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プロローグ

久しぶりの投稿、宜しくお願いいたします。

2052年3月1日

午後10時09分


「ハーモニー・ソルジャー・オンライン」内


第四開拓惑星「リュンクス」

西方雪原地域狩猟解禁地区

リスポーン制限エリア

「はぁ、はぁ、はぁ。」

ここはVRMMOの中でも有名な「ハーモニー・ソルジャー・オンライン」の中、20以上ある惑星の内の一つ「リュンクス」は上級者向けの惑星であり、レジェンダ級の武器が出やすいことでも有名だがもう一つのことでも有名である。


"PK"いわゆるプレイヤーキラー達の温床でもあるのだ。

他の惑星とは違いリスポーンの制限エリアが多く、拾った武器を持ったまま帰ろうとしても、大型モンスターやらPK集団に武器をロスしてしまう、そんなことでも有名だった。

もしくは、初心者狩り。

初心者を誘き寄せ、ぼこぼこにするということもあり初心者の全財産を奪われるという正に裏社会のようなエリアなのでもある。


そんか狩猟解禁地区に、一人の青年姿のアバターが立っていた。

"一人立っていた"、ではなく"一人しか立っていなかった"

左目の下にはタトゥーが入り、左腕は義手になっている青年は銃身の下に単発式のグレネードランチャーを装着したアサルトライフルを手にぶら下げ、辺りを見回す。

辺りには、彼が打ちのめしたクランのメンバーのアバターが転がっていた。


その数、約五十人ほど


彼が所属していたクラン「シューターズ」のメンバーだったが、瀕死ステータスやほぼリスポーン制限のため復活を待つタイマーのマークが表示され、周りにもバラバラになったパーツが散らばっていた。

瀕死ステータスの中に紛れていた一人が必死に右手に握ったデバイスで救援用のガンシップを呼ぼうとしているが、青年は彼の手をデバイスごと踏みつける。

「君は残っていたんだね、ライル」

ライルと呼ばれた少年は右手を踏みつけられ、苦悶の表情をする

銃口を向けられハッとしたような顔になるも

「レイサー、そんなことをしたってあの子は帰ってこないんだよ。僕は命令されただけなんだよ。」

レイサーとよばれた青年は左手の義手をチラリと見て

「そんなことは知らない。俺は復讐するだけだ。誰がやったんだ。」

ライルはニヤリと皮肉ったような笑いを浮かべると

「わかったよ。"女王"だよ。女王。」

レイサーの目の色がなくなっていく。

深みを増した夜の暗さのように光が消えていく。

代わりに口は三日月のように口が歪んでいく。

「やはりか、他の幹部の三人も同じことを言ってたよ。」

「ロイ、ビーバー……」

「そしてリンゴ。彼女にはじっくりとお話させてもらったよ。」

「そういえば、君はそんなに呑気にしていいのかな?、ねぇ」

そういいながらライルは笑う

その瞬間、背後から轟音が響く。

後ろを振り向くと、機械仕掛けの巨人"ソルジャー"が3機、空中から降下した姿で個々の光学カメラをこちらに向けている。

この世界の二足歩行兵器は頭がない。

いや、頭部がコックピット兼胴体部分となっている。

胴体前面部分にカメラアイが装着され、顔となっている。



「お前が呼んでいたのは、ガンシップじゃないなソルジャーだったんだな。」

ライルは笑いを止めずに、レイサーの顔を睨み付けた

「そう、君を慕っていた三人、彼らには別の場所で待ってもらっていたんだよ。」

レイサーは左手の義手に掴んでいたドクロが左頬に書かれたヘルメットを被るとソルジャーに向き直る。

腰のホルスターからカスタマイズしたMAG-95を抜くと、ライルの笑い顔に弾をぶちこみ瀕死ではなく、ポリゴンの破片にする。


「サージャ。」


一機目の緑地に灰色のラインが二本入り、カメラアイの右に逆三角形に剣のエンブレムが書き込まれた「ウォーロード」を見ながら呼ぶ。


かつて、鬼の愚連隊と呼ばれたレイサーが率いていた突入部隊のチームメンバーの一人がウォーロードに得物のショットガンを持ちこちらに突っ込んでくる。


「ウォーロード」

設定ではナタリア・インターナショナル社によって作られたソルジャーの一機。

プレイヤーが一番最初に解除されるソルジャーであり最も使用されている機体だ。

第2世代と呼ばれるソルジャーが戦闘目的で開発されるようになってから複雑化したコントロールシステムを支援用AIを搭載することで、第3世代にも劣らない性能を発揮する。

