帯びている形状のボディ、両腕に火器を内蔵した偵察用軽量級ソルジャー
「コンカラー」
特殊兵装は"ウォークライヤー"。
全機体を見上げながら、左手を固く握りしめる。
「俺はやらなきゃいけないんだ。」
レイサーはポツリと呟く。
「機動戦士ガンダム サンダーボルト」
第二部見てきました。
アッガイのOVAならではのカスタムがされ、格好よかったですね。
ダリル機のマスクが展開されたとき、一瞬だけ実はジオンの隊長機特有の一本角が装着されていたのを見た瞬間「ハッ!」となりました。
素晴らしい出来なのでおすすめです。