満月ちゃんを何とかしよう大作戦 その2
僕と優羽を含む参加者全員はふわふわした感覚でいた。
漠然とした集まりであるため、一向に話が進まなしどうしたらいいのかもわからない。
優羽部長がもたつきながら会議を進行していくが話が二転三転、はたまた横道にそれる。
そういう状況の中、流れを一変させる男がいた。
とはいっても僕以外に男はアイツしかいない。
「優羽。これじゃなんにも進まねぇよ」
腕を組んだまま自分の彼女にそう突っ込む。
「満月ちゃんと会ったことがある、知っている人物は二人しかいない」
「私とエータさん」と優羽。
「そう、まずは二人から話を聞くべきだ。エータさん。満月ちゃんのことを詳しく教えてくれますか?」
そう言って隣にいる悠司クンは僕をまっすぐ見つめる。
僕は小刻みに首を縦に振る。
僕の返事に対して悠司クンは一つ頷く。
その後、優羽のデスクに移動してPCとにらめっこを始める。
優羽の掛け声から数十分は経っているであろうがプロジェクターはまだ真っ白のままであった。
しばらく沈黙があった。
おそらく僕待ちだった。しびれを切らす前に僕が気づき話を始めた。
何をどう話そうか少し考えて、そしてゆっくりと話しだす。
「満月はたぶん十歳。誕生日がわからないから多分。本人は捨て子であると言っていました。それと何かゆがんだ生活をしていて普通じゃない女の子でした。あとはとても強がりな女の子で自身も強くりたいと言っていました。それと満月は養子縁組を組んでいて別の親がいるそうです。今はオノヨココさんという方に面倒を見てもらっています。安心できる方なのだと」
前までの僕だったらテンパっていたり、うまく説明できていなかったりしいたと思う。
だけれども満月の説明は何度もしてきた。
内心、バリバリ緊張していたけれど。
その次にメモ帳を取り出し、神原さんから教えてもらったことを話した。
悠司クンはこちらを一切見ないでかなりの速さでPCを叩く。
頭の中で僕の話の内容を要約して映し出しているようだ。
「栄太郎さん。二つほど気になるところがあって。一つは養子縁組。もう一つはオノヨココさんですね」
意外であった。悠司クンが空気をガラリと変えていた。
あれほど騒いでいた女子たちが大人しくなり、皆真剣に話を聞いている。
とはいえこれが本来あるべき形なのか。
悠司クンはとても頭の回転が良くキレるようだ。
女子はこういうところにひかれていくのだろうか。ギャップ萌えというやつか。
「養子縁組制度……具体的な血縁関係とは無関係に人為的に親子関係を発生させることをいう。とウィキにはありますね。満月ちゃんはその養親から抜け出し逃げてきたということでしょうか?」
「私たちも誘拐してることになってるんだっけ!」
優羽が思い出したように叫びあげた。
「ふむ。そうかー」
優羽の一言に部員が僅かであるがどよめいた。
「まぁなんとかなるっしょ!」
にらめっこしていた勇樹クンが両腕を広げ背伸びをする。
チャラさが元に戻った。
それも見た部員たちも何とかなると思ったのだろうか、なぜか士気が上がった。
「後のことは後に何とかなる。今できることをやろう!栄太郎さん!僕たちはオノヨココさんに会いに行ってもいいですか!いろいろ頼れるかもしれないし、なんせ満月ちゃんはそこにいますから!」
ぼくは小刻みに数回頷く。
「栄太郎さんは養子縁組の養親に会ってきてください!可能なのであれば話を聞いて縁を切っちゃいましょう!」
僕が最近満月の事を考えたり行動していく中で一つ気にかかっていたものと言えばこの養親の存在だ。
今まで僕はこの存在を恐れていた。できれば関わりたくない。
会いたいとも思わない。満月を会わせたいとも思わない。なぜ、なんとなく。
しかし僕が一番避けたい存在で面倒なことはなぜが僕に降りかかる。
であろうが、逃げたかった存在であるが、今回は違った。
「やって、みます」
という大きな流れから始まり会議は具体性を持ち始め弓道部員たちもやる気を持ち始める。
そして悠司クンがまとめた文章はプリントアウトされ部員たちに配られた。
僕も貰う。




