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どうやら俺は異世界で聖女様になったようです  作者: 蓑虫
第一章 森と村と赤毛の女性
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五話:お風呂で考えてみる

三週間ぶりの更新です。

毎日更新している人はホント凄いですよね。

 あのあと馬車をつれ戻ってきたノーヴェさんに一緒に旅をさせてください、僕も冒険者になりますと言ったところ、ノーヴェさんは命の保証はできない、さっき森で謎の光を見た。あんなものをだせる魔物に遭遇したらルークを守る余裕はないけど、それでもいいか?と聞かれた。


 謎の光とは多分俺が使ったレーザーのことだろう。

 っていうか魔物って……。

 まあ、ノーヴェさんに守ってもらわなくても別に問題はない。もともと自分の身は自分で守るつもりだし、ルークの力なら大丈夫だろう。


 けどレーザーを使ったのが俺だというのは黙っておいた。

 今この国は戦争をしているという。あまり強い魔法を使えると国に知られると戦争に駆り出されそうだ。

 ノーヴェさんが言いふらすとは思わないけど念には念を、だ。噂はあっという間に広まるからな。


 戦争。ゲームなら楽しいイベントと考えられるけど現実となった今は危険にわざわざ首を突っ込たくない。

 結局大丈夫です、問題ないですと言ったらノーヴェさんはしぶしぶといった感じで「まあ男の子だしいいか……」と承諾してくれた。


 どうにか俺以外のプレイヤーと接触して元の世界に戻る方法を探したい。異世界は確かに魅力的ではあるが、というか俺がきたいと言ったようなものだが実際に命の危険に遭遇すると平和な日本に戻りたくなった。


 チキンだなんだと言われてもやっぱり平和が一番!


 そして何より俺が女の子だというのが一番問題だ。 俺が男の姿……例えばバドラーに騙される前のルークさんの姿だったらこの世界で暮らすのも考えたけど。

 ノーヴェさんはこの村だけでなく、他の村や町にも行くようだ。だがすぐにこの村を出る訳ではないらしく、しばらくはこの村にとどまるらしい。

 正直早くプレイヤーを探しに行きたかったのだが、こっちは連れて行ってもらう立場だ。文句は言っては駄目だろう。


 ノーヴェさんは今日はもう休むらしく、宿を借りに行くと言っていた。

 俺は金なんか持っていから当然野宿……と思っていたのだが、ノーヴェさんに一緒に宿に連れてかれた。俺の分の部屋も借りてくれると言うのだ。


 さすがにそこまで世話になるわけにはいかないから断ったのだが、ノーヴェさんはそれを無視して二部屋借りてしまった。

 もう金を払ってしまい、俺が泊まらなくても金がかえってくるわけじゃないからありがたく好意に甘えることにした。

 というか遠慮した時のノーヴェさんの威圧感(というより殺気)がヤバかった。それに負けたというのもある。


 で、今に至るという訳なのだが……。



「どうしよう……」



 俺は借りた部屋の中で呟く。

 何を悩んでいるかというと、風呂についてだ。

 この宿は宿泊料金とは別に金を払うと風呂に入れる。そしてノーヴェさんは風呂代をおいて「ちょっと散歩してくる。絶対にお風呂に入っておくように」と目が笑ってない笑顔で言って外に出ていった。コワイ。


 正直この世界に来てから風呂に入ってないし、汗とか血とかが気持ち悪いから風呂には入りたい。

 だけど今俺の体は女の子で 、俺の精神は健全な男子高校生。風呂に入るというか、自分の体を見たりさわったりするのに抵抗があるのだ。着替えの時はなるべく見ないようにしていたが、体を洗うとなったらしっかり見ることになるだろう。


