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金銀パールじゃなくて茶色

 食べちゃいけないって言われたけど、美味しそうだなぁ、食べたいなぁ。


そんな熱い視線を受けたのは、魔王様に客室へ抱っこのまま運ばれ、長いすに放り出されるまで。

欲に染まった熱視線は、魔王様が、な・ぜ・か隣に並んで座り、な・ぜ・か私の腰を抱きこんだ時に、射殺すような殺気満載のものに変わりました・・・。


『食料の分際で、なに魔王様の隣に座ってんだよ!?』


って事でしょうか、食べ物だ~って凝視されていた時より、格段に恐ろしいです!

っゆ、ゆ床にでも、座りなおしたほうがいいの?!

突き刺さる視線に、更にガクガクプルプルしていたら、魔王様が


「ヴェー、そんなに見ても、食料にはしない。」

「っ!・・・申し訳ありません。」


ヴェーと呼ばれた三つ子執事君は、ビクリとして銀髪を揺らしながら頭を下げた。

ほー、やっぱり魔王様は恐ろしいのだなぁ。あたりまえですね!そうですね!


改めて側に控えている三つ子をこっそり眺める。

ひと目で三つ子と判断したくらいなので、三人ともそっくりな愛らしーいお顔をしていて、体格も違う所が発見できない。ほんとそっくり。ただ、髪色だけがみごとに三者三様、金髪に銀髪にミルクティーのような茶髪。帽子をかぶったりしなければ、見分けが付かない事はなさそうねー。でもどんだけ見ても、

角とか尻尾とかがない、瞳も魔王様のような赤じゃなくて赤茶くらい、普通の人間と違わないわね、魔族じゃないのかしら?と舐めるように見たせいか、銀髪君の眼差しがまた鋭くなった!!ひぃぃっ


「今日から、この娘を城で使う。」


魔王様の一言に、えっ!と三つ子から小さく声があがった。

「使う」ってなんだよ。

それじゃ疑惑の2~4が消えないじゃん(食料疑惑も消しきれてナイ!)

サンドバックも妊娠も教師?も「使う」があてはまるじゃん。イヤ、人として妊娠に使ってはいけないけど、そもそもサンドバックも人間でやってはダメ、絶対。・・・でもだって、この方々人ではないからね!(涙


「魔王様、その人間で一体何をなさるおつもりですか?」


すかさず、金髪執事君がスッと前に出て聞いてくれた、そうそうそれそれ!

そこハッキリして欲しかったんだよ!


「王を作ってもらう。」


振り出しに戻ったぁー!

だから、それが解らんちゅーねん!

『王を作る』に三つ子も、はぁ?って顔をして見合わせている。こりゃ埒が明かん。


魔王様は恐ろしい、側にいるだけで本能でやばいと体がすくむ。絶体絶命だーいピンチ!と全身が訴えるだが、いや、だからこそ命は惜しい!なるべく大人しくして逃げる機会をつかみたい!

今更、逃げ帰ったところで魔王に攫われた娘じゃ王城勤めはなくなるだろうけど、嫁の宛てもなくなってるだろうけど、無事にお家に帰りたいー!


でも、なんちゅーの?この中途半端に掴みづらい空気!王城には皇子もいたのに、あえてのメイドを攫い、部下に食うなと言う。ハッキリ言って、見えない未来にイライラしてきた私。

腰にまわった魔王様の腕を、えいやっと押しのけ、立ち上がる。クルリと魔王様に対面してスカートをつまみ礼をとる。


「失礼ながら、発言をお許しください、魔王様。」


我ながら、美しい礼が取れたと下げた頭のまま待つ。


「・・・。」

「「「・・・。」」」


待つ。


「・・・」

「「「・・・。」」」


っ待・・・あれぇ?ちょっとダメなの?!

ねぇどうしよう!と頭は下げたものの反応がなく、あせっていると

位置的に三つ子の金髪君が、魔王様の横へきて囁いた「許す、と」、「あぁ、あれか」と魔王様。

あれか?あれかってなんだっ!


「許す。」

「・・・ありがとうございます。」


謎の会話と許しをもらい顔を上げれた。

そこには、なぜか更にふんぞり返った魔王様とその後ろに、一仕事終えたぜ感のある、得意げな金髪執事がいた。


なんだこれ。



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