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傭兵として〈上〉

遅れて申し訳ない。

基にしたゲームを何回もプレイしていたので、

2052年3月29日

午前11時41分


第二開拓惑星。「アーリア」

いまだに現地ゲリラと政府軍の争いが続く惑星。

ソルジャーの背丈より大きな樹が生い茂る密林に覆われている。



東側にある山。

ここに俺はいるが、奴等は絶対に発見出来ないだろう。

何故なら15000mも離れている上に、携行して来た大型スコープに、サプレッサーを取り付けたアンチマテリアルライフルのSV-98によく似た対艦狙撃銃「SGR-48」にも迷彩柄のぼろ布を巻き付けた迷彩処置が施され、ソルジャーの身体もまたスナイパーの必需品であるギリースーツを装着し、膝撃ち姿勢で身を潜めている


『こちらは配置についた。そちらは?』

「スナイパーポジションで待機中、敵は視認」

『敵の数、編成は?』

「ドラゴンフライが三機、プレデターは四機、重装甲化したガンナー役のピースキーパーが一機。リーダー役はおそらく、赤色のエンブレムを付けたプレデター。」

『サンクス、足止めを頼む。』

「了解した。見つかった場合は撤退する。」

『はは、こちらはこちらで任せろ。

噂はかねがね聞いている。対傭兵専門の傭兵、期待はしている。』



クランを抜けた後、傭兵に俺はなった。

役割としては戦闘支援から初心者クランの訓練までも請け負う一般的なごろつき(エンフォーサー)だが。

今回も似たような任務だった。

狙撃役がいないために、狙撃支援のみの依頼。

ターゲットはクランとしては中堅の集団。


これまでの俺とは違う。

レイサーはヘルメットの画面表示を見ながら思った。

実際彼のアバターとしての身体は大きな変化が起きていた。 左手の義手は変わらずに、左目には複合ユニットが埋め込まれ、右足も義足となっている。

ソルジャーのカメラアイに装着した三連式多目的カメラモジュールから得た情報を複合ユニットに内蔵したコンピュータが解析。

幾通りものモードから最適な情報をパイロットに提供する。


"複合ユニットを埋め込むならアバター自身の身体とバランスに影響が出る"


複合ユニットをどうにか手にいれた友人から言われた。


アバターをサイボーグ化する物と生身の身体のまま戦う物がいる。

サイボーグ化する場合ならアバターの約七割を機械化するのが一般的だ。

しかし、レイサーは違う。

身体を自分の思うがままに操作可能な状態にアバターを持ち込んだ。

設計、デザイン、影響を全て考慮した上での埋め込んでいる。



『ウサギがお出ましだ。』

「了解した。」


ターゲットの集団をライフルのセンサーと同調したシステムを搭載した狙撃用のヘルメットに捉える。



右手のコントロールバーを操作し、ライフルの安全装置を全て解除。

ボルトハンドルを操作し、初弾を薬室に装填。ターンロック・ボルトが独特の軽快な作動音を鳴らす。

「OK」

情報を基に微調整を行ない、敵のコックピット部に合わせる。


「距離は………14500ってところか」


レイサーはすぐに照準を移動させ、一番手近なターゲットに合わせる。

距離は14580m、高低差約40m。

弾道に影響する全ての要因を一瞬の内に左目の複合ユニットの中で整理し、計算、指示。

それに合わせて細かく照準点をずらす。

 射撃の用意は整った。

レイサーは大きく息を吸い、ゆっくりと息を吐く。

右人差し指の力が徐々に高まり、引き金が絞られていく。


 弾丸は、音よりも早く、銃声すらも振り切って突進。

如何に、制退器があるとは言っても、その想像を絶する威力の対艦狙撃銃アンチマテリアル・ライフル反動(リコイル)だ。

身体事、後方へ後退しようとするが、そこはしっかりと踏ん張りこらえる。



『ナイスキル。』


飛翔する弾は、狙い通りの軌道を描き、命中。

厚い装甲を容易く貫徹し、内部構造を破壊。


第二射(セカンドショット) ファイア」

右のコントロールバーを操作すると、トリガーを引く。


撃ち出された弾は寸分の狂いも無く、照準を合わせたターゲットの武器を粉砕した。



『行くぜ。』

その言葉を聞いた瞬間に

今まで偽装していた迷彩柄の布に覆われた身体をゾンビのように起き上らせ、ソルジャー達は重機関銃を乱射し始める。



狙われたことに気づいて焦り始めた、他の機体が仲間の機体を盾にしながら、応戦するなか



その中の緑色のカラーリングをしたソルジャー3機は場慣れしているのか、ドラゴンフライ特有の飛行機能を利用し、狙撃位置に降下するが
















偽装布に覆われ、二脚に固定されたSVD、ドラグノフ狙撃銃によく似たスナイパーライフル「PSR」のみが置かれていた。






















「ようやく気づいたか。」

三連式多目的カメラだけを横に向け、ニヤリと笑う

リモートスナイパーを設置し、ヘルメットにスコープの画像を写し出し間をおいて狙撃する。

ゲリラ戦の常套手段だ。

ちなみに………





一機のソルジャーがオートスナイパーに近づいた瞬間。

足元に細いワイヤーが引っ掛かりキン、という軽快な金属音が響く。






黒い煙が爆発の音ともに、向こう側に見える。


ミニグレネードを6個束ねた、全てのピンに微細ワイヤーを仕掛けて置くだけの対ソルジャー用トラップ。

ブービートラップは仕掛けない訳がない。


しかし、


「こちら、スナイパー。位置バレした。お先撤退する。」

『了解、こちらはこちらで対応する。報酬の後金は後で。』

「了解」

言った途端、レイサーの表情が一変する。

 先程までのものとは明らかに違う、狩人が獲物を見つけた時に浮かべるような表情に変貌する。

次回もお楽しみに。

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