起きたけど
こんにちは新しい自分。
そんなことを思いながら私は鏡を見つめた。
そこには見たことのない容姿をした子供が写っていた。
事の始まりは今から三年前の話だ。
真っ暗な意識の中に光を感じた気がした。
あぁ、死んだなって。走馬灯の始まりかなって。
でも暫くして声が拡張機を通してるみたいにぼやけて聞こえるようになった。
あれ?もしかして私、死んでない?
「あぅ〜」
あれ?声がでる?
最後の方はろくに声も出なかったのに…
それにここはどこだろう?
喋ってるのは誰?
問いかけようとしたが
「あ〜ぅ〜」
・・・話せない。なぜ。
訪ねるつもりが逆に恥ずかしい結果になってしまった。
もう泣きそうだ。
すると感情の歯止めが効かないかのように私はぐずり出してしまった。
・・・だからなんで!
そんなつもりはないのに、私はついには大泣きしだしてしまった。
混乱が混乱を招きさらに泣くという悪循環。
誰かどうにかしてください!
「お嬢様、泣かないでください」
ってほら!近くの人が困った声で言ってるもの。
ってあれ?
お嬢様?
今お嬢様って言った?
あ、泣き止めた。
見えないからわからないけど、
私と今喋った人の他には誰もいなさそう。
というか、泣いてる人がいたら流石にわかる。
どういうこと?
とりあえず私は一般市民だし、お手伝いさんを雇うほどの家ではなかったはず。
気づいてないだけで私の他にも誰かいるのだろうか。
「よかったです。泣き止んでくださいましたね」
また声がする。
ホッとした声だ。私まで安心した。
この声の持ち主はきっと優しい人なんだろうな。
そう思っていると少し眠たくなってきた。
ん?でも今のタイミングでその言葉って
考えを巡らそうとするがそれとは裏腹に瞼が重たくなってきた。
今は眠気に身を任せてしまおう。
もし次に起きられたらその時はまた考えればいい。
とりあえず、おやすみなさい。