 それに他のお客さんもいるだろうし、入るのに罪悪感がある。

 だが余り悩んでもいられない。ノーヴェさんが帰って来る前に風呂に入らないと多分無理矢理入らされるだろう。


 問題なのは俺が男物の服を着て一人称を「僕」にしているからノーヴェさんは俺を、というかルークを男の子だと思っていることだ。

 無理矢理入らされる時男湯に入れられたら大変なことになる。



「……よし、行くか。」



 俺は覚悟を決め、死地に赴く兵士のような表情で風呂に向かった。



 ◇



 俺はノーヴェさんに借りた(いつか宿泊代と一緒に返すつもりだ)風呂代を払い、女湯に入る。

 さすがに男の格好で入る訳にはいかないから最初に着ていた青いローブを着て、髪を隠す帽子もかぶっていない。


 そんな俺に宿のおじさんが見とれていた。やっぱこの姿でいるのは結構危険な気がする。

 俺は脱衣場でローブと下着を脱ぎ、なるべく体を見ないように浴場に入る。幸い俺以外の客はいなかった。


 浴場は日本と同じで浴槽にお湯をはり、浴槽は人が五人位入れそうな大きなものだ。

 アセモスは中世ヨーロッパの世界観だというのにお湯に浸かる風呂なのはおかしい気がするが。

 とりあえず体を洗おうと体をお湯で流す。温かいし気持ち良い。覚悟決めて風呂入ってよかった!


 髪を代金を払った時に渡された香油という洗髪に使うらしい油で洗う。あまり時間をかけない方が良いのだが、ルークのきれいな髪を傷つけるのはもったいない気がするから傷をつけないように丁寧に、マッサージをするように洗う。

 髪を十五分程かけて丁寧に洗い、香油を落とす。


 そのあと渡された俺が元の世界で使っていた白い石鹸じゃなく、緑色の石鹸?を泡立てる。そして体を洗う。なるべく無心で。

 だが無心でいるのは結構キツイ。

 何で女の子の体はこんなに柔らかいの?胸とかならともかく腕とか腰周りとか足とかがふにふにで柔らかいのは何で?特に腰なんて肉全然ないのに……不思議だ。煩悩が溢れそうになるのを必死に耐える。


 あまり強く擦ると肌がヒリヒリして痛いため撫でるのうに優しく洗っていく。しばらくして体を洗い終わりお湯で流した。はあ、自分の体を洗うだけなのにかなり疲れたなぁ……。



「ふぅ。さっぱりした」



 けどこれからどうしよう。俺は浴槽を見て悩む。せっかくだし久しぶりにお湯に浸かって温まりたい。だけどのんびりしていると他の人が入ってきそうだ。


 しかし結局風呂の誘惑には勝てなかった。

 湯船に入る。やっぱり気持ち良い。体の疲れがとれていく。

 お風呂は良き文化だね。何でヨーロッパの人たちは基本シャワーだけなのだろうか。

 そしてのんびりしながらこの世界について考えてみる。


 この世界の基本はゲームと一緒だ。俺の魔法はまだ三つしか使ってないがゲームでルークが使える魔法は全部使えると考えていいだろう。


 だが身体能力はけっして高くない。カインズ達から逃げた足の速さや剣がまともに持てないことを考えてもゲームのルークにかなり劣ることは間違いないだろう。おそらく普通の女の子の身体能力だ。

