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第6話 過去の記事

※この物語はフィクションです。


《登場人物》


 アラン・ダイイング    探偵

 マリア・シェリー     探偵助手

 モーリス・レノール    シュゼット警察刑事部捜査1課警部

 カール・フリーマン    同刑事 モーリスの部下


 エリー・アンダーマン   シュゼット国立中央図書館司書

 ジョルジュ・カイマン     同       司書

 シリル・プレヴェリネ     同       司書

 エリック・シルヴァ      同       司書

 クロード・モーマン      同       司書

 アリス・パルマー       同       司書

 ロビン・フィリモア      同       館長 

― ダイイング探偵事務所 ―



 探偵は、あれから自分の職場である事務所に戻り、暗号の解き方について、自分の業務椅子に座り、よく考えている。既に時間は昼を過ぎており、3時を回ろうとしていた。

 時に、アランは、マリアが入れたレモンティーを口に数回含んでは、解き方を考えているが、答えは見えず。ノーヒントの状態で、エリーが遺した暗号と言えるような物は、答えが見えない状態。



 《F・56・A3TR》



『F』は何を示すのか? 『56』は何の数字か? 時間? 数量? それとも人の数か? そして極めつけは『A3TR』だ。何を示しているのか? まだ理解、できない。 

 

 エリー・アンダーマン、そしてイーライ・ゲイルであろう1人の博物館職員が遺した同じ暗号……

 


《F・56・A3TR》




 アランの中は、まだ暗号解読の糸口を掴む事はできなかった。

「どうするべきか……」

 悩んでいるアランの声を聞いてマリアは、言葉をかける。

「先生。切り口は見えないみたいですね」

 背伸びをし、両肩に溜まっていた疲労感を一気に外へ解放させていく。疲労感は、肩から首、頭を辿って出て行く気がした。しかし、未だに暗号の謎は解けず、嫌気が増している。

「明らかに図書館番号ではない。別の事を指した暗号か。エリー・アンダーマンは何を告発しようとしていたのか?」

 マリアは、アランの指示で過去に起きた図書館及びストラングの博物館でトラブルや事件がないかをパソコンに保存していた文献記録や新聞、資料を探す。

「どうだい?」

「いえ、今のところは……あれ?」

 ある記事を目にして、彼女はマウスキーを操作し、拡大表示する。

 1つの記事がデカデカと表示されており、ちょっとマリアから離れているアランの目にも写った。

「その記事は?」

 アランの目に写った記事について、助手は一旦、マウスキーの持つ右手を止め、再び、カーソルを上へと動かしながら言う。

 動かした記事は、さっきよりもより見やすくなるように表示されている。

「博物館で強盗事件が起きたやつですね。有名な化石や陶器が奪われたみたいですよ。時価総額でも1000万ユーロだそうですよ」

「そうなのか……」

 アランは近づいて、パソコンの画面に写る記事をよく読んでみることにした。記事の内容は1ヶ月前に、博物館で起きた強盗事件。





    ――――――――――――――





『都市ストラングのブレーンスタイン博物館で強盗か!?』




 都市ストラングのブレーンスタイン博物館で、昨夜、画家フィルソナードが書き上げた作品『ベルツの朝』を含む絵画数点。陶芸家 内山範疇輝昭が造った陶器公慶壺を含む陶器数点が何者かによって強奪された。

 幸い、警備員の死亡者は出ていない。

保管していた美術品を主目的として強盗が行われたとシュゼット警察は声明を発表している。

 また、奪われた芸術品の総額は、およそ1000万ユーロはくだらないと専門家は、コメントを発表している。

 

 今回奪われた芸術品、美術品などは、国立中央図書館に併設される新しい博物館で、お披露目となる芸術品だった。

 シュゼット警察捜査2課は依然捜査を強め、強盗団の割り出しと美術品の行方を追っている。



       フィルストリート・タイマーズ :記者:ブレッド・グラハム



    ――――――――――――――




「1000万ユーロとは、またお高いことで」

 パソコンの画面の文字を見て、アランはため息をついた。その隣で、マリアは軽い嫌味混じりの嘆きを耳打ちする。

「私の給料の数十万倍位あるんじゃないですか? 先生」

 アランは、苦笑いをしながら平謝りをした。

「悪かったね。給料低くてさ。それよりも、この記事なんか面白いと思わないかい?」

「えっ? ただの強盗事件の記事ですよ。どこにそんな面白い要素があるんです?」

 アランはマリアに分かるようにパソコンの画面に外人特有の薄肌色の左人差し指で示す。

 示された彼女はゆっくり視線をパソコンに当てて、確認する。探偵の人差し指によって示されたのはある文章。




《今回奪われた芸術品、美術品などは、国立中央図書館に併設される新しい博物館で、お披露目となる芸術品だった》




「あっ! もしかして」

「これは、もう一回、図書館へ行かないといけないかもな」

 アランはある程度、確信めいた感覚が、脳に直撃している事が彼には理解できる。探偵は、机上のカップに残ったレモンティーを飲み干す。

「図書館と博物館の関係か……面白くなってきた。暗号の鍵もそれに関わっているかもしれない……」

「何か大きなことが隠されていそうですね」

「ああ、そうだね。マリア」

 被害者は何かこの事件に関与しているそして被害者の周りに誰かそれを察知した者がいる事。

もしくはその逆。これを止めようとした者が消えたか。今は断定できないが、アランはこの暗号の謎が鍵だと知り、全ては暗号を解読すれば、この殺人事件の全貌が見えるとそう断定した。

 そしてこの強盗事件にもある程度深い関わりがあるのではないかと感じている。だが、現時点ではまだわからない。アランは席を立ち上がり、マリアに言った。

「もう一度、行こう。図書館に……」

「はい」

 マリアもパソコン用の椅子から立ち上がり、軽い背伸びをした。



 休憩終了! 捜査再開!





 第6話です。 話は続きます! 


いつも読んで頂きありがとうございます。

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