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涙の訳が、分からない


 僕は途中でが覚める。

 そこは紛れもなく救急車の中だった。

「あれ……」

「あ、危ないからそのまま寝てて。名前と生年月日いえる?」

「朝日栄太郎。生年月日は……」


 救急車の中で色々話したのだが、あまり覚えていない。

 何故か、また涙が止まらなくなったのだ。

 救急隊員の方に呆れらるくらい泣いてたと思う。

 抑えたくとも抑えることはできなかった。知らない人たちの前で。



「……あれ」

「お、起きたか」

 ああ、寝ていた。

「爆睡してたぜ。爆睡!」

 窓の方を見てみるとカーテンが閉められていてすっかり日も落ちている。

 スマホを眺めながらだるそうに店長が座っている。

「全治三週間。全身打撲。骨折なし。明日の検査で問題なければ退院できるってよ。よかったな」

「はぁ」

 ああ、思い出した。その後病院に着いて検査をして病室連れられてそのままバタンキュー。


「あの、痛っ」

 少し動かしただけで痛みがする。

「痛み止めを飲んだはずなんですけど……満月は……」

「軽い脳震盪だってよ。意識もあって今は優羽たちが付いてる」

「……」

「大事に至らなくてよかったよ」

 本当にあんな衝撃的な音で飛ばされて脳震盪で済むのだろうか?

「思っている以上にタフだよ。満月は。まだガキのくせに」

「……」

 僕のいる部屋は相部屋みたいで個人をカーテンで区切っている。

 

 ガジャーとひとりでにカーテンが開く。


「意外と元気そうね?アナタちょっと男前になったんじゃない?」

「ああ、ラムさん。来てるんですね。もう全身痛いですよ」

「何ともねぇよそんなもん」

 

 ガシャーとラムさんが閉める。


「どうでもいいけどさ、私女子部屋入れなかったの」

「知るか」

「そういや、実は親御さんに連絡を入れようと思ったけどお前の履歴書無くしてしまってな」

 個人情報紛失しとる……。


「母ちゃんのことは気にしなくていいですよ」

「流石に連絡とってないと心配になるんじゃないか?」


 ガシャーとまたおもむろにカーテンが開く。

「思ってたよりフツー」

 落ち着いた様子の優羽が部屋に入ってくる。


「何を期待してたの」

「包帯グルグル巻きとか?まぁいいや。ラムさん、入れますよ」

「ホント?さっすが優羽」

 屈強な男は優羽に連れられて行く。


「あ、カーテン閉めてよ」

「あ、ごめん」

 知らぬ間に敬語が抜け落ちているように感じるのは僕だけだろうか?

 

 ガシャー


「母ちゃんには感謝しろよ?お前を育ててくれたんだから」

 不本意ながら頷く。


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