 そしてノーヴェさんや他の町の人の受け答えとかはゲームのNPCとは全然違う。人間そのものだ。

 やっぱり、この世界はアセモスではあるがゲームの世界ではないのだろう。


 この世界にはゲームにはなかったこの世界の常識がある。ノーヴェさんに話を聞いてある程度は分かった。

 まず暦。この世界は一年を木、火、水、土にわけ、さらにそれぞれ一の月、二の月、三の月に分ける。

 一月三十日で、全てあわせて一年三百六十日。

 今日は木の二の月の二十日らしい。


 次に時間。これは太陽を元に考えるらしい。

 木の一の月の一日の太陽が出てから沈むまでを六刻とするらしいが、あまり正確な時間は気にしないようだ。


 次に金。ゲームにも金はあったが、ゲームには硬貨などでてこない。

 基本単位は(クル )CT(クルト)で、一万Cが一CT。

 だいたい人一人の一日の食費が十C位で、この宿は一泊二百Cらしい。

 一C硬貨、十C硬貨(一C硬貨より一回り大きい)、百C銅貨、千C銅貨、一CT銀貨、十CT銀貨、百CT金貨、千CT金貨の八種類。金貨高過ぎだろ。


 最後に今の世界情勢。今ここザッカニアと隣国ノーベラルが戦争状態……というよりノーベラルが突っかかって来ている感じらしい。

 いろいろとゲームにはなかった(気づかなかっただけかもしれないが)情報がたくさんある。ノーヴェさんみたいないい人に会えて良かった。



「そろそろ上がるかな……」



 少しのぼせてきたし、上がろうと湯船から出た。それと同時に脱衣場への扉が開く。

 入ってきたのは赤髪の女の人……ノーヴェさんだった。

 ノーヴェさんは堂々と入ってきて、全く体を隠そうとしていない。

 だからそのきれいに引き締まったお腹や太もも、しっかり出ている胸とかが丸見えで……って、何じっくり見てんだ俺は!


 あわてて後ろを向いてまた湯船に入る。絶対顔真っ赤になってるな。

 ノーヴェさんは俺には目もくれず体を洗う。出ていくタイミングを逃し、出るに出られない。



「うーん、やっぱりお風呂はいいねぇ」



 しばらく体を洗った後ノーヴェさんはそう言って体を流し、湯船にはいってくる。その時しっかり鍛えられた、でも女性的な体が目に入ってしまう。

 俺の赤い顔がさらに赤くなっただろう。かなり火照っている。



「あれ、君……」



 ノーヴェさんが俺の顔を見て言う。ヤバい、ルークだと気づかれたか?

 男の子だと思っていたからついていくのを承諾してくれたけど女の子だったら駄目とか言われてしまうかもしれない!

 ノーヴェさんが俺の顔をじっと覗きこむ。

 ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!



「顔、真っ赤だよ。上がった方が良いんじゃない?」



 ……え?

 どうやらばれた訳ではないらしい。良かった。

 っていうかこの距離で顔を見てルークだと気づかないなんて……俺が今髪を隠してなくて、さらに「ルークは男の子だ」という先入観があるとはいえノーヴェさん鈍感すぎるだろ。

 だがありがたい。それに風呂を出る口実ができた。



「そ、そうですね。もう出るごとにします」



 やや高めの声を意識して言って湯船から出る。そのまま脱衣場に行き、体を拭いて服を着て急いで部屋に戻る。た、助かったぁ。



 ◇



 部屋に戻ったあとすぐ男物の服に着替え、帽子をかぶって髪を隠す。

 これでいつ人に見られても大丈夫。それにズボンはいている方が落ち着くんだよな。

 脱いだローブと風呂入る前に着ていた服と下着を手でもみ洗いする。水は魔法で出した。


 こうしているとやっぱり洗濯機は便利だと実感する。まあ、乾燥させるのは魔法使った方が早いけど。火を起こして風を吹かし、衝撃波(多分。敵を弾き飛ばす魔法)で水を弾く。魔法万歳。

 この感じだと他にも魔法を生活に応用できそうだな。洗濯も魔法でできるかも。今度いろいろ実験してみよう。


 しばらくして宿の人が夕飯ができたと呼びに来た。

 食堂に行くと俺とノーヴェさん以外に短髪の鎧を着たいかにも戦士という感じの男性、魔法使い風の長い金髪の女性、そして商人風の男性がいた。

 ノーヴェさんは彼らを見てぼそっと「あれ、あの女の子がいない……」と呟いていた。その女の子が隣にいる俺だと気づきませんように。


 夕飯のメニューは黒いパン、何かの肉のステーキ、黄色いスープだった。

 パンはふわふわで柔らかく、ステーキは少しクセがあったものの軽く噛めば肉汁がたっぷり出てき、少し歯をたてるだけでちぎれる程柔らかく美味しかった。スープは見た目も味もコーンスープそのものでとても濃厚。ほんのり甘味があり、飲むとぽかぽかする。……この世界にもとうもろこしあるんかね。


 夕飯を食べた後は特にする事もなく、すぐ部屋に戻った。まだ寝るには早すぎる時間だと思うが、起きていても仕方ないからベッドに入った。

 疲れと久しぶりの柔らかいベッドのおかげもあり俺はあっという間に眠りについた。

 

世界観の説明&お風呂回でした。

なんだかんだかなりの時間お風呂に入っているルークwww

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