一般のプレイヤーには使いやすく、クセもない、いたって平凡な機体だ。


顔が浮かぶ。

アサルトライフルをインベントリに収納し、二丁の連射式のグレネードライフルを両手に持つ。

右手に握ったグレネードライフルの銃口を向けると、スモーク弾を発射する。

スモークに紛れて、右のグレネードライフルの弾倉を取り替えソルジャーに近づくと背中のブースターパックを使用し飛び上がる。

カメラアイからは急に姿が現れたように見えただろう。

グレネードで一発カメラアイ目掛けて撃ち込む。

ウォーロードの緑色の単眼は破壊され、中では驚いているのがわかる。


俺が今使用しているのはグレネードライフル GBR-84「パイレーツ」

グレネードライフルとは

いわゆるグレネードランチャーとは違いグレネード弾がまっすぐ飛ぶ、たくさんある歩兵用の対ソルジャー兵器の一種だ。

更には「パイレーツ」だけではなくグレネードランチャーも含めて弾の種類を変える事が可能。

選択して右のグレネードライフルに装填していたのは一粒弾、通称スラッグショットと呼ばれる弾だ

珍しい弾の種類でもある。なんせ対ソルジャー用には爆裂弾やサーマイト弾のような装甲全体にダメージを与えるというコンセプト通りの弾を装填しているはずだ。

スラッグショット自体は一粒のグレネードサイズの弾が飛び出すのだ。

威力と精密度だけならこちらが勝っている。

今回使用したのは俺に武器を撃ってくれる武器商人がだいぶ前に試作品として提供してくれた弾。

AP弾を用意しておこうと思ったが試作品を処分するチャンスはないと思い装填しておいたのがよかった。



的確にカメラアイを砕け散らせているソルジャー。

周りの二機はこちらにソルジャー用アサルトライフルとソルジャー用のスカウトライフルをこちらに向けてくる。


パニックになってパイロットの動きを模倣し始めるソルジャーにつかまるとソルジャーの真上に立つ。

全ソルジャー共通である背中のブースターパックの横にバッテリーを差し込む穴が二つあるのを確認すると、グレネードライフルをスピンコックアクションで弾を装填、パッと頭から飛び降り逆さまになりながらも撃ち込みと、的確に弾が吸い込まれていく。

あの穴はソルジャーの唯一の弱点であり、ソルジャーは絶対に爆発するアキレス腱でもあるのだ。

爆発したことを感じながらも着地し、地面に弾を撃ち込み、飛び上がる。

「バーン」

ドラムマガジンを装着したアサルトライフルを三点バーストに設定し、こちらに構えているコンカラーを見ながら、呟く。

アサルトライフルの銃口をこちらに向けながら彼は問う。

「何でなんですか、隊長!なんでこんなことをするんですか?」

アサルトライフルにグレネードをぶつけ、使用不能にすると


右足で地面を強く蹴り、ブースターで飛び上がり、クルクルと駒のように回りだす。

回りながら横のハッチにとりつく。左のグレネードライフルを空中に放り投げる。

腰に付けた灰色の球体を親指でピンを抜き投げつけグレネードライフルをキャッチし勢いよく飛び上がる。


球体はソルジャーのハッチに粘土状となって貼りつく。

ハッチを封じるように爆発し、粘土状のケロイド状になった球体はオレンジ色に変色していた。



「お前がバカにしていた粘着爆薬だよ。」

レイサーは投げ捨てるようにポツリと呟く

バーンはソルジャーから出られなくなり焦っているはずだ。

左のグレネードライフルを構えると、無慈悲に三発発射し足をもぎ取る。

グラリと巨体はゆっくりと煙をあげながら崩れ落ちる。


バーンには

緊急用ハッチが開かない状態になり、カメラアイだけが生きている状態で仲間が殺されるのを何も出来ずに見ることしかできない。


「ユリン。」

ゆっくりとこちらに近づいてくる機体を見ながら弾倉を捨て、リローする。

愚連隊の紅一点だった少女はが構えたスカウトライフルの銃口をこちらに向けてくる。

『なんで、こんなことをするの?君はそんな人間じゃないはずだ。そんなにあの子に思い入れでもあったの?、レイサー!!!!!』

悲痛な叫び声がスピーカーから聞こえてくる。


「ユリン、君はあの子の情報、状況、状態を知らない。

言ったよな。まずは3Jを使いこなしてこそ、戦略を建てられるのだと。」


胴体部分が上下に別れ、ハッチが開く。

中からはパイロットが拳銃をこちらに構えながら立ち上がる。

彼女はヘルメットを取り外し、投げ捨てる。

「隊長!」

ユリンは武骨なグロック34をこちらに向けていた。

彼女は涙を流しながら、銃口をこちらに向けている。


「もう、無理なんだよ。」

ボソリと呟き、無慈悲にもグレネードライフルを向け叩き込もうとスピンコックして銃口を向ける。

「すまねぇな。」

粉々に砕け散ったポリゴンの欠片は本当にきれいだった。

見ているであろうバーンに見せつけるように、彼女を撃ち抜いた


ヘルメットを投げ捨てると、左耳に装着した無線機に接続されたイヤホンマイクに話かける。

「団長より通達、これを持って部隊を解散。俺を嵌めようとか復讐しようなんて考えるな。

例えこの世界がゲームだからとしてもなめるな。そして、一生俺の前に顔を見せるな。以上だ。」

バーンの機体にグレネードを投げ込み、レイサーはどこかへと消えていった。







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