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わからん のですよ

 意を決して(イライラしたからだろっとか言わない)立ち上がり、発言の許しを頂いた。


「まず、私はエリと申します。そのままエリとお呼び下されば幸いです。」

「許す。」

「ありがとうございます。」


とりあえず、自己紹介してみた、これからどんな扱いなのか検討もつかないので、フルネームは明かさない。さて、魔王様か三つ子の紹介でもないかなーと待ってみる。


「・・・。」

「・・・。」


うん、ないね!次いこ!

ここは魔国だもの、人間っぽいこと求めちゃだめよね。


「では、魔王様。お聞きしたい事がございま「許す。」す。」


「・・・。」


言い終わる前に、許された。

なんか「許す」って言ってりゃオッケーみたいな空気を感じるんだけど、気のせいかい?

まぁ、話が進まないから、とりあえずノータッチね・・。

私は、この先どうなるのかハッキリさせたい!


「魔王様は『王を作る者』として、私を人の王城から攫ってきました。そうですね?」

「ゆる・・・うむ。」


こいつ、今、許すって言いそうになったな?人の話ちゃんと聞いてるんだろうかっ。

なんか、恐ろしいとばかり思ってた顔が、アホっぽく見えてきたのは気のせいかい?


「ですが、魔王様はすでに『王』でいらっしゃいますよね?でしたら、『王を作る』私はもういらないと思うのですが?」

「・・・む。」

「出すぎますが、すでに『王』でいらっしゃる魔王様には、王と共に執政する方がいらっしゃるでしょう?宰相様ですとか。それとも、魔王様のお子様を『王』にせよ、との事でしょうか?」


そう、それなら少しは解るのよ、というか、どうにかなりそう。魔王様のお子様のメイドになる。それが『王を作る』になるかと言われれば、答えはNO。人の王城に居たときと同じ仕事をせよというのなら、私がやっていたのは皇子の子守だ。『作る者か?』と問われ、皇子とわが身(実家)の保身でYESと答えたけれども、王は子守が育ててます!とかなんとか、なんとでも言おう!子守した子が、すべて王にふさわしくなる訳じゃないけど・・・。ぶっちゃけ、そこは帝王学とかの教師陣だけども、来てしまったものはしかたない、開きなおって、子守してアホの子になっても『王を作りました』って胸をはって言おう!

育つまでの猶予期間が出来るもの!


さて、


「いかがでしょうか?魔王様。」


重ねて質問した私に、「許す」と「うむ」が使えずに沈黙してしまった魔王様。みるみるうちに、例の雪山の渓谷がお顔に・・・。

やべ!言い過ぎたか?!と焦る私に、魔王様は俯きがちになった顔を向けられました。

そして重々しく


「わからん。」


「・・わか、らん?」


わからん、とはなんだ?自分に息子が居るかどうかが?

そんな王様っつか父親サイテーでしょ!


「そーいうの、わからん。」

「え?ええ?そーいうの?」

「うむ。」


うむじゃねーよ!あんた、どこに種まいたか男として覚えておきなよっ!っか王妃どうした!?側妃はよ!?いっくら王様の仕事は下半身緩い事ですっつても、管理はちゃんとしようよ!どこにまいたか見とこうよ、種まいた畑に番号ふっといてよ側近!

これっだから、男はよぅ!みたいになってた私の肩を叩く人がいた。


「エリ様。」

「はい!」


やだ、ちょっとだけ目が据わってたかしら?返事して振り向いたら、なんか引かれた。

引いたのは、金髪の執事君でした。愛らしい眉毛を八の字に下げ、申し訳なさそうにして立っています。


「その、・・・『さいしょう』ですとか、そーいう、人の王城の事はわからないのです。」

「は?」

「基本的に魔国の王と、人の王はなり様も違うのです。その『さいしょう』なるものも居りません。

今現在、この魔国城にて生活しているのは、魔王様と我々三兄弟のみ、でございます。」


「はー??」

今度は、私が『わからん』だわ・・。



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