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第3話 被害者の仕事仲間

※この物語はフィクションです。


《登場人物》


 アラン・ダイイング    探偵

 マリア・シェリー     探偵助手

 モーリス・レノール    シュゼット警察刑事部捜査1課警部

 カール・フリーマン    同刑事 モーリスの部下


 エリー・アンダーマン   シュゼット国立中央図書館司書

 ジョルジュ・カイマン     同       司書

 シリル・プレヴェリネ     同       司書

 エリック・シルヴァ      同       司書

 クロード・モーマン      同       司書

 アリス・パルマー       同       司書

 ロビン・フィリモア      同       館長 

 


― シュゼット国立中央図書館 ―




 シュゼット国立中央図書館の建物は楕円型で、6階建ての国立図書館であり、蔵書数はおよそ55万以上。世界でもそれなりの蔵書量で有名である。

 最近では、シュゼット国内の地方都市ストラングの博物館、西図書館と合併する為、第2号館、4号館の方で建設改修工事を行っていた。

 現在、シュゼット中央図書館内では、数名の警官達が、エリー・アンダーマンの関係者達に、情報を収集している。

 探偵と助手の2人は図書館に所属する職員達に話を聞く事にし、図書館の会議室には、6名の図書館職員がアランによって呼ばれ、会議室へ入る。

 職員への事情については、連絡済みの様で、会議室に入って来た時には既に涙で顔をはらしている者、ひどい落ち込みを見せているもの。どちらでもない者、この3つに分かれていた。

「どうぞお座りください」

 職員たちは言われた通りに座る。

 開口一番、奥に座った青い目をした茶髪の青年が言う。

「あの僕たちがどうして呼ばれたのでしょうか?」

 アランは、青年の名前をマリアが司書達の特徴をよく捉えたリストで確認しながら照合していく。




 --中央図書館外国書担当--



《ジョルジュ・カイマン (22)》

 青い目の茶髪の青年男性。よく体が右から揺れている為、貧乏ゆすりをよくやっているのが分かる。心配性。右利き。


《シリル・プレヴェリネ (32)》

 金髪の女性。若干のぽっちゃり体。白縁のメガネを着用。指先が荒れているのか、左手の絆創膏の数が多い。手荒れ。


《エリック・シルヴァ (64)》

 黒人男性。白いヒゲを蓄えているご老体。かなりの潔癖症か? 両手には白い手袋を着用。


《クロード・モーマン(42)》

 白人男性。中年。スキンヘッド。体格はフットボール選手並みに良い。


《アリス・パルマー(24)》

 被害者エリーの友人。女性。グリーンの目。国籍はスウェーデン国籍と見る。そばかすと薄く白目の肌、病弱。



 --図書館長--



《ロビン・フィリモア (45)》

 シュゼット国立中央図書館長 蝶ネクタイとベスト、丸メガネの典型的、学者イメージの男。風貌から几帳面。




---------------



 彼がこの国立中央図書館に配属されて間もない新人若手職員のジョルジュ・カイマンだと探偵と助手は理解した。

 カイマンの質問をアランが答えようとした時、いきなり館長のフィリモアが探偵と助手に向けて詰問する。

「君達は、この神聖で厳粛な図書館で何をするつもりだね?」

探偵と助手に対して苛立ちを隠せない。仕事人間の職場を部外者に邪魔されるというのは、彼にとってストレスなんだと理解できる。

 アランは、館長の苛立ちを彼の口調で感じながらも、彼の苛立ちを逆なでする様に返していく。

「あら? ご存知ない? 事情聴取ですよ。エリー・アンダーマンさんが亡くなられたのご存じのはずでしょう? シュゼット警察の方々が来ていたのだから……」

 フィリモアの態度の悪さに、アランは気にもしていない。その隣でマリアは、軽く愛想笑いでその場を和ませようとしているが、最悪な状況になってしまったのは肌で感じ取る事が簡単に出来た。

 アランは続ける。

「さてと、カイマンさん、皆さん。警察の方々に伝えられたと思いますが、エリー・アンダーマンさんの事についてご存知ですね。皆様のお気持ちはお察しします。ですが、事件を解決する為にどうしても協力を願いたいのです」

「協力?」

 エリックが反応した。となりのシリルはずっとハンカチで涙を拭いている。

「ええ、実は皆さんにお見せしたいものがありましてね」

 アランはそう言って、一枚の紙を全員に見えるように机に置いた。

 1枚の紙には、エリーが遺した暗号の《F・56・A3TR》が大きく記されている。職員達はそれぞれ自分の目で、エリーが遺した暗号を確認していく。

 マリアは、1枚に書かれた暗号についての説明した。

「これは、アンダーマンさんが最後に遺したメッセージです」

 それに続けてアランが説明をする。

「何か、ご存知ないですか? これについて、なんでもいいんです。何かご存知ではないですか?」

 カイマンは暗号を見つめて、首をかしげている。

「これは図書番号ですか? 頭にFが来ているから外国書ですね」

 それに続けてクロードが首をかしげながら考えていた。

「Fでも56っていう番号は少ないんじゃ……」

「探せばあるかもしれんなぁ。ちょっと探してこようかね」

 そう言ってエリックは立ち上がる。

 協力的な職員の姿勢にアランは感謝を言った。

「ありがとうございます。では、よろしくお願いします!」

「ああ、任せてくれ」

 エリックはそう返したあとで、会議室を出て、外国書が収められている書庫へと向かう。

 クロードも彼に続いた。

「私も手伝います」

 クロードとエリック、2人が出たあとで、フィリモアは探偵と助手に向けて告げる。

「全く、暗号といいなんといい。くだらん。すまないが、協力は出来そうにない。私はだが、まぁ、他の職員が協力してくれるだろう。協力なら私が館長室にいる間にしてくれ」

 フィリモアは席を立ち、鼻アテのずれた丸メガネを所定の位置に戻した後で会議室を出て行った。

「ええ、どうも」

 アランは軽く笑顔で、フィリモアが出て行くのを確認する。

 その間に、アリスは暗号の紙を見つめた。彼女は紙を見た瞬間に、アランの視線が入り込み、さりげなく逸らしたが、探偵は逸した事を見逃さない。

「パルマーさんどうしたんですか?」

 アリスは、少しおどおどしながらもアランに答える。

「いえ、この暗号の事。エリー何か言っていたんです。『止めなくちゃいけない! このままだと大変なことになる』って……」

 暗号を見て、以前にエリーが言っていた言葉についてずっと駆け巡っているのをアリスは脳内で感じていた。

 アランは、マリアに聞き返す。

「大変な事……ですか?」

 彼女は探偵の目を向ける。

「でも、随分、前の話です。5ヶ月以上も前の話ですけど」

 5ヶ月以上前の話であろうと、アラン、マリアの2人にとっては大きく役立つ情報。

 マリアはアリスの証言をメモに記録した。

「止めなくてはならない。大変なことになるですか」

 アランは、エリーが言っていたとされる言葉に、心の中で引っかかる感覚があった。



第3話です。今回は、色々と人物が出てきました。さて次回はどうなっていくのかお楽しみに!!

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