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不眠がよく続きます。

 

 半ば強制的に決まった僕の卒業旅行。

 バイトの予定しかない僕にとっては唐突過ぎて感慨もない。

 予定のないことばかりでため息をつく暇もない感じだ。

 果たしてどうしたらいいのだろうか。


 丸一日の検査入院を終えた僕は一旦自宅に帰宅していた。

 そのあとは諸事情の塊のみたいな少女、満月の付き添いとして少しの間看病することになった。

 まわり人達は虐待として噂し始めていた。当然である。その通りだ。

 まだ噂程度で事実を知らない人がほとんどだ。

 その少女を看病している僕に対する周りの視線は冷たかった。

 不信感を抱かれるのも当然だし、何しろ僕は若すぎた。君じゃない感。

 最悪兄弟や親戚とみれば違和感はなさそうだが、冷めた病室が不安な気持ちを煽り様子を見に来る看護師さんの目でさえ恐怖に感じた。マスクをしていて表情もわからないし。


 やっと周りが静かになり消灯時間が過ぎ寝静まったころ、僕は恐怖と睡魔の鬩ぎ合ってにいた。

 単なる値付けていないだけだった。

「お母さん、会いたい」

 確かにそう呟いた。

 背中をこちら側に向けていて寝言なのか、本人がそういったのかはわからない。

 確かにそう聞こえたが僕は一度「ん?」と聞き直した。

 しかし返事はなかった。

 その暫く後、満月から微かな寝息が聞こえた。

 満月は寝付ていた。

 僕も素直に眠りにつけばよいのだが、謎の恐怖心と悪戦苦闘を強いられていた。


 でも満月がそう言ったことは確かである。

 本心を語らない満月にとっての心の叫びのように僕は聞こえた。

 本当は心の中でそう思ているんだろうな。って。

 僕も子どもの時、大きなショッピングセンター迷子になった時があった。

 焦るごとじゃなく心底絶望していた。

 もう一生会えないんだろうなって。

 怖すぎて永遠に一人で泣いていた。

 両親のいない世界がこれほど不安に。


 満月の場合はそれが進行形なのだろう。僕なら恐怖で押し潰されてぺちゃんこになっているはずだ。

 どうしたらこんな風になれるんだろうなと。

 そう思っていたら不意に母さんのイメージが頭の中に浮かんだ。

 高校の入学式以来一度もあっていない母の顔。

 思い出せない……。あれ、そうか、もう三年も経っていたのかって今更ながら気づいた。

 そう考えたら少し寒くなってちょっとウルってなった。

 何しているのかなって。ろくに連絡もしないない。母さんは何しているのかな。

 会いたいとは思わなかったけどそれが気になった。

 そっか。じゃあ折角だし満月を連れて母さんの所に行ってみるかっ。

 でもなんで北海道なんてところにいるんだろう。

 色々考えていたらスッと落ち着いていたのか朝を迎えていた。


 その日の朝。満月は午前の検査で問題なければそのまま退院できますよと伝えられた。

 虐待として推測されている満月を一旦段取りとして僕が保護者と扱い彼女を退院へと導いた。

 それには店長やオノヨココさんの協力が必要不可欠で彼らの根回しおかげでここにたどり着いた。

 あまりにも強引な判断で病院や児童相談所などを欺くような結果になってしまった。


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