昭和の香りの合コン「チョットマッター!」
「では、最後はエリ様ですよー。」
司会者ヴェリエ君が、私へどうぞ~と促す。あーはいはい、自己紹介ね。
さっき自主的にした時にはスルーしたくせに・・・と見れば、読み聞かせを待つ子供のようなキラッキラの瞳達・・・。
あぁ、何を話そう、どこまで話そう。
出来るかぎり情報は隠したほうがいいよね。魔王様自身で攫われているから出身もばれてるし、魂の色とやらで、アレもばれてるしー・・・。となると、あんま隠す重要事項もないな・・・。
だって、ただのメイドだもん。
「では、失礼して。・・・・私はエリと申します。出身はバルボード国のはずれの田舎でございます。今年で17歳、仕事は王城にて皇子・・・様につかえておりました。」
「「「おぉ~」」」
三つ子が歓声をあげる。
あぶねぇ、つい皇子付きメイドって言いそうになった!
「それと、少し他の人間と違っておりますのは、『前世の記憶持ち』でございます。まだ母のお腹の中にいる時に神官様より予言を賜りまして、そのおかげで身分不相応にも王城へ勤めさせて頂いておりました。本日は、庭で皇子様と散策しているところを魔王様に目をつけら・・・お見初めいただき、連れてきていただいた次第です。」
最後にペコリと礼をする。本当は「よろしくお願いします」とつける所だが、あまりよろしくしたくない、のでナシナシ。
・・・ふーっ、こんなもんかな。
魔王様は知っているので、しきりと頷いている、その両脇の三つ子ちゃん達は、
口を三角に開けてポカーン。ん、無理もない、わからなかったのはどの部分かな?聞きなれない言葉もあったでしょうね、質問を受け付けますよ?と首を傾けてみた。
「・・・男爵様と・・いっしょ?」
「「・・・ですね。」」
ヴェリル君の言葉に二人が頷く。
え?一緒?!ナニガ!!
「エリは、男爵と同じ『前世の記憶持ち』だそうだ。」
「えぇ!じゃあ男爵様いなくても、異世界のお話が聞けますねっ!」
「うわぁー、楽しみだなぁ。」
「お料理どんなの・・・ある?」
得意げな魔王様のあとに、金・茶・銀の順で三つ子がそんな事をいった!!。
「ちょっとまった!!」
喜びあう面々がピタリと静まる。この時、朝から入念に張り付けていた外面は、ポロリと落ちた。
右手を止まれ!の形で突き出し、
「異世界の話っ?つか、男爵様って何者?!」
私は一言も言ってないはずです、だって産まれてこのかた、親にさえ告げていないのです。
『異世界転生者』とは・・・。