そんな目で見ないで
逢魔時
前世では、夕暮れ時の別名
お日様が沈み、暗くなりはじめ街角に立つ人の顔の判別もつきにくい。
「誰ぞ、彼」(たれそかれ)と問う事から、黄昏時とも言う。
そんな、暮れかけたちょっと寂しい空気の客室にいます。
逢魔時?
いやいや、私が『魔に逢った』のはティータイムの後の木漏れ日の美しい時間だったのですけどねっ
結構、長い間魔王様に運ばれていたんですねぇ。
ティータイムから夕暮れ時をかけて移動してきた魔王は、私を抱きこんだまま魔王城の一室へ飛び込み、執事服を着た16~17歳くらいの三つ子に迎えられました。三つ子と判断したくらいなので、非常にそっくりな3人は、タレ目のかわいい愛され顔で、魔王の帰還を喜んだ、
「「「魔王様、お帰りなさいませ」」」
あー、やっぱり魔王なんですね、私の中の魔王(仮)が魔王様に確定,ガクリ・・・。
続き三つ子達は、頬をうっすら紅潮させ私を指し、
「「「食材は、厨房へ運びますねっ」」」
きたぁあああ!食材疑惑!!ひぃぃいいい!
戦慄する私がビクリとすると、「「「まだ生きてるっ!」」」と喜色を出したのを見逃さんぞ!
『王を作る者』とかなんとか言って、やっぱり食べる気かよ!恐ろしくて上空で聞けなかったけど、さっさと聞いておけばよかったーっ、暴れて落下して死んだほうが、まだましだったかもーっ!
うわぁーんと、涙目になっていたら
「食べるのではない。」
と、魔王が否定した。
三人が「「「そうですか・・・。」」」と肩を落としたが、私はちゃんと言葉で「食べない」と言われた事で、ホッとして力が抜けた。
いや、まだね、完全に安全って訳ではないの。
抱っこされて移動中に予想してた、今後の私の扱い予想
いち、これは今なくなった・・・ハズ(食材コース)
に、ただ暴力ふるう用の(人間サンドバックコース)
さん、例の『王を作る者』という言葉から(とりあえず、王子作るよー人間とね!強姦妊娠コース)
よん、『王を作る者』を素直に受け、人間の王の知識というか情報?が欲しい(教育者・協力者コース)
うん。一番最後がましかな!!!
「部屋へ行く。」
短く告げると魔王様は、私を抱いたまま移動しはじめました。
魔王様越しに後ろを見れば、三つ子の一人が指をくわえて熱視線。
食材コースは、まだ除外できない気がしますっ!!