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決戦は月曜日(仮) その1

 

 店長が言っていた六時に店に行かないといけないため五時前に起きた。

 こんな時間に起きたのも超久々である。

 まだ真っ暗。朝日さえも登っていない。

 起きたところでそもそも電車が動いているのか疑問になる。

 スマホで調べてみたところ動いているようだ。

 鉄道関係の皆さまもご苦労なことです。

とりあえず深呼吸していつものルーティーンであるコーヒーを淹れる。

 

 人一人が通れそうな小さい窓から空を眺めてみる。

 やはり空は真っ暗で永遠と虚空が広がっていた。

 我が家辺りは繁華街に比べるとかなり劣るくらい田舎なのだが、

 それでも明かりも多くて、この空が星など見えぬほど。

 静まり返っている。こんな時間だし当然だけど。

 

 あれこれくだらないことを考えていると時間が経つのは、遅い。

 驚くほど遅い。目が醒めてコーヒーを淹れて思い老けること僅か三分。

「静かだなぁ」

 物音ひとつない虚無の世界に恐れおののいたのか一人呟く。

 穢れ無き深淵に飲み込まれそうだと感じた。

 

 時間ちょうどくらいに着く逆算をしてコーヒーと

 昨日コンビニで買っておいたパンをゆったり食べる。

 地平線の向こう側からそろそろ空が赤らめてきた。

 今日何をするか全く聞かされていないためいつも通りの荷物で行く。

 

 こんな時間に電車に乗るのは初めてかもしれない。

 ガラガラなのだかいろんな人がいるなと。

 うなだれた酔っ払い、若者。

 ご老人、ケバい女性、ド派手な女性。

 知らない世界で色んな人がいるんだなと感じた。


 お店に到着した。

 人で賑わっているハズの繁華街だがものすごく閑散としている。

 昼、夜、明け方とで全く世界が違う。

 匂いも違う。いつもはニンニクやお醤油、タレの香り、焼肉など。

 今は少し湿っぽい。人が抜けた人の匂いみたいな。


『とりどらごん』も電気が消えている。どのお店も。

 街灯の明かりで見えているようなものだ。

 空は青空が少しづつ広がっていく。

 ドアを開けようする。

 鍵が掛かってた。

 いつもの場所に鍵が置いてるのか。

 いつもの場所から鍵を発見して鍵を開ける。

「おはよ~ございます~」

 静かにお店に入る。

 真っ暗。電気をつける。

 店の奥にはノートパソコンの電源が入っている。

 そして二人くらいのいびきが聞こえる。うるさい。

 客席の椅子に店長、カウンター席側にラムさんが寝ている。

「店長~」

 ゆっくり店長を起こす。

「うおっ」

 店長がビクリと体を起こす。

「くっそ~今寝付いたばっかなのに」

 店長の目は充血していて疲れている様子。

「爆睡してましたよ」

「うっせーよ。あのおっさんがうるさすぎんだよ」

 ラムさんは胸元に両手を置いて爆睡している。

「今何時?」

「そうね、だいたいね~」

 店長が起き上がりゆっくりと僕の腹にグーパンした。

「うぐ……ちょうど六時くらいっす」

「そうか、おはよう」

 店長が目をめちゃめちゃこすっている。

「しんど!」

 店長は立ち上がりラムさんの所に行く。

「おい、おっさん、起きろ」

 角刈りのこめかみに何度もデコピンする。

「いたあ~い。乙女になにするの」

 寝相の悪いラムさんが暴れている。

 店長は執拗にデコピンを続ける。

 すると寝相の悪いラムさんは手刀をお見舞いする。

 店長がそれを見事キャッチ。

「いや~ん。掴まれた~握られた~」

「うっせー。はよ起きろ」

 店長は反対の手でパシンッ!と気持ちいい音で頭を叩いた。

 僕はしょうもないコントを観させられた。


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