おなみだちょうだい
「はぁろ!お元気~?」
オノヨココさん爆誕である。
隣には目を疑うほどイカついファッションをした小さな女の子がいた。
初めて会った時の清楚で大人しそうな少女のイメージはどこへ行ったのであろうか。
ツバのまっすぐな帽子を深く被りパッと見表情はわからない。
ダルそうな服装をしていて巷の言うB系ファッションでというやつか。
ダンスでも始める気なのか。
満月は顔を見上げる。すると子どもらしく猛ダッシュする。
「かんばらさーん!」
感動のあまり字の如く猪突猛進で神原さんに衝突。
「イヤーーーーー!!!」
神原さんも奇声を上げる。甲高く耳に響く。
しゃがみ込んで満月を真正面で受け止める。
典型的な再開のシーンを二人が再現してくれているみたい。
満月はとても泣きそうな感じになっているが、そんな事お構いなしで
先に神原さんの涙腺が崩壊してしまい、号泣してしまう。
それを見た満月は少し引いたのであろうか。涙は流さなかった。
お母様もハンカチで顔を覆い涙を拭っている。
真波さんも同様、上手く表情を見せないが感極まっているみたい。
まさにクールビューティ。
しかし残念なことが一つだけある。
雰囲気を壊してしまうような歪でアゲアゲなBGMは鳴り止まず響き続ける。
緊張なのか緩和なのか意味の分からない微妙な雰囲気が仕上がっていた。
とても残念である。とても残念である。
すると、二階から怪獣のような足音が響き渡る。
恐らく二階で休憩していたであろうラムさんが闘牛のような鼻息で降りてくる。
「ぶち殺すわよ!」
そう言ってオノヨココさんのスマホを取り上げなんとか静けさを迎えた。
余談ではあるがこの間料理長は只々、厨房の片隅でタバコを吸いながら注文を待っていた。
もう一つ余談ではあるがオノヨココさんの後ろにもう一人いた。
小汚いというレベルをとうに超えていて無茶苦茶汚いオカマがいた。
お名前はムダ毛じょりじょりーぬさんである。帰り際に自己紹介してくれた。




