人生とは選択の連続である。
感動の再開だろう。
二人の関係や過去の出来事は全く知らないが、長い月日をかけた再開であろう。
たかが二年、されど二年は子どもにとってそれはどれほど貴重なものか。
クリスマスが二回分、誕生日が二回分。
そう考えると時間の大切さが身に染みる。
「素敵な体験をありがとう。おねぇさん(オカマ)は感動して涙がちょちょ切れちゃう」
「ご近所迷惑というのを考えなさいよ!何時だと思ってるの!」
「落ち着いたらお話を進めようかしら?」
「人の話きけい!」
オノヨココさんは店長のところへ伺う。
「あたなに実際お会いするのは二回目かしら?」
「オェ……」
「ヤダ~早く落ち着いて~」
「やかましい……」
店長は奥の客席に座り、顔を伏せて嗚咽している。
「募る話もあるだろうから『陽だまり家』御一行はお二階へご案内してもいいかしら?」
店長は何も言わず静かに頷く。
満月は歓喜のあまり神原さんたちと抱き合っている。
僕の想像ではあまり仲は良くないのかなと思っていたのだがそうではなさそうだった。
「うんうん。素敵よ。さぁゆっくりしておいで」
「はい!」
店長が使えない分オノヨココさんが仕切っている。
「コさん!ありがとう!オゥイエ!」
「YA!あんまり時間がないから大切に使いな。貴重な時間だから」
そう言ってオノヨココさんは『太陽と子どもの家』御一行を二階に上げる。
「ジャスティスエータ!オゥイエ!」
「それ止めなさい。それと満月、そのキャラどうした」
「きゃはは!」
満月は楽しそうに二階に上がっていった。
僕と会った時と比べ見違えるほど変貌していた。
とはいえ子供らしさが増した。僕はそれが一番うれしかった。
本来子どもはこうあるべきだ。無邪気でアホで後先何も考えなくらい。
でも一週間で変わり過ぎではないだろうか。それと何か違う方向に……。
「ジャスティスエータ。あなたはどちらがいい?」
「んん?」
選択の時である。
人生とは選択の連続である。
というのを本とかテレビとかで見たことがあるような気がする。
オノヨココさんは僕を試すような質問をしてきた。
「そんな深く考える必要はないわ。好きなほうでいいの」
ん~。とほんの数秒だけ考えてふりをしてから答えを言う。
「それじゃ下にしときます」
オノヨココさんは一瞬目をクワッとして頷いた。
下を選んだ深い理由はない。
僕がそこに行く理由はないということだ。
水を差すだろうし、それは野暮だと思う。
「そろそろ起きなさいな」
オノヨココさんはそう言って店長の座っている席の隣に座る。
僕も奥の席に座る。オノヨココさんの向かいの席である。
ラムさんも同時に店長の向かいに着席。
空気の存在であったじょりーぬさんはきらめく笑顔を振り向いてどこかへ去っていった。
何故来たのかわからない。
「あなたも飲む?」
皮切りにオノヨココさんが一言。
「おいおい、高校卒業したばっかだぞコイツ。そんでアンタの店でもないし……あー気持ち悪」
店長は終始顔を伏せている。
「アタシが払うからいいのよん」
「やめなさいよヨココ。昔それで痛い目にあったでしょ?忘れた?」
オノヨココさんは静かに舌打ちして嫌そうな顔をする。




