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~Hearts~

~Hearts~ ”原初 「双神創造」”

作者: 厄猫

プロローグを完全に切り離すという試みに挑戦。

~Hearts~初見の方は一度読む事を推奨します。

(読まなくても何とかなるかもしれませんが…)

…おや、こんにちは。初めまして…と言った方が適切でしょうか。

ここに迷い込んできたのですか? それとも…ここが目的地でしょうか。

と、言っても…ここには何もありませんよ? あるのは無限に広がる”物語”…でしょうか。

…興味があるのですか? それはそれは…。

でしたら、私が導いて差し上げましょうか。何、恐れる事はありません。

入り口はすぐ目の前にありますよ? ですが…その前に、ちょっとした昔話を聞いて頂きましょうか。

…いえ、そんなに長くはありませんよ? ただ、”この世界”の”原初の歴史”をご覧になって頂くだけですから。


…それでは、ほんのしばらくだけ、お付き合いくださいませ。




………。

……。

…。




 遥かな昔。世界がその産声を上げるよりも遥かな昔。

世界───だそこが”世界”と呼ばれるよりも前。この場所にはたった一人の神しか存在しなかった。

”1人”とも、”一体”とも、”1つ”、とも呼ぶことができ、

”存在できなかった”とも、”存在を許されなかった”、とも表現できた。

やがて、大いなる力を持った”それ”は、後々に生まれ出でる生命から絶対的な信仰の対象となる。

───この”原初の存在”こそ、後に”創造神そうぞうしん”と呼ばれるものであった───


 創造神は、その大いなる力の源として、双反する一対の力を有していた。

1つは守護と死を司る”せい”。

1つは破壊と生を司る””。

創造神はやがて、その大いなる力の源を糧として、2対の神を創り出した。

1人は”聖”の力を賜りし守護神”イヴ”。

1人は”魔”の力を賜りし破壊神”アダム”。

これこそ、創造神以外に初めて”存在を許された”存在なのであった。


 幾ばくかの時が過ぎ、創造神の意思を離れ、自我を形成した双神は、創造神から賜りしそれぞれの力で2つの”世界”を創造した。

守護神の”聖”なる力によって創られしは、光の満ちる”神界しんかい”。

破壊神の”魔”なる力によって創られしは、闇の満ちる”魔界まかい”。

一対の神々は、創造神と同じくしてその世界に”命”を創造した。

”人”が生まれ。神の力の源である”マナ”が生まれた。

マナはやがて”聖”と”魔”以外の性質を形成する。

神界には”火”を、”水”を、”風”を。

魔界には”氷”を、”雷”を、”地”を。

この新たな性質を持ったマナを剣とし、2つの世界でそれぞれ最初に生まれた”存在”に託した。

創造神が一対の神を創ったように、そこから生まれた神々もまた3対の神を生み出したのである。

───これが、後の歴史に”神帝しんてい””魔帝まてい”と呼ばれる存在である───


 3対の神々は自らを創造した神と共に、その世界を統治した。

思想も性質も大きく異なった世界だが、故に2つの世界はまったく異なった文明を築き上げていったのだった。

…だが、その”差異”こそが、後の戦乱の時代の引き金となったのである。


 同じ神から生まれたが、その思想の違いから大きく対立した神々は、やがて互いを否定しあうようになり、そして戦乱の時代が幕を開けることとなったのである。

しかし、思想こそ違えどその根底はまったく同じ。

神々の力は互角で、決着がつくことは無かった。

数千年もの間、そうして神々は終わることのない争いを続けていたのだった。

───しかし、その悠久の戦乱は神々の思わぬ形で終結を迎えることとなる───


 戦乱を起こした双神の力は、どちらも”創造神から賜りしもの”。

その力には万物を”創造する”力が秘められている。

永きに及ぶ戦乱の時代の中で神々の力と力はぶつかり合い、やがてそのぶつかり合った力の果てに新たな生命が産声を上げたのである。

神々のマナの力。そして本来交じり合うことのない双反する聖魔の力の狭間より生まれ出でしモノ…。

───それは、”かげ”。

9番目の性質であり、どちらの力にも属さぬ力。

それは、本来生まれることの無かった力。

これが、現在も世界を脅かす存在となっている”影の異形いぎょう”の誕生の瞬間だったのである。


 ”影の異形”には聖魔の力はほとんど通用しなかった。

寧ろ異形たちはその力を吸収し、更なる力を得る。

神すら予期せぬ存在であった”ソレ”に、1人。また1人と神々は倒れ、散っていった。

…その散っていった神々の中には、3対の”神帝”と”魔帝”の姿もあった…。


 聖魔の双神はこの時初めて”共通の敵”の存在を認知したのである。

同胞同士で争う時ではなく、力を合わせて人々の希望となること。

それこそが”創造神”の望みであったと、双神はこの時改めて認識したのであった。

多くの犠牲を生み。悠久に近い時を戦い続けた神々は、再び手を取り合うことを誓ったのである。


 それからまた数千年の間、戦いは続いた。

多くの者が散り、多くの者が苦しんだ。

しかし、ついに神々は”神帝””魔帝”すら凌駕した”影の異形”を封印し、戦乱の世界に平和を取り戻したのだった。

…しかし、永きに及ぶ戦乱の中で、双神の力もまた、その力の多くを失ってしまっていた。

双神はその最後の力で3つ目の世界、”人界じんかい”を創り、自身の代わりとなって”世界を観測するモノ”を生み出した後、その力が完全に癒えるまでの間、”悠久の眠り”に就いたのである。

───神々による戦乱の世は終わりを告げたが、それと同時に、”神々の時代”も終わりを告げることとなったのであった…───




 ”神界”。”魔界”。そして”人界”。

そして未だ見ぬ”異界”の中で、歴史は大きく動き、そして世界は動いている。

その”大いなる人々の歴史”の中で、多くの人間が暮らし、生き、そして死んでいった。

命の営みは廻っていく。それは世界を回す歯車の如く…。


───これは、この”大いなる世界”のあらゆる場所。あらゆる時間。あらゆる世界の中で生きた者達の物語。大いなる歴史の中の、とても小さな”心たち”の物語───




………。

……。

…。




…いかがでしたでしょうか?

これが、この世界の”始まりの歴史”にございます。

これより物語は分かれ、様々な世界、時代の人々へと視点が移っていきます。


…それでは、”大いなる世界”に生きる数多の”心”が紡ぎし物語へと皆様をご案内致しましょう。

どうぞ、お楽しみくださいませ…───

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